編集長が語る!講義の見どころ
リーダーの「器量」を『重職心得箇条』で見極める/田口佳史先生【テンミニッツ・アカデミー】

2025/07/22

いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。

参議院選挙が終わりました。本日は、そこから垣間見えてくる「リーダーの器量」について古典から考える講義を紹介したいと思いますが、その前にご案内です。

サービス名を「テンミニッツ・アカデミー」に変更することについて、先日のメールでも報告いたしましたが、いよいよ来週7月29日(火)より、名称の変更と、まずスマートフォンのサイトデザインの改変を行ないます。

それに先立ちまして、今回からメールのタイトルも「テンミニッツ・アカデミー」へと変更させていただきました。下記のご案内に記しました思いと志を胸に、さらにいっそう頑張ってまいりたく存じますので、引き続きましてご愛顧賜りたく、何卒よろしくお願い申しあげます。

(サービス名変更のお報せ)
https://10mtv.jp/new_page.php?hash=u5nQjfcQmt

また、上記のご案内に詳細を付記いたしましたが、来週、7月29日(火)13時~16時予定にて、本件実施によるサービスメンテナンスを行ないます、メンテナンス中は、当サービスのすべての機能をご利用いただけません。ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解とご協力のほどよろしくお願い申しあげます。その後からは、スマートフォンの画面は一新される予定ですので、併せまして何卒よろしくお願い申しあげます。


さて、参議院選挙当日、20時からのテレビ各局やネットなどの選挙特番をご覧になった方も多いのではないでしょうか。

もちろん、そのような場では各政党の党首や幹部が短時間のインタビューに応じていきます。勝った党も敗けた党も、いずれの政治家も疲労困憊のなかではありましょうが、その映像の一瞬の表情などからも人間性がにじみ出てしまうのが、まことに怖ろしいところではあります。

「負けに不思議の負けなし」という名言がありますが、敗けるリーダーには、やはり相応の理由があるものです。

では逆に、リーダーの「器量」として大切なことはいかなるものなのか。それを見ていくと、選挙の振り返りにも、おのずと幅と教訓が出てくるものです。

本日は、田口佳史先生(東洋思想研究家)が江戸儒学の精華ともいうべき佐藤一斎の「重職心得箇条」を読み解いてくださった講義を紹介します。

佐藤一斎は、安永元年(1772年)に江戸の岩村藩邸で、佐藤家の次男として生まれます。佐藤家は岩村藩(現在の岐阜県恵那市岩村町)の家老を務める家柄でした。文化2年(1805年)に昌平坂学問所の塾長に、天保12年(1841年)には儒官(総長)となり、多くの門弟を指導します。

その弟子には山田方谷、佐久間象山、横井小楠、渡辺崋山、安積艮斎、中村正直、大橋訥菴ら、錚々たる名が並びます。西郷隆盛はじめ、多くの幕末人が座右の書としていたことも有名でしょう。

佐藤一斎は安政6年(1859年)に87歳で亡くなりますが、まさに田口先生もおっしゃるように、「明治維新の志士を育てるために生まれてきたような人物」でした。

佐藤一斎がどのような人物であったかは、田口先生が今回の講義の第1話、第2話でわかりやすく説いてくださっていますので、ぜひご覧ください。

その佐藤一斎が、文政9年(1826年)に岩村藩主となった松平乗美(のりよし)を支える重臣のための「心得」として執筆したものが、本日紹介する「重臣心得箇条」です。

聖徳太子の憲法十七条をリスペクトして、17条で簡潔に指針を示していますが、非常に具体的かつ示唆に富む内容です。

田口先生は、その「重職心得箇条」を、現代的な見地も交えながら、とても生き生きと解説してくださいます。まさに目からウロコの講義です。

◆田口佳史先生:重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(全15話)
(1)時代に請われ、時代に応えた佐藤一斎
部下を育てるには、まず佐藤一斎に学べ!
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1235&referer=push_mm_rcm1

さて、この講義の全体像はいかなるもkのか。まず、講座全体の各話のタイトルを紹介いたしましょう。田口先生が驚くほど具体的に読み解いてくださいますので、まさにいずれの回もヒントが満載です。

(1)時代に請われ、時代に応えた佐藤一斎
  ――部下を育てるには、まず佐藤一斎に学べ!

