編集長が語る!講義の見どころ
小澤征爾さんの父が満州事変で考えたこと/小澤俊夫先生【テンミニッツTV】
2024/02/13
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です
指揮者の小澤征爾さんが、2月6日に逝去されました。欧米出身ではない人々が西洋楽壇で大活躍していく先駆けとなった巨匠でした。小澤さんが道を拓いたからこそ、いまの百花繚乱のクラシック界の姿があるといってもいいかもしれません。そして、これからも長く聴き継がれるであろう名演名盤も数多く残されました。心より哀悼の意を表します。
テンミニッツTVでは、小澤征爾さんのお兄さんの小澤俊夫先生(小澤昔ばなし研究所所長/筑波大学名誉教授)が、ご兄弟の父である小澤開作さんについて語った講義を配信しています。
実は小澤開作さんは、満洲事変で「満洲青年連盟」の一員として活躍し、満洲事変において大きな役割を果たしていた人物でした。そしてその活動は、当時の日本人の心意気や理想を体現したものでもありました。
「満洲事変は日本の侵略」。そう言い切ってしまうと、歴史の大事な教訓を見失いかねません。当時、満洲をめぐる情勢はまことに複雑であり、さらに日本のご都合主義的な政策や、いわゆる「軟弱外交」が大きく影を落していたからです。加えて、そこに諸外国の思惑も絡まり……。
小澤征爾さん追悼の想いも込めて、あらためてこの講義を紹介いたします。小澤俊夫先生の語り口に魅了されながら、当時、現場にいた日本人たちが何に直面し、何を考えていたのかを学べる講義です。
◆小澤俊夫先生:小澤開作と満洲事変・日中戦争(全10話)
(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3606&referer=push_mm_rcm1
小澤征爾さんの「征爾」の字が、満洲事変を主導した板垣征四郎と石原莞爾の名前から取られていることをご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
小澤俊夫先生、小澤征爾さん、そして俳優でエッセイストの小澤幹雄さんの父・小澤開作さんは、満洲事変の当時、長春(満洲国時代は新京)で歯科医を営みつつ、満洲在住の日本人の集まりである「満洲青年連盟」の一員として活動をしていました。そして、満洲事変や日中戦争に関わっていくことになります。
満洲事変直前の1931年7月、その長春の近郊で「万宝山事件」が起こります。これは朝鮮人農民が開拓していた農地や用水路を、中国人の官憲が破壊しようとしたことに端を発するものでした。
実は、満洲で日本人は厳しい排斥運動に直面していました。満洲を支配していた張学良政権は、「日本人や朝鮮人に土地を貸したり売ったりした者は、国土を盗売した者として処罰する」という「盗売国土懲罰令」まで制定していました。
とりわけ、立場の弱い朝鮮人(朝鮮併合後、日本国民として扱われていました)に対する攻撃が激しく、満洲各地で土地を奪われたり、追放されたり、監獄に入れられるケースが続出します。万宝山事件はその一例でした。
当時、満洲に日本人が居住していたのは、日露戦争後、日露間で結ばれたポーツマス条約と、日清間で結ばれた満洲善後条約(満洲ニ關スル条約)に基づくものでした。にもかかわらず、いわば国際法違反のような形で、迫害・排斥が続いたのです。
万宝山事件に直面した朝鮮人農民たちは、当時、満洲青年連盟長春支部の中心人物であった小澤開作さんに救いを求めます。義憤にかられた小澤開作さんは、満洲青年連盟を突き動かし、万宝山事件に対する抗議活動を行なうとともに、事実を広く知らせるべく演説会や日本遊説などを行なって世論を喚起していきました。
当時、日本の外務大臣は幣原喜重郎。「平和外交」を標榜する幣原は、満洲での排日運動に有効な手を打ちません。繰り返される迫害に、在満邦人の怒りと不満は高まっていました。この大きな怒りと不満が、満洲事変の大きな背景となっていくのです。
満洲事変が勃発すると、小澤開作さんや満洲青年連盟は積極的に支援活動を展開します。小澤開作さんは私費を投じて、なんと長春に飛行場を建設。さらに満洲青年連盟のメンバーとともに、満洲人や漢人に働きかけを行なっていきます。
小澤開作さんはじめ満洲青年連盟のメンバーたちは「民族協和」という理想を真剣に掲げ、満洲に住まうすべての人々のための独立国を建国すべく奔走。「満洲国協和会」の結成に至ります。しかし、権益主義的な軍官僚や経済官僚が満洲の地にやってきて、その理想は挫折していくことになるのです。
小澤開作さんは、その後、北京に移って真の日中友好、そして民族協和のために力を尽くします。大陸にやってきた日本人が、中国の人々を下に見てしまう傾向に、大いに警鐘も鳴らしていました。
しかし、その活動も挫折。日本に帰国した後には、中国で共に活動した中国人要人と連携して和平工作にも奔走しますが、それも失敗に終わります。
小澤開作さんが、終戦の日に語った「日本人は長いこと涙を忘れてきた。これで涙を知ることはいいことだ」という言葉は、われわれの胸に深く響きます。
そして戦後の小澤俊夫・小澤征爾兄弟との逸話などから、小澤開作さんの魅力的な人柄をうかがい知ることができます。また、満洲で権益主義的だった官僚たちへの批判は終生持ちつづけていたようですが、その視点も多くを考えさせます。
「民族協和」というと、満洲事変のプロパガンダのように聞こえてしまう部分があることは否定できません。しかし当時、真剣にその夢に向き合った日本人も数多くいました。小澤開作さんはその代表格ともいえましょう。
小澤征爾さんが、あらゆる国の人々が参加できるクラシック楽壇への道を拓き、その立役者となったことは、小澤開作さんの理想が新たなかたちで花開いたものであるようにも思えてきます。
いまこそ、われわれも小澤開作さんの理想と行動から、多くを学ぶべきではないでしょうか。
(※アドレス再掲)
◆小澤俊夫先生:小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3606&referer=push_mm_rcm2
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編集部#tanka
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女性脳は男性脳とは大違いそれさえ知ればこの世は平和
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