編集長が語る!講義の見どころ
「幸福とは何か」を考える哲学カフェ(テンミニッツTVメルマガ)
2020/10/30
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
コロナ禍もあって、日々の暮らしにも大きな変化が訪れました。こういうときには、どうしても「幸福」について考えてしまうものです。しかし、「幸福とは何か」は、誰にとっても重要な問いでありながら、考えれば考えるほど、迷宮に足を踏み入れたような感覚になる問いでもあります。
一度、この問題について、真っ正面から考えてみるのはいかがでしょうか。本日は、このテーマについて津崎良典先生と五十嵐幸子先生(いずれも筑波大学人文社会系准教授)が「哲学カフェ」の趣で迫ってくださった興味深い講義を紹介いたしましょう。
◆津崎良典×五十嵐沙千子:「幸福とは何か」を考えてみよう(全9話)
(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3511&referer=push_mm_rcm1
実は筑波大学では、五十嵐先生や津崎先生が主催される「哲学カフェ(ソクラテス・サンバ・カフェ)」が開かれています。「ふだん考えていること、悩んでいること、誰かと話したいこと。集まったみんなで楽しく考え、新しい地平を探す哲学カフェ」とうたって、一般の方々の参加を募り、さまざまな議論を展開しているのです。
本日紹介するこの講義は、その雰囲気を再現した対話になっています。たとえば、哲学カフェでは両先生が「マイク」「さっちゃん」というあだ名で呼び合って、柔らかな場づくりをしておられるため、本講義でもその呼び名で会話が重ねられていきます。
そのような、ある意味で柔らかな雰囲気の対談ではありますが、内容はもちろん、本格的。さまざまな哲学者の「幸福論」に言及しながら、めくるめくような勢いで議論が展開していきます。哲学者によってまったく異なる「幸福」についての見方を次々と突きつけられつつ、自分のなかの「幸福感」を自問自答していける講義となっています。いわば、「自分自身で哲学すること」を体験できる講義ともいえるでしょう。
この対談講義のなかで言及される哲学者(などの専門家)は、セネカ、ショーペンハウアー、ラッセル、エピクロス、デカルト、エピクテトス、ヒューム、カント、アリストテレス、パスカル、フロイト、ベンサム、ミル、ニーチェ、シモーヌ・ヴェイユ、ソクラテス、ルソー、ハイデガー……など、多岐にわたります。まさに、錚々(そうそう)たる顔ぶれです。
それぞれの哲学者が、「幸福」に関連して、どのような発言をしているのか。それを比較していくことで、さまざまな「幸福像」が浮かび上がっていきます。
しかし、この「哲学カフェ」的講義の良いところは、そのような哲学史的な知識が、単なる知識には終わらないことです。このような哲学者たちの議論を振り返りつつ、どんどんと身近なテーマについての検討がなされていくのです。
言及されるテーマ(話題)をざっと挙げてみると、五十嵐先生が入院中の祖母から学んだ話、中島みゆき、サーロインステーキ、学校制度の洗脳(?)、ライオン食べ、BMI(ヒトの肥満度を表す体格指数)の違いによる食べ方・飲み方の違い、豚の哲学、大人になること、ブンブンうるさいハチ、「幸福」と「幸運」、アメリカの成功者たちの「プランド・ハップンスタンス・セオリー」……。
果たして、それぞれどのような話なのか。パッと見ただけでは想像がつかないかもしれませんが、哲学者2人の即興的な対話が生み出す大きな流れのなかで、「幸福」についての理解が深められていきます。まことに知的楽しみに満ちた時間を体験することができるのです。
とにかく、百聞は一見にしかず。この講義がどんな内容かは、ぜひ本編をご視聴いただくのがベストでしょう。人生の奥深い問題について、自分自身で哲学的に考えてみる機会としていただければ幸いです。
(※アドレス再掲)
◆津崎良典×五十嵐沙千子:「幸福とは何か」を考えてみよう(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3511&referer=push_mm_rcm2
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今週の「エピソードで読む○○」Vol.9
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今回の○○は没後500年「レオナルド・ダ・ヴィンチ」です。
結局彼には合わせて5人も母親がいたということです。当然、最後の母親は自分よりも年下であるという状況です。彼はいわゆる非正嫡の婚外子の境遇に置かれました。先ほどの税の申告書には、家族のほとんどに200フィオリーニと書いてありますが、これが免税された額を指しています。彼は一番下にいます。彼のところに5歳と書いてあって、そこには200と書いてありません。つまり、この家族の中で彼だけ、人頭税が免除されていないのです。これはひとえに、彼が私生児だったという、この1点に関わるわけです。このように、当時の状況を見てみると、生まれた時から彼はハンデを背負っていました。
最大のハンデは、自分の親の職業を継げないということです。公証人組合は私生児が代を継ぐことを禁じているからです。
彼はそれ以外の道を探すために、奉公に出ました。そこで、ヴェロッキオの工房に入りました。
このことは、彼にとって最大のハンデでしたが、結果的には人類にとっての幸運になりました。
レオナルド・ダ・ヴィンチを「最初の近代人」と呼ぶ理由
池上英洋(東京造形大学教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3039&referer=push_mm_episode
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レッツトライ! 10秒クイズ
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「ビジネス・経営」ジャンルのクイズです。
「AIの利活用にあたって、AIには何ができないかということも、考えておく必要があります。
AIには、私たちが長年経験を積んで得てきた、いわゆる高度な暗黙知としての〇〇がありません。」
これは、ちょうど3年前の今日(2017年10月30日)配信開始となった一條和生先生(一橋大学大学院経営管理研究科 国際企業戦略専攻長 教授)の「AIとデジタル時代の経営論」シリーズ6話目のなかのお話です。〇〇に入る言葉は何でしょうか?
答えは以下にてご確認ください
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1906&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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編集部の加藤です。今回のメルマガ、いかがでしたか。
さて、今回は本村凌二先生(東京大学名誉教授/文学博士)監修の『ビジュアルマップ大図鑑 世界史』(東京書籍)について少しお伝えいたします。
この大図鑑は「独裁の世界史」シリーズ番外編で紹介している本ですが、実は収録後に本村先生から「おすすめしたい本がある」ということでお話いただきました。
序文では監修者が以下のように言っているとのことです。
「世界の歴史を語る本のなかで、これほど微に入り細を穿つ解説と、目を見張るビジュアルをあわせ持つものは、いまだかつて見たことがない」
本村先生曰く、お知り合いの著名人の方が「これはいい」と購入されているそうで、実際に収録スタッフも拝見させていただきましたが、まさにその通りで、見やすくて分かりやすいと話していました。日本版を監修された本村先生が「担当できて幸運だった」と話していますが、素晴らしい本との出会いというのは本当に尊いことですね。
<今回ご紹介した本村先生の講義はこちら>
『ビジュアルマップ大図鑑 世界史』で一生モノの教養を学ぶ
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3707&referer=push_mm_edt
<今回ご紹介した『ビジュアルマップ大図鑑 世界史』はこちら>
https://www.amazon.co.jp/dp/4487812313
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