編集長が語る!講義の見どころ
戦火が止まぬ今こそ熟考すべき第二次世界大戦の教訓/特集&福井義高先生【テンミニッツTV】
2024/08/13
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
79年目の「終戦の日」が間近となりました。しかしいま、ウクライナ、中東と戦火は止まず、全世界的に危機が高まってもいます。
このようなときだからこそ、「なぜ第二次世界大戦が起きたのか」「当時の指導者は、何を考え、どのように行動したのか」など、あらためて第二次世界大戦の教訓を学ぶべきでしょう。
たとえば第二次世界大戦が起きた原因だけをとっても、新しい歴史資料研究などから、次々とその真相が明らかにされつつあります。
歴史に学ぶことで、「いま何が起きているのか」も見えてきます。
■特集:今こそ熟考すべき第二次世界大戦の教訓
いまは「戦前」である。そのような声も聞こえてきます。たしかに世界は大きく揺れており、いくつもの危機が現実のものとなっています。このようなとき、第二次世界大戦の教訓は、われわれに何を指し示すのでしょうか。
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=247&referer=push_mm_feat
・福井義高:レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
・本村凌二:ムッソリーニが社会主義者からファシストへと転身した理由
・本村凌二:ヒトラーの激高演説の性格とは…劣等感とユダヤ人虐殺
・柿埜真吾:「ヒトラーの経済政策はケインズ的で大成功だった」は大嘘
・片山杜秀:『「NO」と言える日本』と「英米本位の平和主義を排す」と
・中西輝政:日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
・小原雅博:二つの世界大戦が物語る各国のパワーの差と国益の意味
■講義のみどころ:レーニン、スターリンの肉声から戦争の真実に迫る(福井義高先生)
「歴史の真実」は、年月が経過して資料が出てくることによって大きく変わっていきます。とりわけ近現代史は、各国政府の情報公開のあり方によって、見え方がまったく違ってきます。
本日紹介するのは、そのことを痛感させてくれる福井義高先生(青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授)の講座です。福井先生のご専門は会計制度や国際政治ですが、近現代史についてもロシア語、ドイツ語、英語、フランス語を中心に外国語の文献を渉猟され、世界最先端の歴史分析を追ってこられました。
日本の狭い枠を超えた歴史への視点であるだけに、目を見開かされる部分が多々あります。
今回、講義をいただいたのは、第二次世界大戦へのソ連の関わりです。ひと言でいえば、「いかにしてソ連が戦争を画策したか」。
重要なポイントは、今回の講義はすべて、レーニンやスターリンの実際の発言を元にしているということです。レーニンやスターリン自身の発言から、彼らがどのようなことを考えていたかが明らかにされていく講義は、まことに知的刺激に満ちています。
◆福井義高:第二次世界大戦とソ連の真実(全4話)
(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4410&referer=push_mm_rcm1
最初に福井先生はレーニンの言葉を取り上げます。
《二つの帝国主義のあいだの、二つの資本主義的国家群のあいだの対立と矛盾を利用し、彼らをたがいにけしかけるべきだということである》
レーニンは「3つの対立を利用するべきだ」といいます。日本と米国の対立関係、米国と残りの資本主義世界全体との矛盾、そして英仏とドイツの対立です。
そして、こう語るのです。
《「われわれはこれらの国の内部で共産主義を宣伝するであろう」と言うだけですまされるであろうか。これは正しいことではあるが、これがすべてではない。共産主義政策の実践的課題は、この敵意を利用して、彼らをたがいにいがみ合わせることである》
これらは『レーニン全集』にも載せられた言葉で、その後の歴史を見ると、レーニンの見通しが当たったようにさえ見えますが、しかしそれは違うと福井先生はおっしゃいます。実際は、そうなるようにスターリンが動かしていたのです。
そのうえで、レーニンとスターリンの評価も現在、大きく変わっているといいます。「共産主義は良かったのに、スターリンが良くなかった」という定番的な意見は間違いであり、レーニンは実は極めて残酷な人で、スターリンはそのレーニンの路線を忠実に実現しようとした人物だったというのです。
レーニンの言葉に続いて、スターリンの言葉が次々と紹介されます。
スパイへの警戒では、「5パーセントの本当のスパイを摘発するためには95人の無実の人間を処刑してもかまわない」という趣旨の発言をしているといいます。さらに古参ボルシェヴィキであっても、その家族も完全に根絶するとも。
悪名高い大粛清は、まさにその論理から行なわれたことでした。1937年と1938年の2年間で、処刑された人数だけで約70万人に上ります。単純計算すると毎日1000人が処刑されたことになります。
しかも、それはスターリンの残虐性が原因だったのではなく、「戦争が始まった場合、内部から攪乱するような社会の『第五列』の連中は根絶しておかなければいけない」という考えからの、戦争準備のための先制攻撃だったといいます。実際に、そのためにドイツにあそこまで攻め込まれても、ソ連国内が分裂することがなかったというのですが……。
「革命の理想」がいかに悪しき回転に入っていくかを示す、まことに恐ろしい話です。
さらにスターリンは、日中戦争の泥沼化を図り、日米の分断を画策します。スターリンは日本を意識しつつ、こう発言しています。
《歴史というのはふざけるのが好きだ。ときには歴史の進行を追い立てる鞭として、間抜けを選ぶ》(1938年2月)
《今まで二年続いた中国との勝てない戦争の結果、日本はバランスを失い、神経が錯乱し、調子が狂って、英国を攻撃し、ソ連を攻撃し、モンゴル人民共和国を攻撃している。この挙動に理由などない。これは日本の弱さを暴露している》(1939年7月)
これらはモスクワを訪れた中国国民政府の代表に対して語った言葉ですが、「日本を、てのひらの上で転がしている」といわんばかりです。
さらに本講座の第4話では、独ソ不可侵条約で巧妙にナチスドイツを戦争にけしかけていく過程も描かれます。
戦争がなぜ始まってしまうのか。戦争を画策する動きに、どのように対峙すべきなのか。スターリンがいうところの「歴史の進行を追い立てる『間抜け』」にならぬために、どのようなことが必要なのか。
やはりいまこそ、そのようなことを学び、考えておくべき局面でしょう。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆特集:今こそ熟考すべき第二次世界大戦の教訓
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=247&referer=push_mm_feat
◆福井義高:第二次世界大戦とソ連の真実(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4410&referer=push_mm_rcm2
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