編集長が語る!講義の見どころ
幸福な「第二の人生」へ!…キケロに学ぶ/特集&本村凌二先生【テンミニッツTV】

2024/03/08

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

人生100年時代といわれます。第二の人生を、充実したものにできるかどうか。ここが、まさに「幸福な人生」かどうかの大きな分かれ道ともいえるでしょう。

第二の人生を「黄金の15年」にできるか、それとも……。

準備は早ければ早いに越したことはありません。うかうかしていると、人生の「大切な完成期」をあたら無駄にしてしまいかねません。

では、どのようにすれば、幸福な第二の人生を手に入れることができるのか。さまざまな角度から考えていきます。


■特集:幸福な「第二の人生」を手に入れるために

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=129&referer=push_mm_feat

・本村凌二:『老年について』の著者キケロとはどんな人物なのか

・出口治明:「悠々自適」は定年を正当化するための神話にすぎない

・楠木新:不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント

・長谷川眞理子:『LIFESPAN 老いなき世界』が突き付けた永遠の命の意味

・秋山弘子:「エイジング・イン・プレイス」の意味と取り組み


■講義のみどころ:2000年を超える叡智…キケロ『老年について』(本村凌二先生)

本日は特集のなかから、本村凌二先生(東京大学名誉教授)に古代ローマの弁論家、政治家、哲学者であったキケロの『老年について』をご解説いただいた講義を紹介します。

キケロという名前をお聞きになったことがある方も多いことでしょう。古代ローマで、カエサルと同時代を生きた人物です。

そのキケロが『老年について』を書いたのが、紀元前44年のこと。いまから2000年以上前の本だということになりますが、そこに書いてあることは驚くほど、現代にも通じることばかり。とても多くの気づきを得ることができます。

◆本村凌二:キケロ『老年について』を読む(全9話)
(1)キケロの評価と「老年の心構え」
『老年について』の著者キケロとはどんな人物なのか
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5210&referer=push_mm_rcm1

キケロ『老年について』は、岩波文庫版で148ページほど(しかも注釈なども含めて)の薄い一冊であり、とても手に取りやすい一冊です。

その構成は、登場人物の一人であるカトーが、老年が惨めになると思われる4つの理由を挙げて、それぞれに反駁していき、「老年は、非常に充実できるものである」ということを説く形をとっています。

ここで挙げられる「老年が惨めになる4つの理由」は、次のものです。

第1は、「老年は公の活動から遠ざけるから」。

第2は、「老年は肉体を弱くするから」。

第3は、「老年はほとんど全ての快楽を奪い去るから」。

第4は、「老年は死からとおく離れていないから」。

ここに提示されている「4つの理由」は、現代のわれわれにも何の違和感もありません。しかも、それを反駁して述べられていく「老年論」も、現代人にとっても深く心に響きます。

極めて参考になる内容で、身に覚えがあったり、深く考えさせられたりすることばかりです。

2000年以上も前に書かれた本が、ここまで現代のわれわれにも響くのは、本当に驚くべきことです。それだけキケロが、「人間の本質」について鋭く洞察しているということでしょう。

キケロは古代ローマの著名な弁論家で、哲学者や政治家としても知られます。キケロはカエサルより6歳ほど年長です。

キケロが生まれたのは紀元前106年。貴族より少し格下の騎士身分の出身でした。文学、法律、修辞学などの学問に秀で、紀元前81年に弁護士となり、持ち前の雄弁で頭角を現わします。

キケロは政治家としても活躍し、貴族出身ではない人物としては、異例ともいえるほどの出世を果たしました。ところが同じ時期のローマには、カエサルをはじめ、グナエウス・ポンペイウスやマルクス・リキニウス・クラッススなど錚々たる政治家がいました。

そのため、キケロはローマの元老院では重きをなしていたものの、政治家としては紆余曲折を辿ることになります。

政治家としてのキケロは、カエサルに対して批判的な立場でした。カエサルは後年になると、元老院と対立し、純粋な共和政を守るという姿勢がどんどん希薄になります。一方、キケロは元老院を中心とした共和政を守る保守派の立場だったのです。

政争の結果、キケロが与した一派はカエサルに敗れ、キケロは60歳頃から引退生活のような暮らしを送ることになります。そうしたなかで、61歳のときに書かれたのが『老年について』でした。

ところがキケロは、紀元前43年12月に、63歳で亡くなります。

紀元前44年に暗殺された後、カエサルの部将であったマルクス・アントニウスがカエサルの後継者として台頭すると、キケロはアントニウスと対立し、有名な、アントニウスの弾劾演説を行ないます。このためキケロは、アントニウスの放った刺客により、死に追い込まれてしまうのです。

そんな波乱万丈の生涯を送った雄弁家キケロが、自身が死に直面する数年前に「老年」の生き方について、どのように語ったのか。それについては、ぜひ講義本編をご覧ください。

なお、第2話以降の講義タイトルは以下のとおりです。

(2)老年が公の活動から引き離される理由
ギリシアの将軍が驚いたローマの元老院、老人の見識の高さ

(3)老年には体力がないのか
ソクラテスが竪琴!? 老年から新しいことを始める柔軟性

(4)老いは徐々にやってくる
盲目の老人アッピウスの気概…必要な老いへの備えと想像力

(5)老年には快楽がないのは本当か
快楽ほど有害なものはない!元老院から追放された男の教訓

(6)学びは老年に向いている
三日坊主はダメ!学びこそ老年の「心の快楽」のために大事

(7)農夫たちの快楽と賭博の嗜み
老年における賭博とは?100円からでも楽しめる競馬の魅力

(8)「権威」という褒美
アウグストゥスがお手本、老人にとっていかに権威が大事か

(9)死について老年はどう対処すべきか
キケロは覚悟がいい…終幕でジタバタしない「死」への構え

ここにもあるとおり、キケロの考えに加えて、本村先生の感慨も次々と語られる本講義、自分の人生を充実させるために、老若男女、すべての人が必見の講義です。ぜひご覧ください。

(※アドレス再掲)
◆特集:幸福な「第二の人生」を手に入れるために
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=129&referer=push_mm_feat

◆本村凌二:キケロ『老年について』を読む(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5210&referer=push_mm_rcm2


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「もしトラ」などといわれましたが、トランプ氏が予備選挙圧勝。安倍総理を暗殺で失った日本はどうなるのでしょう?せめてまずは何が起きそうかを、東秀敏先生の講義の復習で。(達)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3713&referer=push_mm_tanka