編集長が語る!講義の見どころ
ベストセラー『還暦からの底力』に学ぶ幸福な人生へのヒント(テンミニッツTVメルマガ)
2020/09/15
皆さまこんにちは。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
出口治明先生(立命館アジア太平洋大学<APU>学長/学校法人立命館副総長・理事)が執筆された『還暦からの底力』がベストセラーになっていることをご存じの方も多いと思います。2020年5月下旬の発売ですが、それから約2カ月で20万部を突破しています。
本日ご紹介するのは、出口先生ご自身が、この『還暦からの底力』をベースにしつつ、人生100年時代に、いかに幸福な人生を手に入れるのかについてのヒントを縦横無尽に語ってくださった講義です。『還暦からの底力』はベストセラーになるのが不思議ではない充実した内容ですが、特にピックアップしたいのが、「定年型社会から脱却しよう」というメッセージと「人生を幸福にする発想法」です。今回、テンミニッツTVでは、それぞれについて出口先生にお話をうかがいました。
◆出口治明:『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(全7話)
(1)定年制は要らない
日本の「定年制」はガラパゴス的で不幸を招く悪しき慣行だ
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3520&referer=push_mm_rcm1
まず出口先生は、「働けるうちは働こう。『定年』という発想があるのは日本だけだ」とショッキングなことをおっしゃいます。「一括採用、終身雇用、年功序列、定年」がワンセットの労働慣行は、戦後の日本が生み出した特異なもので、この前提条件は人口の増加と高度成長だというのです。
1956年から1990年までの日本の成長率は平均すると7%。とすると企業は、辞める人のことまで考えると毎年7%~10%増で人材を採用しなければならず、100人の企業なら毎年7人~10人ずつ増やしていかないといけない。これは大変なことであり、企業としても極力、労働者が辞めないようにしなければいけない。そこで終身雇用や年功序列が主流となった。年功序列になると、役職者は高齢者中心になるので、「キープ・ヤング」を守るために定年を設ける必要が出てくる……。非常にわかりやすいご説明です。
しかし、これは高度成長だから成立する話であって、グローバルに考えたら、必要なときに必要な人を採用し、うまくいかなくなったら申し訳ないけれどもお金を支払って辞めてもらうのが当たり前のこと。それは日本でも、町のラーメン店などは同じではないか。しかし、日本の大企業などでは、本人がとても元気でまだまだ仕事がしたいのに、職場から「明日で60歳だから、もう来なくていいですよ」といわれてしまう。これは人間性をまったく無視した非人間的な制度だ。そう出口先生はおっしゃいます。
また出口先生は、2017年1月に、日本老年学会と日本老年医学会が高齢者の定義を65歳から75歳に変更するよう提言したことを紹介されます。「今の75歳は、昔の65歳と相撲を取っても負けないということだ」というのです。しかも出口先生が、のべ50人くらいの医者に「どうすれば健康寿命が延びますか」と聞いたところ、全員の答えが「働くこと」だったといいます。ということは「定年後は、働かないで、のんびり暮らしてね」というのは「早く寝たきりになってね」というのと同じではないか。ならば楽しい人生を送るためには、遊ぶためにこそ働いたほうがいい。そう出口先生は強調されます。
そのような社会にしていくために大切なこととして、出口先生は次のようなことを挙げていきます。
◆「年齢フリー」の社会にすること。
◆野球の松坂大輔さんのような価値観にしていくこと。
◆プロ野球のように、年功序列ではなく成果序列にしていくこと。
◆厚生年金の適用拡大をしていくべく、ドイツの「シュレーダー改革」に学ぶこと。
◆「ヤング・サポーティング・オールド(若者が高齢者をサポートする)社会」から「オール・サポーティング・オール(全ての人が全ての人をサポートする)社会」にしていくこと。
◆歴史観と全体観をもって捉えると、消費税反対派の意見はどう見えるか。
それぞれ、思わず膝を打ちたくなるお話ばかりですが、どのような内容かは、ぜひ講義をご覧ください。
さらに出口先生は本講義で、「人生を幸福にする発想法」についても語ってくださっています。特に「学ぶことの大切さ」「学ぶ仕組みを持つことの大切さ」「古典と歴史の大切さ」の指摘は、全世代の方々が参考にすべきものです。学びへの勇気と意欲をもらえる、ヒントとエールに満ちた内容であり、テンミニッツTVの会員の皆さまには、特に心に響くお話だと思います。
わかりやすく、たとえやエピソードも秀逸。人生を豊かで幸福なものにするためにも、また、今後の日本のあり方を考えるためにも、まさに必見講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆出口治明:『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3520&referer=push_mm_rcm2
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☆今週のひと言メッセージ
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「条件がそろったら決断する、と言っている人は、決断しません」
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=669&referer=push_mm_hitokoto
己の損得を超えろ~上甲氏自身の人生の葛藤
上甲晃(志ネットワーク代表)
「上甲さん、そうなんですよ。条件がそろったら決断する、と言っている人は、決断しませんよ。条件がそろったら出馬してもいい、という人は絶対に出馬しない。いつも条件が足りない気がする。だから、決断が条件をそろえていくんですよ」
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今週の人気講義
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「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理(法政大学文学部心理学科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2848&referer=push_mm_rank
「幸せをめざす人は不幸、めざさない人は幸せ」という研究がある
前野隆司(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3532&referer=push_mm_rank
世界にダークエイジの到来を阻止するため重要な5つの対策
島田晴雄(東京都公立大学法人理事長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3592&referer=push_mm_rank
新型コロナによる日本初の院内感染にどう対処したのか
仁坂吉伸(和歌山県知事)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3579&referer=push_mm_rank
『ロビンソン・クルーソー』はなぜ300年間読まれてきたのか
武田将明(東京大学総合文化研究科言語情報科学専攻准教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3574&referer=push_mm_rank
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編集後記
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編集部の加藤です。
今回は人気講義にもある『ロビンソン・クルーソー』について少し。
実は先日、『ロビンソン・クルーソー』の講義のことを知り合いに少し話したら、とても興味を抱いたようで、早速本を購入し、読んでみたそうです。
数日後、その知り合いから返事がきました、「面白かった」と。「どこが?」と尋ねると、「島での話…」ということで、続けて具体的な話をしてくれたのです。
そこで思い出したのは、武田先生が『ロビンソン・クルーソー』のイメージについて学生の方に聞いた時、「なかなかロビンソンが無人島に漂着しないので困った」という答えが返ってきたという話です。読み手によって、ポイントとなるところへの答えにこれだけ違いがあるのは非常に興味深いと感じました。
ロビンソンは言行不一致の人ということですが、そのことがこの本の感想が不一致、言い方をかえれば多様な読み方、読まれ方ができるということにもつながっているようで、それが300年間読まれ続けてきた理由の一つなのかなと、一人で勝手に納得してしまった次第です。以上、余談でした。
<ご紹介した本はこちら>
『ロビンソン・クルーソー』(デフォー著、武田将明翻訳、河出文庫)
https://www.amazon.co.jp/dp/4309463622/
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