編集長が語る!講義の見どころ
2023年に世界はどうなる~回顧と展望/特集&小原雅博先生【テンミニッツTV】
2022/12/23
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
2022年は世界が大きく激動した1年となりました。いうまでもなく最大の事件は、2月24日から始まったロシアによるウクライナ侵略でしょう。
残念ながら、ウクライナ侵略はいまだに続いています。そして、ここにきて急速にクローズアップされているのが「台湾危機」です。昨今の日本政府の動きを見ていると、危機の高まりがひしひしと伝わってきます。
はたして、令和5年(2023年)の世界はどうなるのか。ぜひ、あらためてテンミニッツTVの示唆に富んだ名講義で2022年の世界情勢を回顧しつつ、来る年を展望しましょう。
■本日開始の特集:2023年に世界はどうなる~回顧と展望
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=93&referer=push_mm_feat
・小原雅博:どうなる台湾危機…中台の政治的節目と米中の軍事的緊張
・中西輝政:二重外交のリスク、やってはいけない「米中両方にいい顔」
・山内昌之:プーチンが信じる「大ロシア再生」のための使命とは
・白石隆:海洋アジアと大陸アジアの対立へ、地政学的舞台が移動
・小原雅博:世界が抱える「3つの危機」と気候変動の深刻な関係
・田口佳史:『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
※白石隆先生の「隆」は、実際は旧字体
■講座のみどころ:「台湾危機」われわれが考えるべきこととは(小原雅博先生)
「台湾危機」の構図はどのようなものなのか。どのようなリスクが、どこに潜んでいるのか。そしてわれわれはこの危機をいかに考えるべきなのか。
そのことを、わかりやすく俯瞰(ふかん)いただいたのが、この小原雅博先生(東京大学名誉教授)による講座です。
この講座は、9月6日(火)に開催されたウェビナーのうち、台湾危機と米中の分析の部分を選りすぐったものです。
それゆえ、中国とアメリカの分析を縦横無尽にしていただいた本編はもちろんのこと、テンミニッツTV会員の皆さまからお寄せいただいた質問に率直にお答えいただいた質疑応答からも、多角的に現状理解を深めることができます。ウェビナー講座ならではの大きな特徴といえましょう。
◆小原雅博:2024年危機~米中関係の行方(全5話)
(1)台湾統一をめぐる米中の攻防
どうなる台湾危機…中台の政治的節目と米中の軍事的緊張
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4717&referer=push_mm_rcm1
第1話で注目すべきは、今年8月2日に、アメリカのペロシ下院議長が台湾を訪問したときの、中国の軍事演習の状況分析でしょう。小原先生が地図を示しながら解説くださいますが、まさに台湾を取り囲み、海上封鎖をするかの勢いで軍事演習を行なったことが一目瞭然です。
一方、アメリカはこれまで「実際に有事に出ていくか、出ていかないか」を明確にしない「曖昧(あいまい)戦略」を採ってきましたが、ここにきて、「軍事介入する」と匂わせる方向に踏み込んできています。
このように軍事的な緊張が高まるなかで、日本としては抑止力を高めるために、「自分の国を自分たちで守る」という意思と能力が問われる。そう小原先生は強調します。そうしつつ、もう一方で、外交でコミュニケーションを維持していくことも重要だというのです。
第2話でまず注目すべきは、アメリカで「今、直面している問題として最も重大な問題は何か」と聞いた世論調査における、「国家安全保障」の順位でしょう。なんと「銃規制」よりも下だというのですが、詳細な順位は、ぜひ講義本編をご覧ください。
さらに、世界的に見て、「民主主義が後退」と「権威主義の広がり」が見られるとも小原先生は強調されます。
この「民主主義の後退」の背景にある要因として、中国が経済成長やコロナ封じ込めなどの実績を示しつつ、「権威主義的な体制がいいシステムだ」と世界に見せてきたこともありました。
それに対して、アメリカのバイデン政権は、2021年末に「民主主義サミット」を行ないました。一方、中国はそれに対抗して、「自分たちも『民主』である。むしろアメリカの民主には多くの問題がある」と主張してきました。
しかし中国はいま、コロナの封じ込めに失敗し、経済も大きな下方局面に差し掛かっています。そのことが、今後にどう影響していくか。ますます注視する必要があるでしょう。
第3話からは質疑応答です。
小原先生の想いが色濃く表われるのは、「欧米が中国との価値観の対立をしている現状では、日本が中途半端な対応をすると、イソップ寓話のコウモリのようになって、両方から非難されてしまうのではないか」という問いに対する、次の答えでしょう。
《私の信念なのですが、国家と個人を分けて考えたらいいのではないかと思うのです。例えば、留学生として私のところで勉強した中国人は、それはそれで私の思い入れもあるのかもしれないのですが、皆さん非常に優秀なだけではなくて、それなりに誠実な日中関係を大事にしている人たちがほとんどだったわけです。これは中国に友人を持っていない人にはなかなか難しいのかもしれないのですが、要するに、個人的に中国の方をどのように自分たちが見るのかということです》
このことについては、さらに詳述されていますので、ぜひ講座の第3話をご覧ください。
さらに小原先生は、中国の国内政治はどうなるか、そして中国とロシアの連携についてどう考えるかという問いに答えていきます。
ここで小原先生がおっしゃるのは、「過剰にイデオロギーで色分けして外交戦略を組んでいくのは賢いやり方ではないのではないか」ということです。
その後に、防衛費についての質問もありますが、リアリズムに立脚しつつ、しっかりと多面的な戦略を立てていくことが重要ということでしょう。
2023年以降のあり方について、さまざまなヒントをつかめる講座です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆特集:2023年に世界はどうなる~回顧と展望
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=93&referer=push_mm_feat
◆小原雅博:2024年危機~米中関係の行方(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4717&referer=push_mm_rcm2
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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「キリスト教世界観と人類学」についての問題です。ではレッツビギン。
18世紀の啓蒙思想の頃に、少し神様とは別の話で世界を考えたり、説明したりしようという動きになりました。そこで、例えばジャン・ジャック・ルソーという人は、それまでの「文明人が偉い」というのではなく、( )人という考えを出し、「高貴なる野蛮人」(ジェントル・サベッジ)ということを考えるようになったのです。
文明が人間を堕落させているのであり、人間は本来自然状態の、いわゆる野蛮人といわれている、服も西欧の服のようなものをあまり着ていない人たちこそが高貴なのだ、という説を唱えました。
さて( )には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2725&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
昨夜開催されました「年忘れ雑談会」、ご参加の皆さま、ありがとうございました。また、今回残念ながらご参加が叶わなかった皆さま、これからも今回のような面白いイベントをどんどんと企画してまいります。どうぞご期待ください。
ちなみに昨日(12/22)は冬至で、一年で最も夜の長さが長くなる日でした。また、冬至は「一陽来復」という別名もあり、冬が終わって春が来ることということで、これから幸運が訪れるという意味もあるそうです。
さて、来年はどんな「一陽来復」となるのでしょうか。皆さまの幸運をお祈りしながら、最後に以下、冬至の日の講義をお伝えいたします。
◆プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(6)言論でのポリス建設
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4689&referer=push_mm_edt
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