編集長が語る!講義の見どころ
問題が噴出の選挙と議会政治…どう立て直すか?/日野愛郎先生×島田光喜氏【テンミニッツTV】
2024/12/20
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
アンケート企画「巨大地震への対策を考える」のご回答、まことにありがとうございました。おかげさまで、今回も多くのご意見をいただきました。12月26日(木)に配信スタート予定の「編集部ラジオ」で結果をご報告いたします。はたして、テンミニッツTV会員の皆さまがどのようなことに取り組まれているのか。ぜひお楽しみに。
さて、今年はさまざまな選挙で、さまざまな問題が起きた年でもありました。衆議院東京第15区補選での騒動、東京都知事選挙でのポスター問題や若手候補の躍進、兵庫県知事選挙での逆転劇……。いよいよネット選挙がこれまでのオールドメディアの影響力を凌駕した年だという評価も聞かれます。
これまでも泡沫候補の乱立などの問題があったことは確かです。しかし、ネット選挙とともに騒ぎが大きくなると、下手をすると政治不信にもつながりかねません。かつて、レーニンやスターリンは革命を成功させるために「議会制民主主義への不信」を喚起することが重要な戦略だと語っていました。議会制民主主義への侮蔑や否定は、全体主義的傾向にもつながりかねず、まことに由々しき事態です。
一方、メディアはどうかといえば、すっかりワイドショー化したニュース番組で、根拠も不確かな主観的なコメントを流し、逆に混迷に拍車をかけているようにも思われます。政治を軽蔑し嘲笑するのも自由ですが、しかしその結果、良い人材が政治に入っていかなければ、不幸になるのは国民です。
では、どうすべきか。テンミニッツTVでは、日野愛郎先生(早稲田大学政治経済学部教授)と島田光喜氏(一般社団法人未来政経研究所理事長)に、政治学の見地から、どのような制度を考えれば日本の議会制民主主義を高めることができるのかについてお話しいただきました。
政治について悲嘆したり、嘲笑したりするだけでなく、世界の制度なども参考にしながら、どうすれば改善できるかを考える。それが、ひいてはわれわれ自身のためであるはずです。
◆日野愛郎×島田光喜:「議会と民主主義」課題と処方箋(全8話)
(1)日本の国会議員の3パターン
世襲、官僚、叩き上げ…3つの国会議員の是非を議論する
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5540&referer=push_mm_rcm1
まず、第1話で取りあげられるのは「世襲議員」の問題です。日本では古来、3バン(地盤、看板=知名度、カバン=資金)が必要といわれ、その点で優位に立つ世襲議員が数多く生まれ、政治が一種の「家業」化している側面が強くあります。
日野先生は、この問題を打開する一つのポイントは「兼業禁止」を廃止することだといいます。たしかに、政治家は落選すればただの人ですから、そうなった場合にどう生きるのかを考えると、なかなか踏み出せるものではありません。兼業が認められるならば、仕事を続ければよい、、、という話になります。
諸外国では、それを認めている例も多数ありますが、一方、ただ、兼業を認めればいいという問題でもありません。そのあたりの機微は、ぜひ講義をご覧ください。
続いて議論されるのが、どうすれば多様で優秀な人材を政治家に登用できるのか、です。ここで小選挙区制や比例代表制をどのように用いるべきかが論じられます。たとえば、現在の地方議会の選挙であれば、新人が入ってくることもかなりある。これはかつての「中選挙区制」的なあり方であるために、参入がしやすいこともあります。
一方で、政党がどのような候補者を、どのように立てるのかというガバナンスの問題もあります。選挙制度を改変するのは、まことに大ごとではありますが、このあたりもきちんと考えていかねばならない問題でしょう。
さらに、「なぜ日本の政党は諸外国の政党と比べて政策立案能力が低いのか」、「選挙の供託金などの制度に問題がないのか」、「なぜ日本の議会は女性や若者の比率が低いのか」、「選挙期間中の政策論争をいかに活性化するか」、などの問題が次々に取り上げられていきます。
ここも、単なる「悲嘆」や「問題列挙」ではなく、諸外国のあり方なども参考にしながら、改善のための方向性が論じられていきます。
政治の問題は、「制度」が足を引っ張っている部分が多くあります。政治家は自分たち自身の問題でもあるので、なかなか制度には手をつけづらい部分があります。スポーツでも、選手たちだけでルールを変えるというのは、なかなかできる話ではありません。
であるならば、このような「制度」についての議論を盛り上げていく必要もあるはずです。そのようなことを考えるうえで、大いに参考になる講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆日野愛郎×島田光喜:「議会と民主主義」課題と処方箋(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5540&referer=push_mm_rcm2
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編集部#tanka
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死を前にドローンを哀しく見上げたる北朝鮮の兵士のまなこ
ロシアへ派遣された北朝鮮兵が多数戦死しているとのこと。その画像も報じられています。これまでの常識を超えた戦争の悲劇的な実相を、廣瀬陽子先生の講義で。(達)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5494&referer=push_mm_tanka
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編集部からの訂正とおわび
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前回(12月17日)配信のメルマガのなかで一部誤りがありましたので、以下、訂正いたします。
<誤>
■本日の講義:『江戸名所図会』で歩く東京~吉原編(渡部玄一先生)
<正>
■本日の講義:『江戸名所図会』で歩く東京~吉原編(堀口茉純先生)
この場を借りてお詫びを申し上げます。大変申し訳ございませんでした。何卒よろしくお願いいたします。
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