編集長が語る!講義の見どころ
米中対立の行方を歴史と世界情勢から読む/中西輝政先生(テンミニッツTVメルマガ)

2020/10/16

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
中西輝政先生のお話をうかがうたびに、「なるほど、世界はこう見るべきなのか」「この問題の背景は、こうなっているのか」と大きな知的刺激をいただきます。本日紹介するのは、今後の米中関係や世界の動きについて、その中西先生に秀逸な分析をしていただいた講義です(本日段階では最終話まで配信しておりませんが、時事テーマですので、いち早くお報せします。ちなみに、19日に7話と8話を、26日に9話と10話を配信予定です)。

中西先生は、「2020年は、米中関係にとって1世紀に1回あるかないかの非常に決定的な曲がり角の年となった」と分析されます。アメリカの専門家も、「『ポイント・オブ・ノー・リターン』(帰還不能点、もはや後戻りできない段階)を通り過ぎた」と口々に語っているとのこと。このようななかで、日本はどうすべきか。本講義シリーズの最終話(10話)で、中西先生は非常にシンプル、かつ印象深い問題提起をされます。

「対中問題で、アメリカより前に出ることはありえないが、ヨーロッパより後ろに行ってはダメである」

これはどういうことなのでしょうか?

◆中西輝政:歴史から見た中国と世界の関係(全10話)
(1)コロナ後の米中関係はどうなっているか
劇的な米中対立の深まりには大統領選挙より大きな要因がある
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3634&referer=push_mm_rcm1

中西先生はこの講義で、現状のアメリカの対中認識、米中関係の歴史的背景、イギリス・オーストラリア・インド・ドイツ・ソ連などの対中認識の現状などを次々と分析くださいます。

とりわけ、米中関係の歴史的背景と、各国の対中認識の現状は、これからのアメリカと中国の関係を読み解いていくうえで必須の知識といえます。この問題は、眼前の米中のあり方を見ているだけでは、決して解けない問題なのです。

歴史的にいえば、辛亥革命以来、アメリカは中国に「夢」を抱いてきた、と中西先生はおっしゃいます。「中国数億人の民が、キリスト教徒になる。キリスト教徒になれば、必然的に民主主義、自由主義の国に変わる。アメリカの弟分として、われわれを手本にした新しい民主主義の国が、アジアの大国の中に生まれる」という夢です。この夢は、経済的利権とも濃厚に結びついて(時には後ろ暗い関係とも結びついて)、米中関係に大きく作用してきました。しかし、もうそこには戻らないといいます。それはなぜなのでしょうか。

また、中西先生が大きく警鐘を鳴らすのは、イギリスやドイツ、さらにオーストラリアやインドの対中認識における急展開です。この動きを見誤ると、日本は決定的に対応を誤りかねません。とりわけ、次世代を担う政治家たちの動向が重要だとおっしゃいますが、どのような状況なのでしょうか。

これらについては、ぜひ講義本編をご覧ください。

このような情勢分析を重ねたうえで、今後の可能性として「3つのシナリオ」を提示されます(第9話)。「1.アメリカが習近平政権の中国を叩き潰す」「2.中長期的に中国が世界大国になる可能性を維持し、アメリカが息切れする」「3.対立が続き、米中が疲弊して世界が多極化する」。日本にとっては、2と3のシナリオは、望ましい結果をもたらさない。しかし、それぞれのシナリオを睨みながら、優先順位や戦略目標を決めていくしかない。そう中西先生はおっしゃいます。

今般の米中対立は、日本にとっては、明治期における絶体絶命の危機であった「三国干渉」の状況に近いといえるほど、難しい選択を迫られるものである。そのように指摘されたうえで、中西先生は、キューバ危機におけるフランスのド・ゴール大統領の故事をご紹介くださるのです(第10話)。これは、とかくふらつきがちな現在の日本にとって、忘れてはならない、大切な教訓といえるでしょう。

まさに、いま必見の講義です。ぜひご覧ください。

(※アドレス再掲)
◆中西輝政:歴史から見た中国と世界の関係(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3634&referer=push_mm_rcm2

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編集部からのお知らせ
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【「プログラムガイド」(毎月無料郵送)をご存知でしょうか?】

テンミニッツTVのプログラムガイドをご存知でしょうか。実はテンミニッツTVでは、毎月1回、ご希望の方に、その月の特集やお奨めの講義、編集部からのメッセージやコラムを掲載した「プログラムガイド」を郵送にてお送りしております。

※「プログラムガイド」のPDFはこちら(現在は10月号が閲覧できます)
https://10mtv.jp/public/ProgramGuide.pdf

毎月、月初をメドに無料で、ご登録いただきましたご住所宛にお届けしています。
「10月20日」までに下記からご登録いただければ、11月初旬にお届けする11月号より拝送させていただくことが可能です(それ以降のご登録は、12月初旬の12月号以降のお届けとなります)。

https://10mtv.jp/program_guide.php?referer=push_mm_new_function

毎月の学びの1つのガイドとして、また毎月の学びのリズムを整えるよすがとして、ぜひご活用いただければ幸いです。

※ちなみに、上記のプログラムガイド(内容、郵送設定)のご案内は、テンミニッツTVトップページの最下部よりアクセスできます。そちらから、いつでもPDFで内容を見ることができますので、どうぞよろしくお願いいたします。


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今週の「エピソードで読む○○」Vol.7
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今回の○○は鎌倉幕府第8代執権「北条時宗」です。

もともと時宗というのは、大変にひ弱で、病弱でもあり、精神的にも女々しさを持っていました。
そこで、その後見人として時宗の父親が託したのが無学祖元だったわけです。
この若者、時宗は、そのどうしようもない思いを無学祖元にぶつけたときに、たたきつけられた教えがあります。
それが、「驀直去(まくじきこ)」という教えでした。

そんな小賢しさで国が救えるか! 時宗の悟りの意味とは?
行徳哲男(日本BE研究所 所長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=505&referer=push_mm_episode


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レッツトライ! 10秒クイズ
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「環境・資源(木造建築)」ジャンルのクイズです。

曲がるはずのない木を曲げたくなって、「やわらか〇〇」という木を作ることにした。
腰原幹雄先生(東京大学生産技術研究所教授)はこう話しながら、実際に木が曲がる映像を講義内で見せてくれました。
さて○○に入るのはどんな木?

答えは以下にてご確認ください(実際に木が曲がる映像は10分ぐらいのところで観ることができます)。
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1290&referer=push_mm_quiz


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編集後記
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編集部の加藤です。今回のメルマガ、いかがでしたか。

さて最近、時限的な措置だった「オンライン診療」の恒久化について、よくニュースとして報道されています。
現在、「安全性と信頼性を確保するため、『かかりつけ医』を基軸とすべき」といった議論が進んでいるようですが、4年前のちょうど同じ日(2016年10月16日)の配信がその「かかりつけ医」に関する講義でした。
今村聡先生(公益社団法人日本医師会副会長)は「かかりつけ医」についてこう話しています。

「かかりつけ医は、診療所や病院といった就業形態や内科、外科といった診療科を問わず、2つの大事な役割を持つ必要があると、私は考えております。2つとは『医療的機能』と『社会的機能』です。」

この『医療的機能』と『社会的機能』について具体的なことは講義をご視聴いただければと思いますが、これから「オンライン診療」の時代になっても、もちろんこの2つは変わらず大事な役割、機能だと思います。この機会にぜひご視聴ください。

<今回ご紹介の講義はこちら>
かかりつけ医の「ゆるやかなゲートオープナー機能」に注目
今村聡(公益社団法人日本医師会副会長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1450&referer=push_mm_edt