編集長が語る!講義の見どころ
若者とのコミュニケーション…Z世代との接し方/山浦一保先生【テンミニッツTV】
2024/04/02
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
いよいよ4月、新年度となりました。職場や学校では、新しいメンバーを迎える時期でもあります。お子さんやお孫さんが新たな一歩を踏み出す、という方々も多いことでしょう。
しかしメディアなどでは、若者論がかまびすしく取りあげられます。加えて、昨今は各種ハラスメントへの意識も求められます。「コミュニケーションをどう取るか」という段階から大きな難しさを感じる方々も多いことでしょう。
本日は、「Z世代」との接し方について、山浦一保先生(立命館大学スポーツ健康科学部・研究科教授)にご解説いただいた講義を紹介いたします。
山浦先生がお書きになった『武器としての組織心理学』(ダイヤモンド社)は、とても話題になりました。また山浦先生ご自身が、立命館大学の運動部のメンタルサポートなどを重ね、日々、学生たちと接して様々な知見を重ねてこられていることも、最近の若い方々の感性を知るうえで興味深いことです。
◆山浦一保:組織心理学~若者とのコミュニケーション(全2話)
(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5156&referer=push_mm_rcm1
最初に山浦先生がご指摘くださるのが、「最近の若者も、本質はおそらく以前の世代と変わらない」ということです。
たしかに、2000年代くらいの大学生のデータを見ると、「やや神経症的なところ、傷つきやすいところがある」というデータもある。しかし、普通の言葉をかけている間においては、基本的に堪えるところはきちんと堪えようとしているし、うれしいところはそれなりに受け止めている。
そもそも「Z世代」などといわれるけれども、むしろ「だいたい、お前の世代は」などといった「世代論」を展開されること自体が、いまの若者からすればカチンとくるものだといいます。「1人ひとり違う」という教育を受けている世代だからこそ、逆に世代で一括りにされることに、大きな違和感を覚えるのです。
そのような見方をされると、「ああ、やはり見てくれていない。(自分は)ワン・オブ・ゼムだ」という感覚になる。そう山浦先生はおっしゃいます。
たしかにそのことは、自分自身のことを振り返っても大いに納得させられます。「だいたい、お前の世代は」などと世代論で論じられると、大いに腹がたつものです。
山浦先生は、組織心理学的な見地から、立命館大学のスポーツ部で指導されていますが、学生たちに「そのシーズンの、チームのスローガンを作らせてみる」ことが効果を上げている例をご教示くださいます。
就職活動の折も、「理念」に惹かれて行動する学生が案外多い。むしろ、社会人になってから理念と現実との乖離に敏感に反応するケースが目立つ。
このあたりは、上意下達的な雰囲気をあまり経験せずに育ってきている若者たちからすれば、逆に当たり前のことなのでしょう。「あまり理念などを打ち出すと、引かれてしまうのではないか」などといった「忖度」は、かえってマイナスになりかねません。
さらに山浦先生は、若者からの相談と向き合うコツなど、具体的な事例を教えてくださいます。
若者の相談をきくときに大切なのは、まず、相談の時間をつくってきてくれていることに感謝を示し、話しやすい雰囲気をつくったあとは、相手が話そうとしていることを、とにかく聞くこと。
こちら側からペラペラ話してしまうことは、ご法度。シーンとなる間を恐れず、ニコニコしながら相手の話を待つことが重要だといいます。
では、どのような態度で接すればいいのか。そのあたりは、この講義の山浦先生の姿勢から伝わってくるものも多くあります。
また、気がつくと相談されたほうが7割~8割しゃべってしまっていることも、よくあります。しかし、それでは相手は腹落ちしません。「ちょっと、どうかな」と思っても、軽く相槌を打って、相手のストーリーを尊重する。
報告をさせるときも、「報告のしかた」をしっかりと教えるのはいいが、報告の内容については相手のいうことを、とにかくきちんと聞く。
これらは案外、難しいことですが、しかしとても重要なことなのです。
山浦先生は、講義の最後に、映画監督の山田洋次さんが書かれた『寅さんの教育論』(岩波ブックレット)の言葉をご紹介くださいます。
錚々たる名優の皆さんと数多く作品をつくられてこられた山田監督が、「俳優の演技というのは気に入らないことが多い。しかし、そういう場合でも、どこかに褒めるところを見つけようと努力しなければならない。俳優には自信を持たせなくてはいけない」と書いているというのです。
はたして、どのようなことなのか。そして、褒めるところを見つける方法論とは?
それはぜひ講義本編でご覧ください。大切な気づきを、いろいろと得ることができる講義です。
(※アドレス再掲)
◆山浦一保:組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5156&referer=push_mm_rcm2
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編集部#tanka
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編集後記
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今回のメルマガ、いかがでしたか。編集部の加藤です。
さて昨日から2024年度に突入しました。2月にお伝えしましたように、テンミニッツTVは開設10周年ということで、新たな10年に向けてスタートしたばかりです。
今年も皆さまの学びの一助となる貴重な講義を配信してまいります。また、ワクワクするような企画も考えておりますので、この場でも随時お伝えしていければと思います。
ということで、本年度もテンミニッツTVをご愛顧のほどなにとぞよろしくお願いいたします。
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