編集長が語る!講義の見どころ
知っておきたい日本仏教の特長、聖徳太子の「和」の真意(テンミニッツTVメルマガ)

2020/12/01

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
いよいよ12月。大掃除の季節ですが、併せて、心の整理をしてみるのはいかがでしょう。とりわけ今年はコロナ禍で心が大いに乱されましたので、年末から新年にかけて、あらためて自分の精神の基盤を見つめてみるのも良いことではないでしょうか。

テンミニッツTVでは、日本の仏教思想について、頼住光子先生(東京大学大学院人文社会系研究科・文学部倫理学研究室教授)に教えていただく講義シリーズをスタートさせました。名僧たちが書いた名文を読み解きつつ、その思想に迫る珠玉の内容です。本日ご紹介するのは、その第1回の「総論」と、第2回の「聖徳太子編」です。

◆頼住光子:【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(全3話)
(1)名僧の原著に触れる意味
「文は人なり」――原文を読んで名僧の思想の息吹に触れる
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3631&referer=push_mm_rcm1

◆頼住光子:【入門】日本仏教の名僧・名著~聖徳太子編(全2話)
(1)仏教受容の意味
聖徳太子が仏教を積極的に国づくりに生かした理由
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3767&referer=push_mm_rcm3

「仏教」が日本に伝来したのは6世紀の中頃ですが、以来、仏教は日本において非常に重要な位置を占めてきました。日本人は、神道と仏教とをうまく習合させ、独特の精神文化を築き上げました。

しかし、日本の仏教者たちがどのような問題について深く思索し、いかなる思想を打ち立ててきたのか、皆さま、どれほどご存じでしょうか。

この講義シリーズで取り上げるのは、聖徳太子、最澄、空海、源信、法然、明恵、親鸞、道元、日蓮。それぞれの人物について、それぞれの文章をひもときながら、その心に迫っていきます。

「原文」を読んでいくことの意味について、頼住先生はこうおっしゃいます。

「原文を読むというのは、その思想家が自分の考えを『こう表現しようか、ああ表現しようか』と、いろいろ考えた末に確定した、その表現を自分も味わって、その世界をともにすることだと思います。彼らの思想の『息吹』に直接に触れることが、その思想家を考えるうえで、とても重要なのではないかと思いました」

たしかに、まさに「文は人なり」で、実際に文章のさわりを読むことで、理解が深まります。

まず、「総論」で興味深い部分の1つは、日本仏教と他国の仏教の違いを概論いただいているところです。頼住先生は、中村元の研究を参照しつつ、次のような点を挙げておられます。

「出世間を重視しない=現世主義的」であること。「戒律を重視しない」こと。論理的なものを扱った「仏教論理学」への関心が低いこと。そして、非常に重層的で多様な仏教が並立していること。これらが、日本仏教の大きな特徴だとおっしゃいます。

たとえば今でも日本では、天台宗も真言宗も盛んですが、中国では、仏教弾圧の歴史などを経て、現在ではそれらの宗派はなくなってしまっています。それらを現在に至るまで脈々と、重層的に発展させてきた日本。しかも、そこからいくつもの新しい仏教思想を生みだしてきました。その意味は、世界の思想史上においても、とても大きなものといえましょう。

さらに「聖徳太子編」では、聖徳太子が仏教を日本に導入したことの意味をご解説いただいたうえで、第2話では「十七条憲法」を読み解いていきます(※聖徳太子編の第2話の配信は12月3日〈木〉を予定しております)。

「和を以て貴っとしとす」で有名なこの十七条憲法ですが、頼住先生は、この「和」の意味は現代人が思い浮かべる内容とは少し違うとおっしゃいます。ただ「上の人の顔色を見て、調和していきなさい」ということではまったくないというのです。では、本当の意味は……。

それぞれの内容については、ぜひ本講義でご覧ください。

頼住先生は、今後配信予定の各論講義で、大乗仏教の考え方の基本について、とてもわかりやすく教えてくださいます。ぜひ続く各論もお楽しみにご視聴ください。

(※アドレス再掲)
◆頼住光子:【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3631&referer=push_mm_rcm2

◆頼住光子:【入門】日本仏教の名僧・名著~聖徳太子編(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3767&referer=push_mm_rcm4


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☆今週のひと言メッセージ
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「論理やデータに勝る空気は、絶対的権限を持った妖怪のような存在だ」

https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=489&referer=push_mm_hitokoto

論理に勝るのは空気?知っておくべき日本の特殊性
成清雄一(TOTO株式会社 常勤監査役)

山本七平さんの『空気の研究』という有名な本があります。(中略)この山本さんの言は本当に面白くて、「論理やデータに勝る空気は、絶対的権限を持った妖怪のような存在だ」と言っています。優秀な人でさえも、あとで振り返ると「なぜあのように決めてしまったのだろう」と思うようことがある。ただ、これも山本さんいわく、日本には「抗空気罪」という罪があり、「これを犯すと軽くても村八分という刑に遭う」というのです。(笑)

私がこの本を読んで「そうか」と勝手にまとめたことですが、法治国家でなければ、日本は「空治国家」かな、と考えたわけです。


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今週の人気講義
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高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘(東京都立大学人文社会学部人文学科歴史学・考古学教室 教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2961&referer=push_mm_rank

「逆・タイムマシン経営論」は本質を見抜くための方法論
楠木建(一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3742&referer=push_mm_rank

なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大(一般社団法人アスリートソサエティ代表理事/元陸上選手)
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3758&referer=push_mm_rank

南北朝時代に『孟子』の思想が与えた歴史的影響力
兵藤裕己(学習院大学文学部教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3735&referer=push_mm_rank

なぜヒトだけが大繁栄した?その秘密は「三項関係の理解」
長谷川眞理子(総合研究大学院大学長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1212&referer=push_mm_rank


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編集後記
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編集部の加藤です。今回のメルマガ、いかがでしたか。

本日(12月1日)より新たな特集「これからの10年に求められる発想法・働き方」が始まりました。

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=104&referer=push_mm_edt

今週の人気講義にも入っていますが、柳川範之先生が元陸上選手である為末大氏との対談のなかで、「人生の節目節目で自分のキャリアを見直して、新しい能力を身につけることが求められるようになった」と語っています。
この話はビジネスの世界やスポーツの世界だけでなく、どんな世界であろうでも共通する問題意識ではないでしょうか。
平均寿命が80歳を越え、人生100年時代をいわれる現在、実際にこの先、どう考えて、どう動いていけばいいか。そのヒントを与えてくれる講義がそろっています。ぜひご視聴ください。