編集長が語る!講義の見どころ
世界と日本の「神話の教養」~ケルト神話/特集&鎌田東二先生【テンミニッツTV】

2023/08/04

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です

■アンケートのお願い~本日(8月4日)締切です

今週火曜日にもお知らせしたアンケートのお願いですが、本日(8月4日)が締切となります。

テーマは「テンミニッツの魅力は何か」。
実際にご活用いただいている皆さまに、「どのような点がお役に立っているのか」「どのような点に魅力を感じるのか」をお聞きして、テンミニッツTVの魅力を高め、サービスや講義内容を向上させていく貴重な参考意見とさせていただきたく考えております。

3分程度でお答えいただける簡単なアンケートです。ぜひご協力を賜りたく、よろしくお願い申しあげます。また、もしよろしければ、この機会にぜひ忌憚なきご意見などもお寄せいただければ幸いです。

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■今回の特集:世界の神話・日本の神話の「教養」

世界各地に、さまざまな神話が伝承されています。しかし考えれば考えるほど、神話というものは、まことに不思議なものです。

そもそも、なぜそのような神話が生まれたのか。各地域によって神話の物語がまったく違っていることが、各地の人々にいかなる影響を及ぼしているのか。逆に、あまりにも遠く離れた土地の神話に、とても似たエピソードが含まれていることがあるが、それはいかなる意味を持っているのか……。

世界各地の人々の文化や価値観を深く知るために、「神話」ほど本質的なものはありません。さらに神話の物語を知ることで、人間の心の奥底までをのぞき見ることができます。

多くのヒントが得られる神話の教養は必ずや自分自身にとっての大きな財産になること間違いなしです。今回は、世界の神話を学べる講義を「特集」として集めてみました。ぜひ、夏に神話を愉しみましょう。

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=206&referer=push_mm_feat

・鎌田東二:世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観

・鎌田東二:ケルト神話とは…ダーナ神族、アルスター神話、フィアナ神話

・鎌田東二:メソポタミア神話は、ギリシア神話はじめ世界の神話の原点

・鎌田東二:天地創造、アダムとイブ、カインとアベル、モーセの十戒

・鎌田東二:ゼウス以前のギリシア神話は3世代にわたる神権交代の物語

・鎌田東二:「国生み・国作り・国譲り・国治め」と「むすひ」の力

・鎌田東二:世界神話の中での日本神話の特徴は「人間の格づけ」にある

・鎌田東二:なぜ『古事記』と『ギリシア神話』は似ているのか

・納富信留:2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由

・納富信留:エルの物語…臨死体験から考える「どういう人生を選ぶか」

・岡朋治:古代エジプト、インド、中国の宇宙観とギリシアの天動説

・本村凌二:「神々のささやく世界」では神々の声が行動を決める


■講座のみどころ:ケルト神話と日本神話の意外な共通性とは?(鎌田東二先生)

本日は特集から、鎌田東二先生(京都大学名誉教授)の「ケルト神話」講義を紹介いたします。

鎌田先生には、日本神話と世界神話を様々な角度から比較していただいく講義を3シリーズお話しいただいたうえで、さらに日本神話、ギリシア神話、ユダヤ神話、メソポタミア神話の「基本を知る」講義をお願いしています。

今回は「ケルト神話」に迫っていただきました。さらにこの後、インド神話、北欧神話……と続きますが、まずはケルト神話について見てみましょう。

実はケルト神話には、日本神話と不思議な共通性があるというのですが……。ユーラシア大陸を挟んで端と端に位置する地で、なぜそのような類似点が生まれるのでしょうか?

◆鎌田東二:ケルト神話の基本を知る(全3話)
(1)ケルト地域と3つの神話群
ケルト神話とは…ダーナ神族、アルスター神話、フィアナ神話
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5013&referer=push_mm_rcm1

ケルト神話……という言葉をお聞きになったことがある方は多いと思います。ただ案外、どのようなものか明確にわからない方も多いのではないかと思います。

まず鎌田先生が教えてくださるのは、ケルトと呼ばれる地域がどこかです。

《一般的には「島のケルト」と「大陸のケルト」といわれてきました。島のケルトはアイルランドが中心で、イギリスのウェールズ地方、南部のコーンウォール地方、北部のスコットランド地方など、イギリスの一部も含まれます。それに対して、大陸のケルトはフランスの一部、特に西北部、そしてスペインの西北部に広がっています。このあたりでは「スペインケルト」や「フランスケルト」と呼ばれています》

ケルトは、もともとは中東欧で発祥し、そこから移動してその最終地点がアイルランドだったのです。
アイルランドに、もっとも色濃くケルトの伝承が残っています。

ケルト神話は、さまざまな伝承があって断片的ですが、大きく分けて、ダーナ神族の神話、アルスター神話、フィアナ神話の3つの神話群があるとのこと。それぞれ、アイルランドに移住してきた人たちの第1世代、第2世代、第3世代の神話体系が残っているとも理解できます。

天地創造も人間のはじまりも、ケルト神話でははっきりしません。これは元々はあったものが、記録としては残されなかったのではないかと、鎌田先生はおっしゃいます。

ケルト神話は、多神教的な神話で、日本の神話に近いのは、妖精や小人などに表象されるような多様な霊性・霊的存在の世界を含み持っていることだといいます。

しかし、天照大神によって統合され、その子孫が天皇になっていく日本とは違い、ケルト神話は、各地域ごとの有力な英雄たちの神話であり、しかも世代間の闘争が行なわれたりもします。

そのような物語のなかで興味深いのは、ケルト神話の「オシーン伝説」が、日本の浦島太郎にそっくりだということです。

さらに鎌田先生は、日本とケルトは「地の果ての島国特有の重要な神話的表象」という部分で共通性があるとおっしゃいます。具体的には、「神話の中の悲哀観・もの悲しさ」という面で共通性があるのは、まさにそれゆえだというのです。

そのような悲哀の物語として有名なのが、「悲しみのディアドラ」です。ディアドラという美しい女性と、その周りの人々に降りかかる悲劇の物語です。どのような話かは、ぜひ講義本編でご覧ください。

さらに、死後に魂が行きつくであろう世界として描かれる異境が「ティル・ナ・ノーグ」です。このような世界を、日本人の死生観と比較するのも、まことに興味深いことです。

地の果ての島国で培われた多神教の物語として、日本人としては懐かしささえ覚える興味深い神話群です。その「ケルト神話の基本」に、ぜひ本講義で触れていただければ幸いです。


(※アドレス再掲)
◆アンケート「テンミニッツTVの魅力は何か」
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeHPIz1GqTIaRqcLlQzB9PGEJHSh7OQ2WjzArGZcy3xkMqKdQ/viewform?referer=push_mm_new_function

◆特集:世界の神話・日本の神話の「教養」
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=206&referer=push_mm_feat

◆鎌田東二:ケルト神話の基本を知る(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5013&referer=push_mm_rcm2


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坂の上の雲かがやける夏空に遼かなる雲の行方を追って

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https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4929&referer=push_mm_tanka