編集長が語る!講義の見どころ
小宮山宏座長の「2023年頭所感」――日本は資源自給国家になれる【テンミニッツTV】
2023/01/03
あけましておめでとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
昨年も、まことにありがとうございました。本年も編集部一同、より良い「学び」を皆さまにお届けすべく、全力で努めてまいります。何卒よろしくお願い申しあげます。
さて、テンミニッツTVでは、毎年1月1日に弊テンミニッツTV座長の小宮山宏先生の「年頭所感」を配信しております。すでにご覧になった方もいらっしゃることと思いますが、あらためて本メルマガでも紹介させていただきます。
◆小宮山宏:人類史的な転換点と日本人の課題(全3話)
(1)3つの本質的な課題
2023年頭所感…未来をつくるため、今こそ抜本的改革を
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4776&referer=push_mm_rcm1
小宮山先生は今年の年頭所感の冒頭で、「人間の理性的な流れ」と「戦争に代表される愚かさ」が「あざなえる縄のごとく、表となり裏となって進んでいる」とおっしゃいます。
この状況認識は、とても重要なものでしょう。
とかく、われわれは「愚」か「賢」かのいずれかばかりを見てしまいがちです。そうして、ただただ嘆くばかりになるか、無根拠な楽観論(=なすべきことをなさずに先送りすることも含め)になるか。いずれにせよ、まったく望ましい姿ではありません。
さらに小宮山先生は、次のようにおっしゃいます。
《地球の未来をつくるのは人間です。もちろん社会の未来をつくるのは人間です。結局、私たちの未来は私たち自身が決めるわけです。ですから、私たちは未来のために、それぞれの責任を果たす必要があるのだろうと思います》
まことにご指摘のとおりでしょう。
そのうえで小宮山先生は、「傷口にバンドエイドを貼るような対策では解決などできない。もっと根本的なことをしていかなければいけない」とおっしゃり、取り組むべき本質的で大事な問題として、(1)少子化、(2)資源自給の実現、(3)人財の養成の3つを挙げるのです。
人口問題については、「江戸時代の日本の人口は約3000万人だったが、高齢者はほんのわずかのピラミッド型の人口分布だった。だが、今後の少子高齢化では、子どもが極めて少数で、半数以上が高齢者という社会になる。これは大変なチャレンジだ」と指摘します。
また人財養成については、「スピードが速いこれからは、もう前時代のように、年長者が次世代に教えるかたちでは、まったく足りない。『相互に教えあう』『多様性が影響しあう』ことが必要だ」とおっしゃいます。生まれてから亡くなるまで、すべての人が成長を続けていけるようなシステムが必須であり、それにはテンミニッツTVが役に立てるだろうとも。
そのようにおっしゃったうえで、今回の「年頭所感」では、特に「資源自給国家」になる道筋について、詳述いただいています。
小宮山先生が強調するのは、「日本は、再生可能エネルギーだけで、十分にエネルギーをまかなうことができる」こと。しかも、「いまある技術だけで、十分に可能である」ことです。
とくに後者の「いまある技術だけでできる」ということが、まことに重要でしょう。小宮山先生はこうおっしゃいます。
《再生可能エネルギーやカーボンニュートラルというと、すぐ「技術開発が必要ですね」という話になりますが、あれは間違いです。今の技術ですでにできるということが第一で、技術開発はそれをさらに容易にするために行うのです。ここを間違ってはいけません》
いますぐにでも「できる」ということです。要は、あとは「やるのか、やらないのか」です。
では、実際にどのようにすれば、日本は資源自給国家になれるのか。それについては、ぜひ講座の第2話、第3話をご覧ください。
次々に、実現可能な具体的なプランが繰り出されて、圧倒されます。
もしかすると、このような具体的なビジョンには異論も上がるかもしれません。たとえば、いま太陽光パネルを導入しても、国際的に競争力のある中国などのメーカーが潤うだけだという議論もあります。
しかし、もし、日本政府がこのような大きな方針を明確に打ち出して進めば、日本企業もそれに対応すべく設備投資を進め、より安価に供給するようになるでしょう。世界的に見て遅れている日本企業のGX(グリーントランスフォーメーション)が一気に進み、世界的な競争力を回復することも夢ではないかもしれません。
真に大切なのは、「未来をつくる」ための大きなビジョンを描くことである。そのことを痛感できる講座です。年頭にあたり、ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆小宮山宏:人類史的な転換点と日本人の課題(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4776&referer=push_mm_rcm2
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☆今週のひと言メッセージ
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《北条氏の時政、政子、義時は、それぞれタイプの違う傑物》
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4317&referer=push_mm_hitokoto
10分でわかる「鎌倉殿と北条氏の関係」
坂井孝一(創価大学文学部教授/博士(文学))
北条氏の時政、政子、義時は、それぞれタイプの違う傑物でした。時政は若干おっちょこちょいなところがあり、調子に乗ると失敗してしまう傾向がありました。政子は頼朝の妻としてともに人生を送っていく中で、どんどん成長していきます。義時は頼朝の政治のあり方や手腕を最も身近に見て学んでいきます。この姉と弟は、そのことにより政治家として非常に大きく成長していくわけです。他の東国の武士たちには相当大きな一族・一門を持つ武士団もありましたが、鎌倉殿との近い関係や政治的な能力、駆け引きの能力が物を言いました。
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編集後記
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あけましておめでとうございます。編集部の加藤です。
本年もテンミニッツTVメルマガをどうぞよろしくお願いいたします。
皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。
さて本日は今月(1月)1日より応募が始まりました1月のプレゼント本についてお伝えいたします。
今月は柿埜真吾先生(経済学者/思想史家)の著書(以下)を抽選で10名様にプレゼントいたします。
<今月のプレゼント本>
『自由と成長の経済学 「人新世」と「脱成長コミュニズム」の罠』 (柿埜真吾著、PHP新書)
https://www.amazon.co.jp/dp/4569850146/
◆内容紹介
「脱成長論」の誤りを鋭く指摘し、「自由な生活」と「経済成長」こそが貧困・格差、地球環境問題を解決することを示した一冊
「人新世」(人類の経済活動が地球を破壊する時代)だと言われれている。だが、「脱成長」を唱え、「環境危機の時代を克服するには、資本主義による経済成長を諦めるべきだ」とする議論は正しいのだろうか。この一見、倫理的に思える脱成長論は、歴史的に検証すれば大いに無理のあるものであることが見えてくる。経済成長を止めて全体のパイを減らし、弱者をよりいっそう貧しくさせる「罠」なのだ。
ご希望の方は以下よりご応募ください(応募締切は1月20日までです)。
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※応募方法は、トップページ内に表示されている「今月のプレゼント」からご確認ください(応募前の方のみ表示されます)。
また、好評配信中の以下、柿埜先生のシリーズ講義もぜひご視聴ください。
◆柿埜真吾:本当によくわかる経済学史 (全16話予定)
(1)経済学史の概観
10分でわかる「経済学史の基礎知識」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4693&referer=push_mm_new_function
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