編集長が語る!講義の見どころ
明快解説!東西の戦略史と現代経営論に学ぶ/三谷宏治氏【テンミニッツTV】
2025/01/17
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
本日は三谷宏治氏(KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院教授)の《オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ》を紹介します。
こちらは、三谷氏の著書『オリエント――東西の戦略史と現代経営論』(日本経済新聞出版)を基にした講義です。この本は、三谷氏と、作家で東洋思想に関する書籍を数多く発刊されている守屋淳氏との対談で編み上げられています。まさに副題のとおり、両者の対話により現代経営論と歴史をベストミックスさせた興味深い一冊です。
テンミニッツTVの講義では、この本のエッセンスを紹介します。今回の三谷氏の講義で紹介されるのは「失敗の本質」「組織と統治」「超分権的組織」「東洋的リーダー」について。はたして、現代経営論と歴史のかけあいのなかから、どのような話が生まれてくるのでしょうか。
◆三谷宏治:オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(全5話)
(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
歴史に教訓あり――東西の知恵を融合させた経営論を学ぶ
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5586&referer=push_mm_rcm1
第1話では、この本がつくられた経緯が語られます。この第1話自体が、ある意味では書籍発刊という「プロジェクト」解説になっています。
第2話から内容紹介がはじまりますが、まず取り上げるのは有名な『失敗の本質』です。いうまでもなく『失敗の本質』は、戸部良一氏、寺本義也氏、鎌田伸一氏、杉之尾孝生氏、村井友秀氏、野中郁次郎氏によってまとめられ、1984年に単行本として発刊された一冊。日本軍の組織論的な失敗を戦史にひもづけながら研究したベストセラーです。
三谷氏のご分析は、核心を端的にピックアップすることで定評がありますが、この『失敗の本質』からつかみ出すのは、「明確な戦略目的がないこと」「失敗を認めないこと」です。特に後者は、日本の組織で働いたことがある人であれば、耳が痛い部分も多いのではないでしょうか。詳細は、ぜひ講義本編をご覧ください。
第3話は、「法治と徳治」。いうまでもなく「法治」は『韓非子』に代表され、「徳治」は『論語』に代表されます。しかし、どちらか一方では、うまくいきません。両者を組み合わせたハイブリッドな組織が理想とされてきましたが、実は、アメリカの自動車メーカー・GMの中興の祖といわれるアルフレッド・スローンがそのバランスを見事に体現した人物であり、それを理解し、世に広め、さらなる改革提案をしたのがピーター・ドラッカーだったといいます。
そして第3話では、「韓非の決意と愚痴」という興味深い話もご紹介くださいます。韓非がいかに世に出て、なぜ非業の死に追い込まれたかの逸話なのですが、大いに考えさせられます。
第4話は、「データ民主主義」。これは超分権的組織のあり方です。古来、会社などの組織には上下関係やタコツボ化がつきものですが、その壁をデータを重視することで打ち破り、データ民主主義の下での超分権的な「試行錯誤型経営」にしていく話です。Amazonやサイボウズ、ワークマン、ディスコなどの事例も紹介いただくので、イメージをつかむことができます。
第5話では、中国古典の名著『貞観政要』に触れながら、東洋的リーダーシップについて語られます。いま必要なのは「組織の複雑性」に耐えられるリーダーであり、そのためには上意下達のピラミッド型組織からの脱却です。それに成功したのが、世界最大の日用品メーカー・P&Gのアラン・ラフリーでした。では、日本人はこのラフリーの事例と『貞観政要』から何を学ぶべきなのか。
著者自身がわかりやすく要点を語ってくださるので、ポイントがまっすぐ胸に届く講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆三谷宏治:オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5586&referer=push_mm_rcm2
----------------------------------------
編集部#tanka
----------------------------------------
先達をよみがえらせし筆のあと永遠に輝くあたたかき色で
童門冬二先生のご逝去が発表されました。本当に素晴らしい先生でした。心よりご冥福をお祈りします。そのお人柄を伝える講義です。(達)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3387&referer=push_mm_tanka
人気の講義ランキングTOP10
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道
藤田一照