編集長が語る!講義の見どころ
リンカーン暗殺から160年…アメリカの本質とは/中西輝政先生【テンミニッツTV】

2025/04/15

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。

4月15日はアメリカの大統領・リンカーンが暗殺された日です。暗殺は1865年のこと。ちょうど160年前ということになります。

アメリカが大きく揺れ動くなか、あらためてアメリカの歴史と理念を知ることは、とても重要なことではないでしょうか。

本日は、中西輝政先生(京都大学名誉教授)に、アメリカの理念と本質について、じっくりお話しいただいた講義を紹介いたします。アメリカの建国の歴史、宗教、南北戦争、そして……。これだけは知っておきたい必須の知が満載された講義です。

◆中西輝政:アメリカの理念と本質(全10話)
(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
三つの建国――その歴史的背景から迫るアメリカの原点
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5460&referer=push_mm_rcm1

まず、この講義の全体像を各講義のタイトルでお示ししましょう。

(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
三つの建国――その歴史的背景から迫るアメリカの原点

(2)ピューリタニズムの歴史
ピューリタニズムとは?アメリカ建国の核とその歴史に迫る

(3)ピューリタンの特性と影響
ピューリタンの2つの柱と3つの人生哲学とは

(4)アングロ・サクソンの社会
カトリックでも例外!? アイルランドに対する偏見とその背景

(5)アメリカのアイルランド問題
『風と共に去りぬ』で表現されたアイルランド移民の精神史

(6)帝国としてのアメリカ
「アメリカ・ファースト」と通底するアメリカの帝国観

(7)四つのアメリカ
ウォルター・ラッセル・ミード提唱「四つのアメリカ」とは

(8)連邦と州の問題
いまだ残る「馬車の時代」の制度…アメリカ最大の課題とは

(9)南北戦争の意義とリンカーンの理念
起源は南北戦争…アメリカ再建への道とリンカーンの演説

(10)二つの孤立主義と30年周期説
理想主義的か利己主義的か…アメリカ史から考える孤立主義

歴史と宗教、さらに人種差別問題や制度問題などについて、とても広い鳥観図で語っていただいていることがわかります。

中西輝政先生は、まず講義の第1話で次のような指摘をされます。

《(日本人の理解が)非常に皮相的なアメリカ観で終始してしまっているのは大きな理由があったのだと私は思います。その一つはやはりキリスト教という問題です。アメリカを理解するときに宗教を抜いて理解することはできません。しかし、日本人にとって宗教というテーマは、話題として非常に苦手というか、ずっと宗教に関する議論をしてこなかった歴史的土壌があります》

《もう一つはアメリカに「西洋文明の行き着いた先」という意味があることです。これは、日本人にとってはなかなか大変なことです。古代ローマ以来の歴史、そして近代ヨーロッパのさまざまな世界史的な大展開を理解しないと、アメリカは分からない》

さらに中西先生は、アメリカの原典を知るために「三つの建国」について知っておく必要があるとおっしゃいます。

1つめは、「プロテスタントの、その中でも非常に特殊なキリスト教徒であったピューリタン(清教徒)と呼ばれた人たちが、本国の迫害を逃れてアメリカに移住してきたこと」。

2つめは、「イギリスとの独立戦争に勝利して、アメリカが晴れて独立国家となって国際社会から認められたという建国」。

3つは、「第三の建国は1860年代の南北戦争です。アメリカが法律的、軍事的、政治的、社会的なあらゆる意味で一つの国になったのが、南北戦争の終わる1865年です」。

このような問題意識に応えていくのが、本講義です。

非常にじっくりとそれぞれの論点をお話しいただいた講義ですので、ここでは印象深い言葉をピックアップしていくことにしましょう。

●(イギリスのピューリタニズムは)もともと国家に対する反逆ということが、少し宗教に加味されているわけです。

●極端に「イスラム原理主義で国をつくる」という運動がありますが、そういう動きとどこか軌を一にするような「神政国家」を志して北米大陸へ渡っていった人々が、アメリカという国の理念を形作りました。

●ピューリタニズムに発するような「福音派」という人たちが現在、アメリカ国民の20パーセントぐらいは占めている。

●プロテスタントのアングロ・サクソンから見ると、アイルランドに対する偏見や差別感となり、これがカトリックへの差別感に結びつくわけです。

●アメリカという、当時からすでに広大だった地域を対象にする新しい独立国家というものは、共和政をとる国として広域の発展をした国としては、どんな事例があったか。彼らにとってのインスピレーションは、古代ローマの共和政だったのです。

●それともう一つ大事なことは、アメリカは決して王政にはならない。しかし、「帝国」にはなるかもしれない。あるいはなるべきだと考えた建国の父も、たくさんいたということです。

●アメリカ外交史の泰斗といってもいいウォルター・ラッセル・ミードが、「アメリカの外交や社会や文化を考えるときには、四つぐらいのアメリカを念頭に置く必要がある」と言っています。

●21世紀のアメリカにとって重大な問題として、特に人種の問題でいえば、総合的にいわゆる有色人種に対する白色人種の立場ということは、今後のアメリカの大テーマになります。

●各州によって全く植民地(の成立事情)が違う。民族も違う。歴史も全く違う。

●それから憲法をはじめとしてアメリカは、よく「アーカイックな国」だと評価されます。非常に悪い意味で「時代遅れの国だ」と、よくヨーロッパ人に言われるわけです。

●この南北戦争の苦悩を乗り越えるために、自由とか民主主義とか、それこそデモクラッツが「草の根の人たちへの思い」をもう一度取り戻して、偉大なる国家としてのアメリカ合衆国の再建にこれから取り組む、その仕事がわれわれの神聖な義務である。ということで、アメリカ国民を一つにまとめようとしたわけです。

●簡単にいえば、孤立主義の中には「理想主義的な孤立主義」と「利己主義的な孤立主義」がある。これはしっかり区別しなければいけません。

●アメリカが一定の周期で激変していくことは確かです。しかし、大事なことは、われわれから見るとしょっちゅう変わっているように見えるのは、逆説的ですけれど、そこにある「変わらないもの」を見ておかなければいけないということです。

上記はごくごく一部です。箴言に満ちた本講義、まさにいま、必見です。


(※アドレス再掲)
◆中西輝政:アメリカの理念と本質(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5460&referer=push_mm_rcm2


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