編集長が語る!講義の見どころ
石破総理の命運をアラブ古典の名著『マカーマート』で読み解く/山内昌之先生【テンミニッツTV】

2024/10/25

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

いよいよ総選挙の投開票日が目前となりました。さまざまな問題が文字通り「噴出」するなか、日本の大きな分岐点になってしまいそうな情勢です。

こういうとき、つくづく考えたくなるのは「政治家の運」についてです。とりわけ、政治家の運次第で、国民や国家の「運」も大きく左右されかねませんので、ある意味では死活問題ともいえます。

本日は、このことについて、山内昌之先生に、中世アラブ文学の古典で教養人必読の書ともいえる『マカーマート』をご引用いただきつつ、「運」について論じていただいた講義を紹介いたします。

本日(10月25日)時点で、第1話、第2話を配信しており、第3話、第4話は10月26日(土)の配信となりますが、選挙の前後に、ぜひ見ておきたい講義です。

◆山内昌之:『マカーマート』から読む政治家の運(全4話)
(1)中世アラブの知恵と現代の日本政治
石破新総裁誕生から考える政治家の運と『マカーマート』
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5536&referer=push_mm_rcm1

まず、山内先生は次のようにおっしゃいます。

《それ(『マカーマート』)を読むと、人間の運命や運、あるいはツキといった観点が、現在の政治にも非常に参考になり、現代政治を不思議と照射しているのではないかと思えるものが満載です》

そのうえで山内先生は、『マカーマート』の言葉を引きつつ、現状についての感慨を述べられていきます。『マカーマート』の言葉はもちろん、この山内先生の時評が、じんわりと胸に沁み込んできます。

《「時に流転あるを、福の背後の災いの
 襲い来るをよもや予想(おも)わざりしか
 もし悲痛人を死に至らしめ得れば
 うち続く悲痛にて我すでに死人(しにびと)たらん」

ここには非常に難しい表現が一部含まれていますが、これは高市氏にもまして、これまで4回も総裁選挙に出ながら敗北を喫してきた石破氏自身が経験してきた心性(メンタリティ)ではないでしょうか》


《「子らのみ亡(う)せて
 我が身生残(なが)らわば
 苦痛(いたみ)と呵責(かしゃく)の
 念にさいなまれ
 身の置き所を いかにせん。」

選挙に出れば4回総裁選に負けたという、そういう人が、仲間だけは離散させ、(あるいは)仲間だけは放置しておいて、自分は重要ポストに就くというのは、歴史のどの時代においても、必ずしも情理にかなったものとはいえないように思われます》


《「良き来世のため自(みずか)らに 
 善となるもの積むが良し
 何事であれ罪悪(あく)招く
 原因(もと)より身をば離(か)るが良し」

あえて石破氏に厳しい言い方をすると、(彼は)『マカーマート』の言う「罪悪を招く原因から自分の身を引き離すほうがよい」といった教えを忘れたかのように思われるのです。石破氏は「自民党はルールを守るべきだ」という名言を、総裁選挙戦のときに語りました。そのときに約束した道に違わない道を進んでいれば、幸福は約束されるはずだった。それなのに、自分が約束した道さえ変えてしまったことに驚きを感じざるをえないのです》


《「幸運(jaddi-ka)の火打石があるならば、己の努力(jiddi-ka)で発火させることだ、己の生計(ra“yi-ka)を開く扉はそれを叩く己の行動(sa“yi-ka)で示さねばならん。どんな難関(fajj)があろうと突破せにゃならん、どんな深い障害(lujj)があろうと潜って通らにゃならん」

つまり自分が工夫し、自分が借り物でない努力で獲得した、そういう創意工夫の道具。言ってしまうと「幸運の火打石」。これは政策ということでもありますし、政策的手段ということでもある。こういう幸運の火打石といったような政策によって、自分の理想を実現しようとするならば、それは自分の努力によって障害を排除し、そして難関を突破しなければならない。それは、やはり自前の道具と道具立て、自分の創意工夫によってしなければならない》

さて、総裁選に4度敗れた石破総理は、5度目を経ての「運」の分かれ道に何を見るのでしょうか?


(※アドレス再掲)
◆山内昌之:『マカーマート』から読む政治家の運(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5536&referer=push_mm_rcm2


----------------------------------------
編集部#tanka
----------------------------------------

総裁の決まりし瞬間に溢れたる悲鳴の意味を思い知る夜

「日本終了」。そんな言葉で溢れかえった自民党総裁の決定時。その審判がいよいよ目前に。われわれが直面する状況を、ぜひ島田晴雄先生の講義で総覧しましょう。(達)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5548&referer=push_mm_tanka