編集長が語る!講義の見どころ
「台湾有事」と日本の危機/特集&島田晴雄先生【テンミニッツTV】

2023/01/27

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

台湾有事の危険性が叫ばれ、防衛力の拡充を含め、日本の対応も急ピッチで迫られつつあります。まさか、そんなことが……と思いたいところではありますが、ロシアによるウクライナ侵略を見るにつけ、けっして「非現実的なこと」とはいえなくなってきています。

はたして、危機の背景にはどのようなことがあるのか。本当は、何が起きようとしているのか。そして万一のとき、日本の対応がどこまでできているのか。そして各国の思惑とは。

今回は、台湾危機の「核心」と「対応策」を多角的に探る特集を組んでみました。


■本日開始の特集:「台湾有事」と日本の危機

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=178&referer=push_mm_feat

・島田晴雄:第3期習政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件

・小原雅博:どうなる台湾危機…中台の政治的節目と米中の軍事的緊張

・小原雅博:国際政治の要諦は戦略とインテリジェンス

・白石隆:中国が進める「帝国的ルールメイキング」とは何か

・中西輝政:バイデン大統領の「台湾を防衛する」発言の真相とは?

・江口克彦:「私は私でない私」李登輝は神の目で台湾統治を考えた


■講座のみどころ:「台湾危機」の背景と有事シミュレーション(島田晴雄先生)

本日は特集のなかから、島田晴雄先生(慶應義塾大学名誉教授)の講座を紹介いたします。

テンミニッツTVでの島田先生の講座は、島田先生ならではの視点から様々な問題についてその本質と背景をズバリと描き出していただいて、毎回、大好評をいただいていますが、今回の「台湾有事を考える」講座も、その地政学的背景から、近年の動き、さらに実際に何が起きうるかの有事シミュレーション、そして日本が採るべき対応策までをみごとに描ききっていただいています。

この講座を視聴するだけで、「台湾危機」の全体像をしっかりと把握することができる、驚きの講座です。

◆島田晴雄:台湾有事を考える(全9話)
(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
第3期習政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4789&referer=push_mm_rcm1

島田先生がまず指摘されるのが、習近平国家主席の近年の発言です。以下のようなメッセージを繰り返し発しているのです。

《台湾併合による祖国統一は中国の「核心的利益」であり、それは中国人自身が決めることだ。外部からの干渉を許さない。平和統一を目指すが、必要な場合、武力行使は放棄しない》

なぜ、このような強硬な主張を繰り返すのか。それを理解するために抑えておくべきなのが、「台湾問題」の地政学的背景、さらに歴史的経緯です。

島田先生は、中国大陸側から日本列島や台湾などを見た「逆さ地図」をお示し下さいます。これを見れば、いかに台湾が戦略的要衝であるかが、直観的によくわかります。

さらに、島田先生の以下のご指摘も重要でしょう。

《台湾海峡は(大部分が)深さ80メートルくらいしかありません。ですから、潜水艦がそこで行動するのはあまり適していない》

中国の軍事戦略的にも台湾を押さえて、その先の太平洋を睨むことが重要だということです。

さらに第2話で、歴史的経緯として語られるのは「2つの中国論」、そして最近の米中首脳会談などでの主張です。いかに中国側の主張が強烈になってきているか、時系列的に追うことができます。

第3話ではアメリカの対応と、それに対する中国の反応をご解説くださいます。習近平主席が台湾問題への主張のトーンを上げていくなかで、バイデン政権は「中国は脅威であり、21世紀最大の地政学的試練」だと捉え、同盟国の連携による対応を進めています。

一方、このような動きに対する中国側の主張は、いかなるものか。島田先生は、朱建栄氏の著作を引きつつ、「中国には、アメリカの動きを中国を追い詰める一種の罠だとして、真珠湾攻撃前の日本に対する圧迫に似ているとする見方がある」とご紹介くださいます。

日本国内での様々な言論の背景を知るためにも、中国側の主張を知っておくことは重要でしょう。このような部分にも目を配ってくださるのが、島田先生の講義の大きな特徴です。

