編集長が語る!講義の見どころ
世界経済は本当はどう動くのか?/特集&田中琢二先生【テンミニッツTV】
2023/02/17
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
ニュースで「世界経済」について語られない日はありません。しかし、「本当は世界経済はどのようにして動いているのか」について、正しく理解できているでしょうか。
目の前の動きだけを見ていたら、判断を間違えてしまいかねません。はたして、世界経済の大きな動きの裏には、どのようなものがあるのか。世界経済を動かしているものは何か。
様々な動きの「本質」を読み解いていただいたこれらの講座を学べば、真の姿が見えてきます。
■本日の特集:世界経済は本当はどう動くのか?
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=192&referer=push_mm_feat
・田中琢二:世界経済はどう動くのか…コロナ禍とIMFの分析
・柳川範之×松尾豊:AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
・伊藤元重:「グリーンディール」にみる気候変動対策の経済的価値
・小原雅博:世界が抱える「3つの危機」と気候変動の深刻な関係
・柳川範之:なぜ今、中央銀行デジタル通貨への動きが進んでいるのか
■講座のみどころ:世界経済をIMFはどのように分析し、動かしているのか(田中琢二先生)
本日は紹介するのは、田中琢二先生(元・国際通貨基金〈IMF〉日本代表理事)の講座です。
田中先生は、2019年から2022年まで国際通貨基金(IMF)日本政府代表理事をお務めでした。まさにコロナ禍が世界を襲ったそのタイミングで、世界経済の中枢部に身を置かれていたことになります。
田中先生のお話を聞くと、IMFがコロナ禍の情勢をどのように分析し、どのような手を打っていたのかが、とても明確にわかります。
コロナ禍は、ある意味では象徴的な例ですが、世界経済の動きを見ていくうえで、単なる表層的な事象のみに目をとらわれるのではなく、IMFのような世界機関がどのように分析をして、どのような手を打とうとしているのかを知ることが、とても重要であることが理解できる講座です。
◆田中琢二:世界経済の見方とIMFの役割(全6話)
(1)パンデミックに直面した世界経済の変化
世界経済はどう動くのか…コロナ禍とIMFの分析
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4798&referer=push_mm_rcm1
IMF(国際通貨基金)は、IMF協定という条約に基づいて1945年12月に設立された国際機関で、ワシントンDCに本部があります。その目的は、「国際金融の安定、国際通貨協力の推進、国際貿易・雇用・実質所得の促進、生産資源の開発及び為替の安定」などです。
とかく日本では、経済政策を「新聞の政治部的」といいますか、政争の1アイテムのように論じがちです。たとえば、「金融緩和=アベノミクス」などというような短絡的な理解をする向きさえありますが、しかし本来、金融緩和は世界でも標準的な経済政策です。
むしろ経済政策は、本来、きわめて科学的な分析と合理的な判断によって行なわれて然るべきものでしょう。
では、世界ではどのように分析して、どのように手を打っているのか。
今回の田中先生の講義では、そのことが非常によくわかるようになります。日々流れてくる経済ニュースに一喜一憂するより、IMFなどの国際機関がどのように分析しているのか、また各国政府にどのような手を打つよう要請しているのかなどを詳しく見たほうが、よほど「ためになりそう」なことが見えてきます。
田中先生が、その事例として詳述くださるのが、コロナ禍の経済をいかにIMFが分析し、どのような経済政策を各国に求め、その結果、現実はどのように動いたかというダイナミックな事例です。
2019年末の中国・武漢での新型コロナウィルス発症直後は、「中国自身の問題」として影響は限定的と捉えていたIMFですが、2020年2月20日からのG20を機に認識が一変します。罹患者数が激増し、グローバルリスクとなったからです。
各国が都市封鎖・ロックダウンを実行していくなか、IMFは「1930年代の大恐慌以来の景気後退を経験する可能性が高い」と分析し、「類を見ない危機」だと表現します。
懸念されたのは「底が見えないデフレ経済に突入するかもしれない」ということでした。
ここでIMFは「とても素早く大胆に」動きました。田中先生は次のように語ります。
《2020年の3月から秋にかけて、G20やIMFが先頭に立ち、各国が財政と金融の両面で、最大限の努力を開始すべきであると主張し、各国がそれを実行に移し始めた時期といえます》
また、当時のIMFの世界経済見通しは、次のようなものでした。
《2020年はマイナス4.9パーセントと、4月時点見通しであるマイナス3.0パーセントから、さらに下方修正されました。ただ、2021年に関しては、財政出動が全世界で1100兆円、各国中央銀行による大幅な金融緩和措置、金融規制上の一時的措置という政策の総動員により、5.4パーセントに回復するとされました》