(2)一途と覚悟で道を究める
  ――自己鍛錬を目指す人に知ってほしい数々の名言

(3)覚悟と対応力
  ――「重職」とは「とんでもないこと担当」のこと?!

(4)重みの要
  ――「威厳がない上司」のもたらす害は「老害」どころじゃない

(5)大臣の心得
  ――「死ぬ気で考えろ!」と言ってくるオニ上司のありがたさ

(6)部下を使う要点
  ――部下にノリノリで仕事をさせる、一斎流リーダーシップ

(7)守るべきもの・変えるべきもの
  ――守るべき核があれば、臨機応変に変わってもいける

(8)リーダーの条件は「機」を読む想像力
  ――「秒に生きて思考する人」こそがリーダーの定義だ!

(9)常日頃の心得がリーダーをつくる
  ――優れたリーダーは、森と木、両方を見る「活眼」を持つ

(10)職責と職権の関係を心得よ
  ――リーダーたるもの「忙しい、忙しい」は恥ずべき禁句

(11)日々の送り方がリーダーをつくる
  ――「人を容るゝ気象」と「物を蓄る器量」が誠の大臣の体

(12)「虚懐転化」と「抑揚之勢」
  ――政治でも経営でも、大切なのは「ドライブ」感覚?

(13)「実政」と「虚政」
  ――シンプルな手順こそ、仕事の加速力を倍加する

(14)社風と秘密
  ――トップの顔色と会社の雰囲気は、社風を測るバロメーター

(15)現代の経営管理にも通じる教え
  ――「17条の経営憲法」を実践し、重職の責務を全うせよ!

たとえば、講座の第6話では「部下を使う要点」が語られますが、その箇所の佐藤一斎の原文は以下のようなものです(第2条の一部分です)。

《もし有司の了簡より一層能き了簡有りとも、さして害なき事は、有司の議を用ひるにしかず。有司を引立て、気乗り能き様に駆使する事、要務にて候》

この文章を、田口先生は以下のように読み解かれます。

《目の前の案件に対する腹案が自分にあっても、部下に「君たちはどうだい」と聞いてみる。自分の案よりは多少落ちるとはいえ、部下が考えてきたものを採用して実施しても、そう大した害や差はないと考えられる場合は、自分の考えは引っ込め、部下の意見を「A君、君の考えはなかなかいいじゃないか」と取り入れる。

もし、「こんな意見やアイデアしか出せないなんて、君たちは駄目だな。私はこう考えてきたよ。このぐらいの考えは持たなければ駄目じゃないか」という具合に解決したら、部下は表面は「ははーっ」となりますが、心の中では「なんてつまらない上司だろう」と思いかねない。

部下を引き立てて、気乗りよくさせてやる。気乗りがいいかどうかは、その仕事に対する士気に関わる。ファイト満々、「大いにやります!」というのと、渋々やるというのでは、結果にも響きます》

以上のように田口先生にご解説いただくと、人間心理の機微と物事の核心をついた佐藤一斎の名言が、心にスッと染み渡っていきます。

東洋思想に立脚し、日本人の性情にも合致した佐藤一斎の教えは、われわれの心の深くに響きます。わが身を省みたり、日本のリーダーたちの真贋について考えるのに、これほど最適な講座はありません。

この講義を学びながら、プラス面とマイナス面でそれぞれ脳裏に浮かんでくるリーダーはどのような人物でしょうか? そのような振り返りも意義深いもの。まさに必見です。


(※アドレス再掲)
◆サービス名変更のご案内
https://10mtv.jp/new_page.php?hash=u5nQjfcQmt

◆田口佳史先生:重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1235&referer=push_mm_rcm2