第4話は、ロシアのウクライナ侵略を中国がどう捉えているか、そして日本の「反撃能力」はどうなっているかの分析です。

中国からすれば、ロシアは軍事力の面で「仰ぎ見る存在」。それだけに、ウクライナ侵略での苦戦は大きな驚きだったといいます。

中国は台湾海峡を渡海して台湾に上陸する輸送能力を急速に高めています。しかし、台湾側の抵抗も相当なものとなる。また、国際的な批判も集中し、対中経済制裁も発動されることでしょう。常識的・合理的に考えれば、中国による台湾への武力侵攻は得策ではないと考えられますが、一方で問題になるのが、万が一に侵攻が行なわれたときの日本の「反撃能力」です。

島田先生は、防衛3文書(国家安全保障戦略・国家防衛戦略〈旧・防衛計画大綱〉・防衛力整備計画〈旧・中期防衛力整備計画〉)の改定や、敵基地攻撃能力も含めて、最近話題になっている日本の防衛力強化の取り組みについて詳しく教えてくださいます。詳細はぜひ第4話をご覧ください。

続けて島田先生が第5話でお話しくださるのは、中国国内の事情です。常識で考えれば、台湾への武力侵攻など考えられないが、にもかかわらず「可能性が出てきている」のはなぜか? 

大きな要因として挙げるのが、2022年に発足した習近平第3期政権の内実、さらに現在の中央軍事委員会の「台湾シフト」ぶり、そして中国国内の混迷です。

それらを検討したうえで、第6話から、武力侵攻がなされたときにどのようなことが起きうるかシミュレーションをご展開くださいます。

状況は、ネット通信に障害が起きたり、電力供給機能の障害や、鉄道ダイヤの混乱などが起きることから始まります。サイバー攻撃の始まりです。

次に、北朝鮮やロシアなどによる陽動作戦が起きる。北朝鮮による弾道弾の発射や、ロシア軍の航空機や艦船の日本領への侵犯です。

そして尖閣諸島に、中国国籍の「民間船」が兵士や機材を積んでやってきます。それに海上保安庁の巡視艇が対応しきれなくなって、海上自衛隊の護衛艦が強制排除に取りかかると、中国艦艇が大挙押し寄せてくる。

やがて、与那国島などで独立宣言を行なう人々が現われ、そうこうしているうちに人民解放軍の本隊が台湾侵攻を始める。それと合わせて、ロシアの太平洋艦隊と航空部隊が日本のシーレーンを遮断して……。

というように、様々な可能性が加味されたシミュレーションです。何が起きて、どうなるか。ぜひ講座本編をご覧ください。

島田先生は、もしこのシミュレーションのような事態になったら、日本の損害は1000兆円にも上るのではないかと指摘されます。そうすれば事態は、日本の経済破綻に発展しかねない。それを避けるためには早急に、抑止力を高める必要がありますが、さて。

第9話では「日本の防衛力強化に必要な考え方」について、多角的な視点からお話しくださいます。

いま、まさに必見の講座です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆特集:「台湾有事」と日本の危機
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=178&referer=push_mm_feat

◆島田晴雄:台湾有事を考える(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4789&referer=push_mm_rcm2

※白石隆先生の「隆」は、実際は旧字体


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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「ロシアの歴史とウクライナ侵攻」についての問題です。ではレッツビギン。

ピョートル大帝の名前を取ってつくられた新しい都こそが(    )です。今のプーチン大統領の出身地であり、モスクワに次ぐロシア第二の都です。しかし、ここ(    )というヨーロッパを模した大都会を建設しながら、西ヨーロッパにおいてとりわけ重要とされる、人々の自由やものの考え方の柔軟さ、そして多様性の受容には成功しませんでした。今回、私たちがロシアのウクライナ侵攻を考える際、ここはすこぶる重要なポイントの一つになってくるのではないかと思います。

(    )には同じ言葉が入ります。さて何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4539&referer=push_mm_quiz


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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて、先日は「サービス向上のためのご意見アンケート」にたくさんのご回答をいただきまして、この場を借りて感謝申し上げます。まことにありがとうございます。
大変貴重なご意見ばかりですので、今後に生かして参ります。なお、新機能の実装など今後については詳細が決まりましたら、当メルマガでもお伝えいたします。

それではこれからもテンミニッツTV、そして当メルマガをご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます。