編集長が語る!講義の見どころ
ショパンを聴いて学ぶ~こだわりのクラシック/特集&江崎昌子先生【テンミニッツTV】
2023/03/24
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
誰しも、音楽を聴いて心を躍らせたり、涙を流したりしたことがあるのではないでしょうか。
音楽だけを聴いて、心が動くというのは、不思議といえば不思議です。それだけ音楽には、心にダイレクトに響くものがあるということでしょう。心を豊かにする音楽を、ぜひ、いろいろと深く知りたいものです。
クラシック音楽は、作曲家の生涯や、当時の時代状況を知ると、もっともっと興味深く聴けるようになります。そしてクラシック音楽を聴けば、歴史が生き生きとよみがえります。学ぶほどに「楽しみ」が増していく、珠玉の講座を集めました。
■特集:こだわりのクラシック
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=113&referer=push_mm_feat
・江崎昌子:ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
・樋口隆一:神に助けを求め、感謝を捧げながら作曲した天才・バッハ
・野本由紀夫:きれいなメロディをパッと思いついてしまう天才
・片山杜秀:ベートーヴェンの音楽を生んだフランス革命後の時代の影響
・野本由紀夫:「運命」交響曲と「田園」交響曲が拓いた世界
・片山杜秀:市民革命期の音楽家ベルリオーズ『幻想交響曲』が与えた影響
・片山杜秀:ヨーロッパ中が感染したワーグナーの凄さ
・野本由紀夫:ドビュッシーとマーラー:音楽の多様化と爛熟
・片山杜秀:20世紀のクラシック音楽の特徴と「2つの方向」とは?
■講座のみどころ:ショパンの音楽を聴きながら、その秘密に迫る(江崎昌子先生)
本日、特集からピックアップするのは、江崎昌子先生(洗足学園音楽大学・大学院教授/日本ショパン協会理事)の「ショパン」講座です。
江崎先生は、桐朋学園大学を卒業後、ポーランドに留学されて、ワルシャワショパンアカデミー研究科を修了。
1995年第6回ミロシ・マギン国際ピアノコンクール第1位(フランス)、1997年第4回シマノフスキ国際ピアノコンクール第1位及び最優秀シマノフスキ演奏賞(ポーランド)、1998年第21回サレルノ国際ピアノコンクール第1位及び最優秀ドビュッシー演奏賞(イタリア)など、世界コンクールで数々の賞を受賞。
2005年、第31回日本ショパン協会賞受賞。さらに2010年には、ポーランド政府より、外国人に贈られる文化勲章“グロリア・アルティス”銅メダルを受勲されています。
また、CDでも、ショパンのエチュード全曲集、マズルカ全曲集、ソナタ全集、ノクターン全集など、ショパンの全集録音を進められ、高い評価を受けておられます。
その江崎先生が、実際にピアノを弾きながら、ショパンについて教えてくださる本講座。贅沢なほどたくさんな曲を演奏していただいており、まさに動画ならではの楽しみと発見に満ちています。
◆江崎昌子:ショパンの音楽とポーランド(全9話)
(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4860&referer=push_mm_rcm1
第1話では、最初に「幻想即興曲」のさわりを演奏いただいた後、ショパンの波乱の生涯について概説いただいています。やはり、クラシックの場合、作曲家の生涯や、当時の社会背景を知って聴くのとそうでないのとでは、感慨が大きく異なってきます。
また、ポーランドとゆかりの深い江崎先生ならでは、ポーランドの出生の地の様子について、次のようなお言葉もあります。
《ほとんど空です。ほとんど横にいつも空がある》
さて、どのような景色なのか。それについては、ぜひ講座本編をご覧ください。
有名な話ですが、ショパン存命中のポーランドは、ロシア、プロイセン、オーストリアによって浸食され、分割され、国が失われていました。ショパン自身も、生涯の多くの期間を外国で暮らさざるをえませんでした。
また、婚約が破棄される事件や、ジョルジュ・サンドとの出会いなど、恋愛の面でも様々な山や谷を経験しています。
ショパンの生涯のあらましを聞くと、その音楽への反映がよく見えてきます。
第2話と第3話では「マズルカ」についてご解説いただきます。マズルカは、ポーランドの農村部の舞踊。ショパンは作曲を始めた頃から最晩年まで、そのリズムを活かして、多くの曲を作曲しました。「日記のような作品」ともいわれるマズルカを聴き込むと、ショパンの様々な思いが伝わってきます。
また、江崎先生は、ポーランドの伝統的な「マズルカ」の音源もご紹介くださり、それを実際に講義中で引用として聴くこともできます。まさにマズルカの根源に迫る内容といえましょう。
第4話と第5話は「子守歌とノクターン」です。「子守歌」についても、江崎先生は、ショパンが幼き頃に聴いていたかもしれない、その地方の古くからの子守歌の音源をご紹介くださいます。それを元にしながら、曲の構造をわかりやすくピアノでご紹介いただいたうえで、名曲「子守歌」を演奏くださるのです。じんわりと心に染みわたります。
