編集長が語る!講義の見どころ
世界経済の現状&日本の悪循環を断つ4つの兆候/石黒憲彦氏【テンミニッツTV】

2025/03/25

※テンミニッツTVでは、3/27(木)13時~17時(終了時刻は前後する可能性があります)にメンテナンスを行ないます。その時間はご利用いただけなくなりますので、何卒よろしくお願い申しあげます。

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

いうまでもなく、いま国際情勢は大きく変動しています。このようななかで、日本はどのように進んでいけばいいのか。これは、まことに大きな問題です。

本日は、ジェトロ(JETRO)理事長の石黒憲彦氏に、「グローバル環境の変化と日本が解決すべき課題」というテーマでお話しいただいた講義を紹介します。

石黒氏は1980年に通商産業省(現・経済産業省)に入省され、商務情報政策局長、経済産業政策局長、経済産業審議官などを歴任された後、2016年から2023年まで、日本電気株式会社(NEC)の執行役員副社長をお務めになり、2023年から独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)理事長をお務めです。

ジェトロは、「貿易・投資促進と開発途上国研究を通じ、日本の経済・社会の更なる発展に貢献すること」を目指す組織で、70カ所を超える海外事務所を設けて、中小企業等の海外展開支援や、農林水産物・食品の輸出支援などに取り組んでいます。

はたして、いま世界の現場で、どのようなことが起きているのか。そのことがよく見えてくる講義です。

◆石黒憲彦:グローバル環境の変化と日本の課題(全6話)
(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5701&referer=push_mm_rcm1

石黒氏は、第1話で現在の世界経済について「マクロ的には低成長時代に入ってきた感じがしている」と指摘されます。

《大きく新興国が伸びるといったようなことでも必ずしもなく、むしろかなり保護主義的な政策が各国で多く取られるようなことになってきているものですから、全般的に貿易が低調で、成長のスピードが少し鈍化するのではないかというのがマクロ的なトレンドです》

実際、世界貿易の総量もシュリンクし始めているといいます。一方で増えているのが「サービス貿易」。こちらは過去最高で「モノ消費からコト消費」という部分が進んでいるとのこと。

また、地政学的リスクも各地にあります。アラビア海でテロリストのフーシ派が跋扈(ばっこ)しているのでスエズ運河が使えず、喜望峰回りになって日数や運賃がかさんでいることなどが典型例として紹介されます。

また、米中の緊張関係も様々な変化を招いています。実際に米中間の貿易がかなり縮んでいること。アメリカから中国への投資もマイナス62.5%になっていること。その一方で、中国国内が完全に過剰供給構造になり、EVをはじめ過剰な輸出攻勢がASEAN諸国やEU諸国などに向かって摩擦を生んでいること。

さらに、トランプ政権をどう見るかというのも、大きな問題です。石黒氏は「トランプ大統領を縛れるのはマーケットだけ」とおっしゃいます。はたして、どのような意味でしょうか。そして、トランプ政権の関税政策や不法移民の強制退去政策などがもたらすものとは? サステナビリティ対応へのトレンドはどうなるのか?

そのあたりもぜひ、講義本編でご覧ください。

第2話では、日本が直面する課題をお話しいただきます。石黒氏は、日本の最大の課題は人口問題と高齢化だと指摘します。

2100年になると日本の人口は6300万人になると推計される。そのときに本当に日本が成長できるような国なのか。1人当たりGDPがどんどん上がっていくような仕掛けの国にしていかないと、相当貧しくなっている可能性があるのではないか。

しかし現在、1人当たりGDPは全然伸びておらず、韓国や台湾にも抜かれています。しかも実質実効為替レートでも円はひとり負け。加えて、大企業はどんどん海外展開したので「外で作って、外で売る」というビジネスモデルになっています。

さらに悩みの種が「デジタル赤字」です。日本のデジタルサービスの多くが、Amazon、Microsoft、Oracleなどのクラウドサービスの上に載っていて、サービス貿易部分の赤字幅が広がっているのです。

そしてこれまた大きな課題が「中国からの撤退モード」。その現状も詳細に示していただいているので、必見です。

第3話で語られるのが、日本経済の「縮小均衡の悪循環」の実態です。石黒氏がお話しくださる2000年前後からの日本経済の姿は、まことに心胆寒からしめるものです。それが「おひとりさまの世界」を当たり前にしてしまったのだと。マクロ経済政策や企業戦略の失敗が招く結果に、愕然とさせられます。

石黒氏は、いまこそ悪循環を壊すラストチャンスだといいます。そのうえで、攻めの経営への「4つの兆候」もお示しくださいます。それは、はたしてどのようなことか。ぜひ講義第4話をご覧ください。

第5話は、ジェトロの紹介です。たとえば、福島第一原発の処理水の問題で、中国が水産物の輸入禁止をやっために、ホタテの輸出が大きな打撃を受けました。そこでジェトロが動いた結果、ほぼ8割がた戻すことができたといいますが、はたして何をやったのか。

このあたりも、現場を持って活動しているジェトロならではの興味深い事例といえましょう。

第6話は「質疑編」です。石黒氏が現場を見て実感した日本企業の課題は? 日本のエネルギーや食糧の需給問題の展望は? 働き方改革が日本を骨粗しょう症のように蝕んでいるのではないか? 日本企業はいかにエンゲージメントを上げられるのか?

ここも、まことに興味深いお話の数々です。

日本が直面する現状と課題が浮き彫りになる講義です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆石黒憲彦:グローバル環境の変化と日本の課題(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5701&referer=push_mm_rcm2


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