編集長が語る!講義の見どころ
なぜ失敗するのか、いかに立て直すのか…キリン復活劇の教訓/田村潤先生【テンミニッツTV】
2025/06/20
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
猛暑到来、いよいよますます、ビールが美味しい季節になってきました。
本日は、田村潤先生(元キリンビール代表取締役副社長)の講義を紹介します。田村潤先生がお書きになったベストセラー『キリンビール高知支店の奇跡』(講談社プラスα新書)をご存じの方も多いのではないでしょうか?
実は田村先生は、1995年に左遷されて高知支店長に赴任したのでした。折しも、アサヒビールの「スーパードライ」が市場を席巻していた時期。高知支店は、たいへんな苦戦に陥っていました。
しかし、そこから反撃を開始。高知で圧倒的なシェアを実現し、さらに四国地区、東海地区の営業責任者としても成功を収め、本社営業本部長を務めていた2009年に全国トップシェアの奪還を実現されたのです。
まさにスカッとする話ですが、もちろん話はそれだけに留まりません。田村先生の柔和なお話のなかから、現在の日本企業の苦境の真因、そしてそこからのリカバリーのヒントが溢れ出します。
もう一度、足元を見つめ、力強く立ち上がるために、まさに必見の講義です。
◆田村潤:営業の勝敗、キリンの教訓(全7話)
(1)やる気のない社員になる理由
なぜ「やる気のある社員」が日本では6%しかいないのか?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3861&referer=push_mm_rcm1
田村先生は、この講義第1話の冒頭で、全世界のビジネスパーソンを対象にした2017年の米ギャラップ社の調査で、日本において「やる気のある社員」の比率がたったの6%で、調査した国のなかで最下位クラスだったという衝撃的なデータを紹介されます。
かつては、「エコノミックアニマル」とまで恐れられていた日本人ですが、今や見る影もなし。なぜ、こんなことになってしまったのか。
このような状況を打開すべく、コーポレートガバナンス改革や働き方改革などが進められましたが、日本人の「やる気」は向上したでしょうか? 残念ながら、目に見える成果は出ていません。
田村先生は、キリンが凋落した原因と重ね合わせて、その理由を解き明かします。「キリンが危機に陥ったのは、キリンビールらしさを失ったから。日本が危機にあるのも、日本らしさを失ったからだ」というのです。
アサヒビールのスーパードライが出てくるまで、圧倒的なシェアを誇っていたキリンは、アサヒビールの快進撃を見て、自分たちの強さを見失います。そして、主力だったキリンラガービールの味を、アサヒビールの味に近づける経営判断を下します。
しかし、これが悲劇的な大失敗。古くからのファンは離れ、新たなファンも獲得できず、一気に窮地に追い込まれてしまうのです。
トップシェアから落ち目になった商品を振り向く人はいません。それまで、「左うちわ」的に経営していたこともあり、キリンは我を失って、みるみる転落していきました。
田村先生が、高知支店長になったのは、まさにそのタイミングでした。「このままでは、つぶれるかもしれない」。悩みに悩んだ田村先生は、「お客さまのために最高のビールづくりに挑戦していくのがキリンビールの伝統であり、理念だった。これを高知支店のメンバーで、もう一度つくろう。おいしいビールを提供して、高知の人に喜んでもらうのが自分たちの使命だ」と気づきます。
そこで、キリンの経営理念の「ほこり」を払い、本来の「理念」に基づく経営を進めていこうと考えます。そこから、反撃のドラマが切って落とされるのですが……。
しかし普通に考えると、現代の日本では「経営理念など、ひと昔前の古い手法」「ただのスローガン」「非合理的」と思われがちです。それはキリンビール高知支店の当時のメンバーも同じこと。そこを田村先生がいかに切り拓き、いかに驚くべき成果を上げていったのか。
その点について、田村先生は多くの事例を挙げて、とても具体的に教えてくださいます。
「自分のためには頑張れないが、誰かのためには頑張れる」
「精神論は不可。『理念が実現した状態』を具体的に定義せよ」
「お客さまのためを考えて、うまくいくまでやり続けると、知恵がどんどん出てきて百戦百勝になってしまう」
「実行する側に『自由』がないと、『行動する勇気』がわいてこない」
「ノウハウでは勝てない。大切なのはスタイル」
次々に語られる大切なポイントが印象深く、心に染み込んできます。
キリンビールの復活劇について学ぶことで、本当に大切なことが何かが腑に落ち、日本全体の復活のための貴重なヒントも得られる講義です。さらに敷衍(ふえん)すれば、「自分の人生」を立て直していくためのヒントに満ちているともいえます。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆田村潤:営業の勝敗、キリンの教訓(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3861&referer=push_mm_rcm2
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