また、ノクターンでは、ショパンが実際に自身の演奏会で弾いていたバージョンの「ノクターン第2番」を弾いてくださいます。通常、われわれが聴くものよりも、装飾音符がとても多いバージョンです。ショパンは、このように曲に手を加えて、まるでジャズの即興演奏のように自分の曲を演奏していたとのこと。とても興味深い内容です。
第6話はポロネーズについて、まずはバッハの「フランス組曲」のなかのポロネーズの演奏から、その独特のリズムや踊りを実演でお示しいただきます。ポロネーズの成り立ちが、とてもよくわかります。
そのうえで、ショパンの楽譜の校閲をしたことで有名なパデレフスキが作曲したポロネーズを演奏いただきます。実はパデレフスキは一世を風靡した大ピアニストであるのみならず、後年、第一次世界大戦後にはポーランドの首相も務めています。そのようなことからも、ポーランドのお国柄が伝わってきます。
第7話は「ショパンの恋」。婚約までいきながら、破棄を余儀なくされたマリアとの恋。そして有名なジョルジュ・サンドとの恋……。サンドとの恋については、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの恋のように様々なことがいわれますが、その実際はどのようなものだったのか。恋人を想いながら書かれた曲を演奏いただきつつ、迫っていきます。
第8話、第9話は「ショパンとポーランドの苦悩」。亡国の悲劇に沈んだポーランド。なぜそうなってしまったのか。ポーランドの歴史風土とはいかなるものかに迫ります。
なにより特筆すべきはポーランドの悲劇の歴史をふまえたうえで演奏される有名な「革命のエチュード」です。
江崎先生の演奏は、まさに圧巻ですが、その曲の解説も演奏者ならではの含蓄深いもの。必聴です。
講座の最後は、ショパン絶筆となったマズルカです。異国の地で没し、自らの心臓だけでもポーランドに帰国させてほしいと願ったショパン。その想いが深く伝わってきます。
クラシックファンも、そうでない人も、数多の演奏をお楽しみいただきつつ、ショパンの真髄を学べる講座です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆特集:こだわりのクラシック
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=113&referer=push_mm_feat
◆江崎昌子:ショパンの音楽とポーランド(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4860&referer=push_mm_rcm2
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レッツビギン! 穴埋め問題
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今回は「怒りを抑える方法」についての問題です。ではレッツビギン。
腹が立った自分を客観的な立場で見直してみることを( )といいます。( )は、当事者ではなく傍観者として見つめなおすことを促すという意味で重要です。これを通じて、酷い目に遭った被害者としての立場だけでなく、もう少し広い客観的な視点から、自分の身に起きたことを冷静に考えることができるので、怒りを抑制できると考えられています。
( )には同じ言葉が入ります。さて何が入るでしょう。答えは以下にてご確認ください。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3904&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて14日から応募開始となった「学びの投稿アカデミア」第2回ですが、僭越ながらここで私の個人的なおすすめ講義を紹介したいと思います。
◆上野誠:折口信夫が語った日本文化の核心 (全4話)
(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4771&referer=push_mm_edt
上野先生(國學院大學文学部日本文学科 教授/奈良大学 名誉教授)が折口信夫と日本文化について解説した講義で、改めて日本とは何かを考え直すことのできる内容だと実感しております。
なかでも4話目にでてくる以下の話がとても心に染み入ります。
〈トイレに1輪の花でも飾られていれば、心が和みます。きれいに掃除することも大切ですが、そこに花があることによって清められる、そして自分も和む、ということです。
掃除する人が行きがけにきれいな花を見つけ、摘んでくる。それをコーラのビンに挿しておくといったこともある。そういうことが大切だと折口信夫は言いたいのです。〉
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4774&referer=push_mm_edt
ということで、皆さまのおすすめ講義、ぜひお聞かせください。以下が応募ページになります。たくさんのご応募、お待ちしております。
【学びの投稿アカデミア】
第2回テーマ:「テンミニッツTVのおすすめ講義とその理由」
(応募ページ)
https://10mtv.jp/review/?review_id=2&referer=push_mm_new_function
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