2025/01/31

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

日本のみならず世界でも、「生きづらさ」を抱える人が増えているような感覚を覚えます。それは、なぜなのでしょうか。

そのときに、「ヒトの進化から何が見えてくるのか」を考えると、とても興味深い気づきを得られると、長谷川眞理子先生（総合研究大学院大学名誉教授）はおっしゃいます。

たしかにそうでしょう。ヒトはどんな生物で、元々どんな生活をしていたのかから考えれば、どこに無理があるのかも、おのずと理解できます。これは、「頭だけで考える」理想論（あるいは机上の空論）とは、まったく逆のアプローチです。

長谷川眞理子先生の今回の講義で、その部分が明確に描き出されます。はたして、何が見えてくるのでしょうか。

◆長谷川眞理子：進化的人間考～ヒトの性質と異様な現代社会（全3話）
（1）進化のスパンと現在の人間生活
ヒトの進化史を文明の発展の時間軸から考える
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5659&referer=push_mm_rcm1

まず長谷川先生は、次のようにおっしゃいます。

《何々障害や何々症候群などに罹った人が悪いのではなく、社会がこうなってしまったために、どんどん増えてきたものがあるのではないかということ。もう少し、個人のことよりも社会全体のシステムのことを考えたほうがいいだろうという話をしたいと思います》

そして、そもそもヒトが圧倒的な長期間、狩猟採集生活を送ってきたことから説きはじめます。

長谷川先生は第2話で、とても興味深い言及をされます。「ヒトが普通の動物と比べてどれだけ食べ物をとるのが大変なのか」ということについて、チンパンジーとの比較表を示されるのです。

ヒトの食べ物は、ただ採って食べればいいというのではない。苦労して取ったものを、さらに調理加工して食べないといけない。そこには知恵や技術も必要になるので、学ばないといけない。これらは、前提として一人でできるものではない……。

しかもヒトが何万年も続けてきた狩猟採集生活と、現代の社会とは大きく乖離しています。再び、長谷川先生の言葉を引きましょう。

《最近はIT技術が進み、生成AIだ、ChatGPTだと、いろいろな話になっています。このようなことは、たかだか20年です。スマホやSNS、ソーシャルメディアなどがここまでヒトに広がったのは（ここ）10年ぐらいでしょうか、非常に短い時間の話です。ですので、私たちの体や心や脳の働きは、こんなものに追いついて変わってはいない、進化してはいないわけです》

そのギャップがどのようなものか。ヒトの「狩猟採集生活」とはどのようなものだったのか。それについては、ぜひ講義本編をご覧ください。

そして長谷川先生は、こうおっしゃいます。

《現代人は時計やカレンダーに支配されて生きている。運動不足も、睡眠障害も、不安も、対人関係ストレスもある。けれども、そんなことは狩猟採集社会では問題にならない》

しかし、もちろん、ただ昔に還ればいいというのではありません。ヒトは1万年の狩猟採集社会のなかで、どのように生きてきたのかを知り、それを前提に考えつつ、諸々の設計をしていくべきではないか、というのです。

たしかに、狩猟採集社会がどのようなもので、ヒトはそのなかでどのような能力や特性を伸ばしてきたのかを考えることで、様々なことに気づくことができます。

社会の大元の大元について考えてみることができる講義です。そればかりでなく、この視点を知っていると、身近な人々が現代社会特有の様々な困難に直面しているときに、ちょっと心が軽くなるような、救いになるひと言をかけてあげることもできるかもしれません。ぜひご覧ください。


（※アドレス再掲）
◆長谷川眞理子：進化的人間考～ヒトの性質と異様な現代社会（1）
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5659&referer=push_mm_rcm2


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https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4502&referer=push_mm_tanka