2024/12/06

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。

さまざまな選挙で多くの問題が噴出することが続き、また、政治そのもののあり方も「劣化」がささやかれるなか、民主主義の危機が高まっていることは、あらためていうまでもありません。さらに、SNSなどが隆盛する反面で、かえって個々人が孤立化する状況も頻出しています。

このようななかで、個人が幸福になるために何が必要なのか。社会を立て直すために何が必要なのか。

本日はその大きなテーマについて、「中間団体」という視点から迫っていただいた片山杜秀先生（慶應義塾大学教授）の講義を紹介いたします。

中間団体（中間集団とも）は、国家と個人の「中間」に存在する団体のこと。具体的には、たとえば中世ヨーロッパであれば、教会やギルド（職業別組合）、自治都市などがそれにあたります。日本でも、古くは座（同業者組合）、寺社信徒組織、自治都市、村落共同体などは典型的な中間団体であり、現代であれば、学校、同窓会、会社、労働組合、職業別組織（医師会など）、町内会、家族など多様な存在が「中間団体」と位置づけられます。

なぜ、この中間団体が重要なのか。そこが見えてくると、幸せな社会の1つのあり方が、明確に見えてきます。

◆片山杜秀：独立と在野を支える中間団体（全8話）
（1）「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5528&referer=push_mm_rcm1

中間団体とはどのようなものかについて、講義の第1話で概説された後、講義はまことに興味深い話題を次々に取り上げていきます。

まず、『社会契約論』で有名なルソーは、自由で孤独な個人が契約して国家をつくり、そして形成された「一般意志」にみんなが従うというあり方を構想しましたが、そこに「中間団体」は想定されていませんでした。なぜか。

片山先生は、それはちょうど当時発生した「リスボン大地震」の悲惨で無常な状況を見たからだとおっしゃるのですが、はたしてどのようなことでしょうか。

また、興味深い中間団体として、「フリーメーソン」に光を当てます。とかく陰謀論的な組織としても注目されがちなフリーメーソン。しかし、その実態は、まことに重要な中間団体でした。

よく知られているように、フリーメーソンは、石工の同業組合です。西洋の石工といえば、教会や宮殿を建設したりするときに欠かせない職能集団です。あちこちの国に行き、その土地にある程度の長期間住み、仕事をしなければいけないわけです。であればこそ、それぞれの土地で人脈を頼り、重要な情報を手に入れ、自らの生活を保障するために、仲間同士の組織が必要不可欠だったのです。片山先生は、こうおっしゃいます。

《国際的秘密結社というと、とんでもない陰謀をめぐらせて、われわれを倒そうとしている、という形で刷り込まれている言葉のイメージがですが、国際的秘密結社は当たり前のものとしているわけです。特に、ヨーロッパのように国境を越えて人が流動する場合はそうです》

よく知られているように、モーツァルトもフリーメーソンに加盟していたといわれます。また、多くの音楽家が加盟していたともいいます。なぜ、モーツァルトはじめ音楽家がフリーメーソンに入る必要があったのか？　また、モーツァルトが作曲したオペラ『魔笛』は、フリーメーソンの入会儀礼をモティーフにしているともいわれますが、秘密結社と音楽の関わりとは？

そのような興味深いテーマが語られていきます。

また、もう1つ、典型的な中間団体として「三田会」の事例も語られます。三田会はいわずとしれた慶應義塾の同窓会組織ですが、じつはその結成には、慶應義塾の危機がかかわっているといいます。なぜ三田会はつくられ、いかに発展し、どのような役割を果たしていったのか。

そのようなことも、まさに知っておくべきおもしろい事例です。

そのような中間団体が、なぜ現在、弱小化しつつあるのか。いかに破壊されて現在に至るのか。これからどうなるのか。最終話では、そのようなテーマが語られていきます。

いま、この時代に中間団体について考えると、驚くほど多くのことが見えてきます。社会のあり方を考えるために、まさに必見の講義です。


（※アドレス再掲）
◆片山杜秀：独立と在野を支える中間団体（1）
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5528&referer=push_mm_rcm2


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編集部#tanka
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窮鼠なら猫を噛むべし逃げるべし何故そこでチョロと出でて止まるか

韓国の戒厳令。なぜ尹大統領は決断し、なぜ挫けたのか。外から見れば謎だらけですが、理由は決断者本人にしかわからないのかも…と、レイテ沖海戦の「謎の反転」を思い出しました。（達）
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1050&referer=push_mm_tanka