編集長が語る!講義の見どころ
マスコミ報道ではわからない自民党総裁選の深い見方/曽根泰教先生【テンミニッツTV】

2024/08/20

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。

8月14日に岸田文雄総理が9月予定の自民総裁選への不出馬を表明。一気に、様々な候補者が動き出しています。

はたして、どのような候補者が出そろうのか。そして誰が自民党新総裁になるのか。自民党総裁選挙は、現在のところ実質的に首相となる人物を選ぶものでもありますので、まことに重要な意味を持ちます。

一方、各メディアの報道合戦は、「誰が支持に回っているのか」「裏でこんな政治家がこう動いた」「票はどう集まるか」などの報道に傾きがちです。

そのような報道では見落とされてしまいがちな部分があると、曽根泰教先生(慶應義塾大学名誉教授)は指摘されます。つまり、自民党総裁選こそ「実質競争」の場であり、それをきっかけに「劇的な政策転換」が行なわれる可能性があるというのです。

本日紹介する講義は、前回の総裁選(令和3年9月)の後に収録したものですが、答えあわせ的に視聴しつつ、今回の総裁選がどうなるかを考えていくと、驚くほどいろいろな気づきを得ることができます。

◆曽根泰教:自民党総裁選~その真の意味と今後の展望(全1話)
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4202&referer=push_mm_rcm1

総裁選が「劇的な成績転換」の場となった例として曽根先生が指摘されるのは、1つは1972年の佐藤栄作の後任を決めた総裁選です。

このとき「三角大福」といわれましたが、三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫の4人が戦い、第1回投票の結果、田中角栄と福田赳夫の決選投票となって最終的に田中角栄が勝利を収めました。

まさに田中角栄と福田赳夫の熾烈な対決となったわけですが、曽根先生が注目するのは、この選挙によって日中国交回復の姿が変わったことです。

曽根先生は、「日中国交回復という日中関係の改善の選択は、この総裁選でなされたと思います」とおっしゃいます。たしかに福田赳夫は中華民国(台湾)を重んじ、中華人民共和国との国交回復にも両者のバランスを重視した慎重姿勢を取っていましたので、この総裁選で福田が勝利していたら、日中の国交の姿は違ったかたちになった可能性もあります。

もう1つ、曽根先生が注目するのは、2003年、小泉純一郎さんが勝利した総裁選です。このとき、小泉さんは「郵政民営化」を掲げて勝利を収めます。このとき小泉さんは、「自民党の総裁選挙で勝ったものの候補者の政策が、党の政策になって、総選挙の公約になる」という姿勢を貫き、「小泉を選んだら、郵政民営化は選んだということと同じ」だと突き進んでいきます。

曽根先生は、「マニフェスト選挙は民主党のものだと思っているでしょうが、実はそうではなくて、小泉さんはこれを、かなり早い段階で理解するわけです」と評されます。その後の小泉さんの選挙の強さを思い起こせば、曽根先生のご指摘は、大いにうなずかされます。

では、前回(令和3年9月)の総裁選はどうだったのでしょうか。

ここで曽根先生は、総裁選で「何が残り、何が消えたのか」を考えることの大切さを指摘されます。そして、前回で消えたのは「基礎年金を全額税方式にする」という主張だといいます。河野太郎さんが、この主張を生煮えのかたちで提起したために、大変なツケを払うことになってしまったからです。

また、「核燃料サイクル」も、河野さんが敗北したことによって、「(実質的には破綻しているけれども)続ける」ことが決まったといいます。

さらに、河野さんが左に尖って潰れたのに対し、高市早苗さんが右に尖って力を伸ばした。これは自民党内で左的な主張が出しづらくなったことを意味しました。総裁選で「何が残り、何が消えたのか」を見れば、今後の流れや方向性も少し見えてくるということです。

かくして曽根先生は「総裁選というのは、そんなに捨てたものではない。これは利用すべき非常に重要なプロセスなのだ」とおっしゃるのです。

では、今回の「自民党総裁選」で、どのような政策が大きく支持を伸ばすのか。またそれを支持するのはどのような層か。それらは、今後数年の政治の動きを考えるうえで、極めて重要でしょう。

各候補が打ち出す政策は、たんなる権力闘争の「飾り」ではなく、抗うことができないほどの大きな流れとなりうるということです。

自民党総裁選挙で、どこに注目しなければいけないかが、とてもよく理解できる講座です。ぜひこの機会にご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆曽根泰教:自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4202&referer=push_mm_rcm2


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