編集長が語る!講義の見どころ
新大統領で「米中貿易摩擦」はどうなるか?/伊藤元重先生(テンミニッツTVメルマガ)
2020/11/20
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
アメリカ大統領選挙で、現時点ではトランプ大統領がいまだ敗北宣言を出しておらず、投票の是非についての訴訟戦を行っていますが、世界の大方はバイデン新政権の誕生を見越して動きはじめています。
いずれにせよ、アメリカでの新政権の誕生によって、今後、米中関係はどうなっていくのでしょうか。これは、日本にとってもまさに死活問題だけに、その本質を考えておく必要があります。本日は、とくに米中貿易摩擦の核心と今後の展望について伊藤元重先生(東京大学名誉教授/学習院大学国際社会科学部教授)に解説いただいた講義を紹介いたします。
◆伊藤元重:米中貿易摩擦の核心と展望(全2話)
(1)チャイナ・ショックの深層
そもそも米中は、今の通商システムの中で共存できるのか?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3747&referer=push_mm_rcm1
伊藤元重先生が最初に強調するのは、「そもそも今のままでは、アメリカと中国が、WTO(世界貿易機関)に代表されるような通商システムのなかで共存するのは難しいかもしれない」という点です。伊藤先生がご紹介くださるのは、数年前にWTOについて討議する国際会議に出席された折のエピソードです。ディナーをとりながらリラックスした雑談をする場で、あるカナダ人の著名な学者が、「伊藤さん、今のWTOシステムのなかでアメリカと中国が共存するのは無理ではないですか。そう思いませんか?」と語りかけてきたというのです。
アメリカでは、「チャイナ・ショック」というキーワードが語られています。これはMIT(マサチューセッツ工科大学)の経済学者デビッド・オーターをはじめとする研究者が論じているものですが、つまり、中国からのさまざまな製品輸入で、アメリカで経済的な被害がどれほど出たのか、という分析です。
実際にラストベルトでは、製造業で安定的な生活をしていた人たちが、工場の閉鎖や移転、倒産などによって仕事を失い、所得減少や家庭崩壊、地域社会の崩壊などの問題が起きています。経済学的な手法でそれらを分析すると、たいへんな被害が出ているというのです。
これまでは、「中国が成長すれば、アメリカ全体とすれば利益があるはずだ。つまり、自由貿易はいいものだ」という議論がなされてきました。しかし、全米トータルでは良くても、ラストベルトなど特定の地域や特定の分野では、非常に大きな被害が生じ、格差が広がっている。このことに対して、政治への不満と要望は高まっている。大統領選挙後も、それは変わらないだろうというのです。
加えて、中国の国家資本主義的なあり方や、共産党一党独裁に対するアメリカの本質的な不満は変わらない。一方の中国も、大国意識の高まりのなかで、国民は弱腰の外交を認めず、インドとの国境でも、南沙諸島でも、新疆ウイグル自治区でも、香港でも、台湾でも、尖閣でも、公然と強権的な態度を取っています。
しかも、とくにハイテク産業などは、動学的規模の経済性(大規模投資でたくさん作れば作るほど、生産性が安くなるという現象)が起きやすく、一度、そういう規模を獲得してしまうと、他の企業は追随できなくなるため、各国の産業政策で利害の衝突が起きやすくなっています。
伊藤先生は、イギリスのあるジャーナリストの「米中の関係は、当面、抜本的に解決(リゾリューション)するのは無理だろうが、鍵はマネージメントだ。これ以上悪くならないように交渉をするなかで、どのようにマネージメントするかがポイントだ」という発言を紹介されます。
そのうえで、アメリカの新政権の「マネージメント」がどうなるかの予測をされますが、その内容は、ぜひ本講義をご覧ください。
世の中の動向が不透明なときこそ、物事の本質をしっかりと見つめることが必要不可欠です。本講義では、米中問題の底流を見事に整理いただいています。今後の動きを理解するために必見の講義です。
(※アドレス再掲)
◆伊藤元重:米中貿易摩擦の核心と展望(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3747&referer=push_mm_rcm2
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今週の「エピソードで読む○○」Vol.12
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今回の○○は豊臣政権下、五大老の一人であった「宇喜多秀家」です。
明智光秀は一発で落ち武者狩りにやられてしまったのですが、宇喜多秀家の場合はあれだけの負け戦の中で、不思議に命を長らえて、落ち武者狩りに来た人が命の恩人となったわけですね。
さて、秀家はその後、島津家にも長くはいられないし、こうなったら琉球に渡って琉球王になろうとするのですが、船を仕立てたところ、難破してしまいます。それで武将としての再起を諦めて、出頭して、八丈島に流されます。それでも宇喜多は80数歳まで長生きしています。その時には家康はもちろん、関ヶ原に参戦した武将たちはことごとく死に果てていますから、関ヶ原で一番危ない目に遭った人が、参戦した武将のうちで最大の長寿を楽しんだというのは、実に不思議な運命で、興味深いですね。
明智光秀と宇喜多秀家、好対照だった敗者のその後
中村彰彦(作家)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3157&referer=push_mm_episode
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レッツトライ! 10秒クイズ
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「科学技術(宇宙・天文)」ジャンルのクイズです。
小惑星探査機「はやぶさ」で有名になったのは「〇〇〇エンジン」。
「電気推進」と呼ばれるロケットエンジンの1つで、有人火星探査のため総質量とコストをなるべく少なくする方策として挙げられています。
さて、〇〇〇には何がはいるでしょうか?
答えは以下にてご確認ください
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2747&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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編集部の加藤です。今回のメルマガ、いかがでしたか。
さて、今月(11月)1日から配信開始となった兵藤裕己先生(学習院大学文学部教授)のシリーズ講義「『太平記』に学ぶ激動期の生き方」。
以前にこの場でこの講義の収録についてご紹介をしましたが、改めて興味深い内容だと実感しております。これからの配信も楽しみにしていただければと思います。
今回は、これまでの配信のなかで個人的に惹かれた1話目の以下の部分をご紹介したいと思います。
「『平家物語』は、割と人間が一面的に描かれていて、「いい奴か悪い奴か」に分かれます。ですが『太平記』は、成立過程にも由来するのですが、いろいろな要素を抱え込んでいる人間が出てきます。その意味では、乱世という時代において、いろいろなタイプの人間の処し方を見るうえでは参考になる本ではないかと思います」
これは、兵藤先生が『平家物語』と『太平記』の比較をされている部分ですが、それぞれの人間の描き方を見ると『太平記』のほうがより人間的というか、今の時代にも実際にいそうな人物として捉えることができ、なんとも味わい深い文学作品だなと感じました。その違いを実感するためにも、かなりの大作ですが今度時間を見つけて読んでみようと思った次第です。
<今回ご紹介の講義はこちら>
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己(学習院大学文学部教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3732&referer=push_mm_edt
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