いかなる根拠でこのような分析を行ない、実際にどのような手を打っていったのか。それについては、講座の第1話、第2話をご覧ください。非常に具体的にご解説をいただいています。このようなあり方を見ると、当時の日本の経済政策を含め、各国の経済政策の裏側がよく理解できます。
さらに翻って考えれば、日本の経済政策のあり方が、いかに単発的かつ逐次投入的かもよく見えてきます。全体観をとらえきれず、また、大胆かつシステマティックな経済政策を展開できなかった結果が、平成以降ここまで長期化したデフレを招くことになったのでしょう。
しかし、コロナ禍の後半、事態は一転します。2020年には「デフレ危機」が深刻に懸念されましたが、2021年に入ると「インフレ」が懸念されるようになり、2022年には「インフレの時代」に突入するのです。
そこには、2022年2月末からのロシアによるウクライナ侵略も大きな影を落しました。世界のエネルギー価格が急騰し、さらなるインフレ圧力が高まったのです。
田中先生は、「2021年までIMFや中央銀行は『インフレは一時的』と見誤った」と指摘します。それはなぜなのか。また、2022年からのインフレはいかなる原因で起きたのか。そして、それに対して、IMFはいかなる手を打ったのか。
そのことも田中先生は様々な図表を示しながら詳述くださいます。
また講座の終盤は、IMFとは何かについての、とてもわかりやすく解説となります。ここは、実際にIMFの中枢に身を置かれた田中先生ならではの明快なお話です。
経済の専門用語も多々飛び交う講座ですが、田中先生が的確に補足説明を入れてくださっているので、ていねいに本講座を学べば、必ずや大きな流れが理解できるはずです。
「世界経済の本質」を知るために、必見の講座です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆特集:世界経済は本当はどう動くのか?
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=192&referer=push_mm_feat
◆田中琢二:世界経済の見方とIMFの役割(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4798&referer=push_mm_rcm2
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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「縄文時代の家族像」についての問題です。ではレッツビギン。
われわれは墓の群を( )と呼びますが、その中には遺伝的な関係、血縁関係を持つ人々が埋葬されており、その規模から見て、おそらくは3世代程度の拡大家族が単位であったと考えられます。このような家族が血縁、あるいは地縁的な関係の下に、一つの集落を構成しているというのが、縄文時代の家族像だと思われるのです。
さて( )には何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3038&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて、本日は来月(3月)のおすすめプログラムについて、プログラムガイドよりも先に紹介いたします。
3月に配信を予定している特集と主なラインナップは以下になります。
■歴史に学ぶ日本の危機突破戦略
山内昌之:徳川家康に学ぶ外交としての「国家安全保障戦略」
中西輝政:日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
渋沢雅英:アメリカの排日運動に「国民外交」で挑んだ渋沢栄一の努力
■春に「人間力」を高める(令和5年版)
納富信留:理性・気概・欲望――魂の中に3つの階層とその真意
小宮山宏/長谷川眞理子:学問は関係ない。教養がある人の「素敵な振る舞い」とは
江上剛:人間到る処青山あり――50代からの心豊かな人生のために
<3月の配信講義ピックアップ>
3月1日(水)配信予定:
柿埜真吾:ミルトン・フリードマン…金融政策の復権と自由市場の重要性
3月5日(日)配信予定:
柿沼陽平:酒豪認定は20リットルから?古代中国の強烈なお酒事情
このほかにも知的好奇心をくすぐる興味深い特集、講義が続きます。ご期待ください。
なお、今月(2月)の配信予定は以下から確認できます。
<今後の配信予定>
https://10mtv.jp/pc/content/release_schedule.php?referer=push_mm_new_function
最後に。
毎月発行している「プログラムガイド」の無料郵送についてお伝えいたします。
毎月20日までにお申し込みいただければ、翌月より「プログラムガイド」を毎月郵送いたします。
ご希望の方でお申し込みがまだという会員の方は、いますぐ以下をチェックください。
<プログラムガイド無料郵送のご案内>
https://10mtv.jp/program_guide.php?referer=push_mm_new_function
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