編集長が語る!講義の見どころ
日本を「資源自給・人財成長・住民出資国家」に!/小宮山宏先生【テンミニッツTV】

2025/01/03

あけましておめでとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。本年も何卒よろしくお願い申しあげます。

皆さま、お正月をいかがお過ごしでしょうか。やはり年始にあたっては、物事を深く考えることもなしに悲観的な見方をまき散らすだけの論説ではなく、しっかりと状況を見据えたうえで未来を切り拓いていく展望を学びたいものです。

本日は、テンミニッツTV座長の小宮山宏先生の令和7年(2025年)の年頭所感を紹介いたします。小宮山先生の年頭所感は、毎年、明るい希望を感じさせてくれるものですが、今年の年頭所感は、これまでの議論を総覧するような、まことに体系的かつ具体的な「明るい未来を築き上げるための方法論」をお話しいただいています。

いま、何をしなくてはいけないのか。どのような姿をめざすべきなのか。そのことが、はっきりと見えてくる講義です。

◆小宮山宏:2050年「プラチナ社会」実現への挑戦(全3話)
(1)「プラチナ社会」実現のルーツと現況
2025年頭所感~5つのプラチナ産業イニシアティブ創りへ
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5635&referer=push_mm_rcm1

まず小宮山先生は「いわゆる覇権国家といえるほど圧倒的に強い力を持つ国はなくなってきた」「どの国も、いわば自分の国内を考えるだけで精一杯のような状況が目立つ」とおっしゃいます。ここは、とても重要なご指摘でしょう。そのような状況だからこそ、日本は自分自身の進む道を、しっかりと明確なビジョンとして描かなければならないのです。

小宮山先生は、50年以上研究を重ねてきた結果、「社会は非常に大きく変わることを確信した」のだといいます。「日本は資源がない」という認識も20世紀の話でしかないのだと。

そもそも、2050年には、地球温暖化対策のために世界中で化石燃料が使えなくなると小宮山先生はおっしゃいます。発想を変えなければ、人類も日本も保たないということです。

では、どうするのか。

小宮山先生は、現在、「森林産業イニシアティブ」と「再生可能エネルギー産業イニシアティブ」の2つを創り、さらにこの後、「健康」「人財」「観光」の3つの領域で産業イニシアティブを創るのだといいます。

それぞれどのようなものかは、第2話で解説いただいています。とても具体的で、わかりやすい取り組みです。

たとえば「再生可能エネルギー産業イニシアティブ」は、2050年にエネルギー総消費量の80パーセントを国内の再エネで賄うことを実現するための戦略です。小宮山先生は、こうおっしゃいます。

《そんなことができるのかと、多分皆さんはお思いになるだろうと思いますが、「やればできる」のです。そのためには、中身をちゃんと検討しなくてはいけない》

その戦略の中核になるというのが「ソーラーシェアリング」です。これについては以前のテンミニッツTV講義でもお話しくださっていますが、農地の30パーセントほどの面積に太陽電池を貼っていくものです。

この方式は、太陽光で発電できるだけでなく、農業の見地でも非常に有益な取り組みなのだといいます。たとえば、昨今のような非常に暑い夏には、水を撒く散水量が3分の1で済むようになるとのこと。さらに、農作業の環境も大幅に改善されます。

そう聞くと、やらない選択肢はないように思えてきます。

いま、実は世界は大きく動いています。しかし日本は、その大きな流れに取り残されている。そういう情報も、日本のメディアはろくろく発信しません。やはり、このような閉塞した状況は変えていかなくてはいけません。

さらに小宮山先生は、たとえば再生可能エネルギーを実現するために、「住民出資・住民所有」という方法があるのではないかと論じます。民主主義・自由主義・資本主義という枠内で社会的共通資本を維持する方策として、そのようなスタイルが重要ではないか、と。

日本の個人金融資産は2,200兆円に上り、そのうち、たんす預金は60~100兆円にもなる。それらの一部を活用して、これから新しくできていく地域の発電会社に一定程度、住民が投資する。そして、その一部の所有者になり、配当を受け取る。そうすれば、自分の電気も使うけれど、配当も受け取るという形が可能になる。

このような姿を、非常にわかりやすく「たんす預金をローリスク国内投資へ向けるのだ」と表現されます。

現在、たとえば新型NISAなども盛んに喧伝されていますが、その90パーセントは海外への投資に回されているとのこと。それでは、日本は良くならなりません。国内の投資するべきところに向ければ、社旗は発展し、個々人も富む好循環がつくれるのです。

そのような取り組みを通じてめざすところは、「資源自由・人財成長・住民出資」国家だと、小宮山先生は喝破します。

《希望はある。しかし、やらなければなくなってしまいます。だから、希望があるうちにやりましょう》

その小宮山先生のメッセージが、深く胸に刺さる講義です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆小宮山宏:2050年「プラチナ社会」実現への挑戦(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5635&referer=push_mm_rcm2


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https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3851&referer=push_mm_tanka