編集長が語る!講義の見どころ
「ポスト冷戦」終焉の激動期に日本政治はどうあるべきか/中西輝政先生【テンミニッツTV】

2023/07/04

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です

これから世界がどうなるのか。そして、日本の政治はいかにあるべきなのか。このことを考えるうえで、大きな世界の動きをどう理解するかは、まことに重要なテーマです。

とりわけ、ウクライナでの戦争の情勢が大きく変わりそうなとき、そして、国内でも衆議院の解散が幾度もささやかれるようなときだからこそ、ぜひ整理しておくべきでしょう。

そもそも、なぜロシアはウクライナを侵略したのか。それを理解するためにも、冷戦終焉からの30年がいかなる時代だったのかを分析しておく必要があるはずです。

本日は、中西輝政先生(京都大学名誉教授)の講義を紹介いたします。中西先生はこの講義で、冷戦終焉後の時代は大きく3つに分けることができるとおっしゃいます。さらにそのうえで、日本政治の根本的なあり方を問うのです。

◆中西輝政:ポスト冷戦の終焉と日本政治(全7話)
(1)「偽りの和解」と「対テロ戦争」の時代
冷戦終焉から30年、激変する世界の行方を追う
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4967&referer=push_mm_rcm1

まず中西先生は、ベルリンの壁の崩壊で「これで世界は平和な時代を迎えるのだ」と考えたこと自体が、そもそもの誤りであったことを強調されます。

いまだ中国はじめ多くの国が一党独裁の共産主義国で、ロシアもKGB出身者が国を牛耳る国家社会主義的な姿になっていく。このことを考えれば、世界が現在のような事態に立ち至るのも見えていたはずだというのです。まさにご指摘のとおりでしょう。

そのうえで中西先生は「ポスト冷戦」の30年間を、次のように3つに分類されます。

最初の10年は、西側が圧倒的に有利で、中国、ロシア、イランなど現在の国際秩序を何とかしてひっくり返そうという底意を持っている国々が、あえてそのことを隠して「偽りの和解」を示した時代。

第2期の10年は、2001年の9・11のアメリカ同時多発テロ以降、アメリカが対テロ戦争という形でアフガニスタンに侵攻し、全く根拠のないイラク戦争をやってしまった時代です。さらに2008年にはリーマンショックも起きます。

これによって強いアメリカはふらつき始めます。そして一方で、中国やロシアは態勢を立て直し、経済的に大きく成長していきます。

そして第3期は、2012年くらいからの10年です。この年にロシア大統領に復帰したプーチン、そして中国ナンバーワンの地位に就いた習近平は、強硬な政治姿勢を取るようになっていきます。一方、再選されたオバマ大統領は「アメリカは世界の警察官をやめる」と発言してしまいます。

さらに2014年のロシアによるクリミア侵略では、ロシアに宥和(ゆうわ)してウクライナに譲歩を強いる「ミンスク合意」を結んでしまいます。2016年にはトランプ大統領が当選し、イギリスではジョンソン政権がEU離脱を決める。

かくして、現在の状況に至るわけです。

この第3期で決定的だったのは、中国の強大化・強圧化と暴走といってもいい強硬な対外膨張だったと中西先生は強調されます。かつてトウ小平は「韜光養晦(とうこうようかい)」と語り、いまは爪を隠して頭を低くしておこうと説きましたが、習近平は爪を顕(あら)わにしはじめました。

この流れのなかで、「価値観」が世界秩序の大きな分け目になってきます。「法の支配や国際法に基づく現状を守る」という考えと、「イデオロギーが正しければ軍事力を行使して現状を一方的に改変してもいい」という考えとに二分されるのです。

そのことが、2016年以降に非常に明確になってきた。この大きな流れを見誤ると、日本は大きな失敗に陥りかねない。そう中西先生はおっしゃいます。

しかし、そのような状況下、日本では国会の姿もピエロ的に劣化している部分があります。一方でロシアなどは、ヨーロッパの極右政党などに援助をして政治のかく乱を図っているともいわれます。

このようななかで、日本はどうすべきなのか。

中西先生は、「このようなときこそ、大所高所から大きな歴史の流れを俯瞰(ふかん)的に展望しなければならない」と強調されます。そのうえで、合理主義に徹する勇気を持たなければならないというのです。

しかし、日本は大きな3つの問題点を抱えてしまっている。

第1は、とにかく選挙に価値さえすればいいという「選挙至上主義」。第2は、二大政党制を不可能にする「野党の行動様式、思考様式の問題」。そして第3が「国民の政治への無関心」です。

それぞれについての詳細は、ぜひ講義本編をご覧ください。

そのうえで中西先生は、プーチン的なもの、習近平的なもの、トランプ的なものは、はっきりと終焉が見えてきたと指摘されます。そして、「民主主義を守るための経済システム」を構築しなければならないというのです。

そのために日本政治をどう改革すべきか。

そのことも中西先生は、諸外国の制度改革の事例をふまえて具体的に提言されます。いずれも意外と知らないことばかり。日本のメディアの劣化がつくづく思い知らされます。

中西先生がおっしゃるように、大局を見据えて、しっかりと政治の制度改革を考えていかなければならないことが痛感される必見講義です。ぜひご覧ください。

(※アドレス再掲)
◆中西輝政:ポスト冷戦の終焉と日本政治(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4967&referer=push_mm_rcm2


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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。

さて、先週少しお伝たしましたが、昨日(7月3日)より新講師である毛内拡先生(お茶の水女子大学 基幹研究院自然科学系 助教)のシリーズ講義が配信開始となりました。

◆毛内拡:知られざる「脳」の仕組み~脳研究の最前線(全8話予定)
(1)脳科学と「ミクロのマクロの隔たり」
脳が生きている、死んでいるとは?最新研究で迫る脳の秘密
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4977&referer=push_mm_edt

いま、脳科学は医学のみならず、教育や経済にもその知見が応用される大注目の分野ということで、満を持しての配信開始となります。
第37回講談社科学出版賞受賞作『脳を司る脳』の著者でもある毛内先生が、最新の脳科学研究を踏まえて、「脳」の仕組みについて資料を使って分かりやすく丁寧に解説されています。
毎週月曜日配信で全8話予定です。ぜひシリーズを通してご視聴ください。