編集長が語る!講義の見どころ
人生の武器になる「経済学」/特集&柿埜真吾先生【テンミニッツTV】
2024/04/05
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
なんだかんだといっても、自分自身の人生にとって経済のことはとても大切です。とはいえ、当てずっぽうで考えたり行動したりしたら、大けがの元でもあります。
やはり、経済学の知見はしっかりと押さえておきたいもの。いま何が起きているのか。これから何が起きるのか。どうすべきなのか――。「経済学」を学ぶと、現代を力強く生きていくための貴重なヒントが手に入ります。
まさに「人生の武器になる経済学」。必見講義をピックアップしました。
■特集:人生の武器になる「経済学」
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=231&referer=push_mm_feat
・柿埜真吾:経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
・伊藤元重:差別価格の実例でダイナミックプライシングの真髄がわかる
・橋爪大三郎:現在のグローバル経済をマルクス主義で見てみると?
・田中琢二:世界経済はどう動くのか…コロナ禍とIMFの分析
・柳川範之:インフレ激化の真実…デフレ脱却を困難にした日本の労働市場
・養田功一郎:紛争・震災・疫病・インフレ…幕末と重なる現代日本の姿
■講義のみどころ:本当に役に立つ経済学全史(柿埜真吾先生)
そもそも経済学には、「前提やモデルを立てて、論証していく」側面があります。そのため、どの議論もそれぞれに筋道は立っていて、どれも正しく思えてしまいがちでもあります。
経済政策などについての様々な論議が堂々巡りをしがちなのも、故なきことではありません。
そんなときに、「確かな座標軸」になってくれるのが、「経済学史」についての教養です。
これまでどのような議論が行なわれ、歴史のなかでどう検証されてきたかを知っていれば、「どの議論が正しそうか」についての判断基軸を、いろいろな人と共有することができるようになるはずです。
では、まず学ぶべき「経済学史」とはいかなるものでしょうか?
間違いなくいえるのは、「1人の論者によって全体が語られていること」「しっかりとデータの裏づけや、歴史的事実によって検証が行なわれていること」「どこが正しく、どこが違っているかの判断が下されていること」が必要だということでしょう。
最初に書いたように、経済学は「どの議論も正しく見えがち」な側面があります。バラバラの論者のものを学ぶと、どれも正しく見えてしまいます。
自分のなかに座標軸をつくるためにも、まずは、データや史実に基づきつつ、しっかりと正誤の判断を下している講義を学ぶ。そしてそれを頭に入れたうえで、自分の頭で考えて自分なりの正誤を判断していけば、効果的です。
本日は、そのような意味で学んでいただける柿埜真吾先生の講座を紹介いたします。
◆柿埜真吾:本当によくわかる経済学史(全16話)
(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4693&referer=push_mm_rcm1
柿埜先生は1987年生まれの気鋭の経済学者、思想史家です。『自由と成長の経済学』『ミルトン・フリードマンの日本経済論』(以上、PHP新書)などの書籍を発刊しておられます。
ご著書の『自由と成長の経済学』は、ベストセラーとなった斎藤幸平氏の『人新世の「資本論」』(集英社新書)の問題点を論理的に示して、大きな話題となりました。
柿埜先生は同書で、実際には資本主義がいかに富を拡大させ、格差を縮小し、また(社会主義と比べて)いかに環境対策を進めたかを数々のデータで示し、それに比して一方の「脱成長コミュニズム」的な考え方がいかに具体的ビジョンに欠けるものかをクリアに論証したのです。
テンミニッツTVの「本当によくわかる経済学史」講座も、柿埜先生が一貫して立場や判断を明確にしつつ、データを用いて論じてくださっています。だからこそ、それを肯定的に捉えるにせよ、否定的に捉えるにせよ、自分自身の「考え」や「判断軸」を練りあげるうえで、とても参考になります。
この講座は全16話です。全講義のタイトルなどは、ぜひ次の「講師一覧」の柿埜真吾先生のページからご確認ください。
◆柿埜真吾先生の講師ページ
https://10mtv.jp/pc/content/lecturer_detail.php?lecturer_id=308&referer=push_mm_rcm3
この講義で柿埜先生は、まさに一気通貫に経済学史の大きな流れを描いていきます。もちろん、そのなかで、いろいろな事例が縦横無尽に論じられます。
◆アダム・スミスが「見えざる手」とはいったけれども、「神の見えざる手」とはいわなかったことの大切な意味とは?
