編集長が語る!講義の見どころ
「G7広島サミット」をどう読むか/中西輝政先生【テンミニッツTV】
2023/06/06
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です
5月19日(金)から21日(日)まで、G7広島サミット(第49回先進国首脳会議)が開催されました。
G7の首脳たちが広島の原爆死没者慰霊碑に献花をしたのは、ちょうど19日のお昼でしたので、そのシーンを生中継で見ておりました。別の機会にも書きましたが、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれた碑に、首脳たちが揃って献花をする光景は、しみじみ印象深いものでした。
このサミットについては、様々な論評も加えられています。しかし、歴史的な視点から見た場合に、どのように位置づけられるべきものなのでしょうか。
本日は、そのことについて中西輝政先生(京都大学名誉教授)にお話しいただいた講義を紹介いたします。中西先生は、講義冒頭でこうおっしゃいます。
《このサミットは、「日本で開かれた」とか「岸田首相が議長役を務めた」ということとは別次元の評価として、非常に歴史的な意味が大きいサミットだったと思います。国際政治の歴史、そして1975年の発足以来、ほぼ50年に近くなるサミットの歴史のなかでも、1、2を争うほどの歴史的な意味の大きさを見せつけたサミットだったと思います》
はたして、それはなぜなのでしょうか?
◆中西輝政:「G7広島サミット」をどう読むか(全2話)
(1)その歴史的意義
なぜG7広島サミットは歴史的意味が非常に大きくなったか
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4955&referer=push_mm_rcm1
中西先生が、今回のサミットの意義として指摘されるのは、次の3点です。
第1は、ロシアによるウクライナ侵略に対して、ウクライナを断固として支持するというG7のしっかりとした、ほとんど一糸乱れない結束を示したこと。
第2は、国益第一というスタンスであいまいな立場をとり、様子見をしていたインドなどのグローバルサウスの国々を、かなりの程度、西側に引きつけたこと。
第3は、核兵器の問題で、各国首脳の慰霊碑献花と原爆資料館視察を実現したこと。
これらは、日本でしか成しえなかったことだと、中西先生は指摘されます。
ロシアは、西側の国々がウクライナ支援に疲れて仲間割れになることを望んできた。しかし、その望みを大きく打ち破った。
しかも、これまでアメリカが一極主義で、自由や民主主義を「独自の解釈」で世界に押し付けるような流れもあったが、日本が普遍的な価値観をうまく打ち出して、グローバルサウスの国々も結束させた。
さらに、ロシアのプーチン大統領が核の威嚇を繰り返しているなかで、被爆地・広島で「やはり核兵器は、どんなことがあっても使わせてはならない」と再確認した。
そのように指摘されたうえで、中西先生は第2話で、各国首脳たちによる慰霊碑への献花と原爆資料館訪問が与えたインパクトについて、深掘りされます。
まず中西先生が言及されるのが、2016年にオバマ元大統領(当時現職)が広島を訪問した折との違いです。実は、その折と今回とでは大きな違いがあった。そして、各国の首脳たちも、今回、おそらく慰霊碑への献花や資料館見学について当初はネガティブなシグナルを送ってきたのではないか、というのですが……。
その詳細については、ぜひ講義本編(第2話)をご覧ください。
さらに中西先生は、G7の首脳による献花や資料館訪問も重要だが、それにも増して大きな意味があったのが、インド、インドネシア、ブラジルなどの首脳たちによる献花と資料館訪問だったと言及されます。
日本の平和主義は、戦後70年を経てもなかなか理解してもらえなかった。しかし、広島でこのような場をつくることによって、日本はこれまで外交の根本理念としてきた平和主義について、広く世界にわかりやすいかたちで伝えることができた。そう中西先生は指摘されるのです。
今回のG7広島サミットは、1989年にパリで開かれたアルシュ・サミットよりも、さらに大きな歴史的意義を持ち、長期的にも影響を持つサミットになるであろう。そして、このような成果は、外務省や防衛省を含めた日本政府の大きな努力の賜物である。そう、中西先生はおっしゃいます。
G7広島サミットを巡っては、首脳たちの資料館見学の時間が「40分」だったことを取りあげて「短かった」などとする報道もなされました。その一方で、「日本人入館者でも、平均の滞在時間は45分ほどだ」というデータを紹介する向きもありました。
しかし、評価は全体観・歴史観をもって行われるべきものでしょう。そのことを実感させてくれる講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆中西輝政:「G7広島サミット」をどう読むか(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4955&referer=push_mm_rcm2
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編集部#tanka
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https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4411&referer=push_mm_tanka
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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて、突然ですが、今週から新たに「編集部#tanka」コーナーが開始となりました。時事から歴史から、はたまた政治、経済から科学技、医療までさまざまなジャンルを横断しながら、歌という短い文字に、皆様の新たな学びへの一助となりますようにという思い、願いを込めてお届けいたします。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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