編集長が語る!講義の見どころ
アンケート御礼&激変する世界を学問的にどう理解すべきか/曽根泰教先生【テンミニッツTV】
2023/08/08
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
猛暑が続いております。少し外にいるだけで、クラクラしてきます。皆さま、どうぞくれぐれもお気をつけください。
■アンケート、まことにありがとうございました■
先日は、「テンミニッツTVの魅力は何か」のアンケートに数多くのご協力をいただきまして、まことにありがとうございました。ご感想やご要望も、多数いただきました。本当にありがたく、心より御礼申しあげます。
ちなみに、「実際に使ってみた感じた魅力」について、圧倒的な多数の皆さまにお選びいただいた第1位が「講師陣が魅力的で信頼できる」。少し離れて、第2位「1話10分が良い」と第3位「学ぶことで新たな気づきがあった」が僅差で並びました。
やはり、講師陣がテンミニッツTVの命です。今後も、素晴らしい方々にご出講いただけるよう、努力を重ねてまいります。
いただきましたご意見は、サービス向上の重点を明確にするのに、とても参考になるものでした。今後、ぜひ活かしていきたいと思います。また、お寄せいただいたご要望についても、精査のうえ順次、実現に向けて検討していきたいと思います。
今後も、テンミニッツTVとしましては、皆さまにお役立ていただきやすいものとしていくべく、工夫を重ねていきたいと思います。ぜひ引き続きましてご愛顧を賜りたく、何卒よろしくお願い申しあげます
■激変する世界を学問的にどう理解すべきか/曽根泰教先生
さて、本日は曽根泰教先生(慶應義塾大学名誉教授)の「国際変動の中の経済政策」講義を紹介いたします。
曽根先生には、先に「政権と経済政策」というテーマで、国内政治において経済学説がいかに影響を及ぼすのか、あるいは政権がいかに経済学説を利用するのかについて、多角的に教えていただきました。
今回の講義では、さらに国際的な情勢の変動に、学問がどのように対応していくのか、われわれはそれをどのように活用すべきかについて学べます。
振り返ってみると、わずか数十年のあいだに状況が激変していることがよくわかります。それを、いかに正しく把握することができるのでしょうか。
◆曽根泰教:国際変動の中の経済政策(全3話)
(1)20世紀の政治経済と国際変動の影響
激変する国際秩序や国内政治を学説や政策はどう導くか
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5010&referer=push_mm_rcm1
この講義の冒頭で、曽根先生は20世紀にどのような動きがあったかをまとめてくださいます。1914年に第1次世界大戦、1917年ロシア革命、1929年大恐慌、そして第2次世界大戦、さらに冷戦へ……。
国際的に破局を防止するシステムも、1920年の国際連盟、1945年の国際連合、経済的にも1945年のIMF、1948年のGATT(1995年にWTOに)と次々につくられてきました。
考えてみれば、第2次世界大戦が終わってから、もうすぐ80年になりますが、この80年でも驚くほどの変化が起きています。曽根先生は、次のようにおっしゃいます。
《われわれは一見安定的な秩序の下に国の政治体制があり、政治体制の中で学問があるように思っているけれど、これだけの荒波にさらされているということを理解したほうがいいのではないかという問題提起なのです》
まさに、おっしゃるとおりでしょう。
そのうえで、曽根先生は1929年の大恐慌をきっかけに「大きな政府」の方向性に動いていたものが、いかに1979年代末から「小さな政府」に変わってきたかを論じられます。
考えてみれば、「大きな政府」の場合は、利権を分配して自分の支持基盤を拡大できますが、「小さな政府」は、逆に政治試算を縮小して、それまでの支持基盤の離反を招きかねません。なぜ「小さな政府」への流れができたのか、不思議なことです。
このご分析はとても興味深いところ。ぜひ講義第2話をご覧ください。
第3話では、学問の普遍性と、地域ごと時代ごとの特殊性をどのように考えるべきかが論じられます。
学問は普遍的なものだと考えられがちです。たとえば、数学の方程式が国によって違うということはありえません。
しかし現在、中国などは「民主主義や自由主義は、普遍原理ではなく、西洋原理ではないか」と主張しています。このようなことを、いかに考えるべきなのでしょうか。
あるいは、ChatGPTの登場が象徴的ですが、サイバー空間で起きていることに、経済学などがうまく乗っているのでしょうか。
現実が揺れているときに、ある意味では、学問が追いついていないということもありうる。そのようなときに、どのように考えるべきか。
曽根先生は、次のようにおっしゃいます。
《揺れと同じように自分の目が動いたら、もう混乱するだけですから、それを落ち着いて、「これはこう理解したらいいです」という解説が必要になってくると思います。
個人があらゆる情報にアクセスできるというのは、それはそれでいいのですが、アクセスして、情報があふれかえっているのを整理してくれるという手段が必要です。テンミニッツTVは、ある意味でその視座を与えてくれる手段だろうと思います》
さらに議論は、第1次世界大戦と第2次世界大戦の戦間期に、ヒトラーや近衛文麿が主張したような、あるいは現在、中国が主張しているような「普遍主義的な主張は、実は強いやつらが儲けるためのものだ」というような見解について、どう考えるかに進んでいきます。
曽根先生は「中心部分では、本当は会話が成り立つほうがいい」とおっしゃいます。どのようなことかは、ぜひ講義本編をご参照ください。
激動する現実にどう向き合うか。そのことが、俯瞰的によく見えてくる講義です。ぜひ、ご覧ください。
◆曽根泰教:国際変動の中の経済政策(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5010&referer=push_mm_rcm2
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編集部#tanka
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河合祥一郎先生が語るシェイクスピアの喜劇世界。過ちを犯すことが人間の本質。ならば、アホな知恵者たるより、知恵ある阿呆たれ。ついつい我々が忘れてしまいがちな境地です。(達)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4993&referer=push_mm_tanka
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山内昌之(東京大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5018&referer=push_mm_rank
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編集後記
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皆さま、今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて、今月は終戦の月8月ということで、本日は以下の講義を紹介いたします。
◆早乙女勝元:東京大空襲と私(全3話)
(1)昭和20年3月10日の体験
「神風の一員になれ」と言われた少年時代
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2262&referer=push_mm_edt
東京大空襲・戦災資料センター名誉館長で作家の早乙女勝元氏(故人)によるシリーズ講義で、5年前に配信開始となりました。ちょうど86歳の誕生日の日に収録に伺ったのですが、凛とした佇まいと、はつらつとした話し方に、圧倒されたことを今でも思い出します。
また、12歳のときに見舞われた東京大空襲のお話が、その場で聴いていた私のこころにずしりと重く深く強く響いて、しばらくずっと離れなかったことを、いまでも記憶に残っております。
この機会にぜひシリーズを通してご視聴ください。改めて戦争とは何か、平和とは何か、その意味を考える契機になれば幸いでございます。
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