◆いまでも、「重商主義」的な発想をするエコノミストがいる?
◆なぜ「マルクス主義」は人気が出たのか?
◆「比較優位」の考え方は、シャーロック・ホームズとワトスンの関係でわかる
◆古典派やマルクス主義経済学が依拠した「労働価値説」は、なぜ間違いだとわかったか
◆大恐慌の真の原因がわかりづらかったのは、FRBの嘘のせい?
◆ケインズ主義は、大いに誤解されている
◆「ヒトラーの経済政策は大成功だった」という主張が嘘だとわかる、驚きのデータとは?
◆オーストリア学派とシカゴ学派の特徴と違いとは?
◆ミルトン・フリードマンを「嫌い」だという人たちの傾向は?
◆インチキ経済理論に惑わされないために押さえておくべきポイント
……などなど、様々な刺激に満ちた議論が展開されます。自分自身の経済学史理解の整理のためにも最適です。
たとえば、第8話は「大恐慌の本当の理由」について論じます。
まず、その「本当の理由」を理解するために、柿埜先生は「貨幣数量理論」についてご解説くださいます。この「貨幣数量理論」に基づいて、「貨幣を安定させれば景気は安定するはず」という理論が説かれます。
それでは、なぜ大恐慌が起きてしまったのか。
アメリカの貨幣発行に携わる中央銀行・FRB(FED)は、当時、「貨幣を安定させるために、われわれがきちんとやっていたにもかかわらず、恐慌が起こった。防げなかった。もう何もできない」と説明しました。
多くの人々がそれを信じ、「古典派経済学」の考え方への信頼が崩壊。片や、マルクス主義経済学が多くの支持を集めるようになり、もう一方ではケインズ経済学が注目を集めるようになります。
ところが……。
後年(1963年)の研究で、実はFRBが「まともな金融政策ができていなかったこと」が明らかになるのです。
どういうことか。そして、それはどのように証明されるのか。柿埜先生が図表を用いながらご説明くださいますので、ぜひ講座本編(第8話)をご覧ください。
柿埜先生は、実はケインズ経済学は「誤解」されている部分も大きいといいます。そのことは、第9話、第10話で語られます。
そして社会主義の計画経済の無理を鋭くついた「オーストリア学派」の主張は第11話で紹介されます。ミーゼス、ハイエク、シュンペーターの名前を聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、彼らが何を主張し、どこに限界があったのかもよくわかります。
そして、必見の講義が第12話です。よく、「ヒトラーの人種政策や戦争政策は『悪』だったが、経済政策はケインズ政策的でドイツを立て直した」といわれることがあります。しかし、それが真っ赤な嘘だと柿埜先生はおっしゃるのです。
それが象徴的にわかるものとして、柿埜先生は次のようにおっしゃいます。
《景気も悪いわけではないというふうに見かけ上は見えるにもかかわらず、乳児死亡率が上がったし、身長の伸びは止まったし、あらゆる健康関連の指標が悪化している》
はたして、どういうことか……。詳しくは、ぜひ講座本編(第12話)をご参照ください。
第13話以降は、現代の経済を知るために、ぜひとも学んでおきたい内容です。そして最終話(第16話)では、「正統派」と「異端派」の見分け方も教えてくださいます。
頭のなかがクリアに整理され、考え方の基軸が形づくられる講座です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆特集:人生の武器になる「経済学」
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=231&referer=push_mm_feat
◆柿埜真吾:本当によくわかる経済学史(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4693&referer=push_mm_rcm2
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編集部#tanka
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還暦で給与が減らぬ社会ならこの日の本は爛漫の春
60歳定年後の「雇用延長」でガクッと給与が下がる会社が多いのでは? しかしそのような労働慣行が高齢化する社会全体の足を引っ張っているそう。ぜひ宮本弘曉先生の講義で。(達)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5268&referer=push_mm_tanka
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