編集長が語る!講義の見どころ
夏の終わりの哲学特集【テンミニッツ・アカデミー】

2025/08/19

いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。

早くも、8月の後半です。気づけば、日がだんだんと短くなってきてもいます。まだまだ猛暑は続きますが、「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」という歌がしみじみと思い起こされる頃でもあります。

夏の終わりには、なぜか、そこはかとない寂しさを覚えます。どことなく、祭や花火が終わったあとにも似た感覚かもしれません。

秋から冬への寂しさとも、また少し違った気分のこのような季節に、今回、「夏の終わりの哲学特集」としてピックアップした哲学者たちについての講義を学んでみてはいかがでしょうか。心が沸き立つものが見つかるかもしれません。


■特集:夏の終わりの哲学特集

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=269&referer=push_mm_feat

貫成人:ニーチェ:超人、ニヒリズム…善悪は弱者の嫉妬心にすぎない

橋爪大三郎:マルクスを理解するための4つの重要ポイント

柿埜真吾:リバタリアニズムとは何か…個人的自由も経済的自由も

川出良枝:ルソーが宣言した、新しく国家をつくる際の二重の課題とは

納富信留:プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品


■講義のみどころ:特集から「3つの講義」をピックアップして紹介します


【ニーチェが説く「ニヒリズム」とは?】

◆貫成人:西洋哲学史の10人~哲学入門(全10話)
(10)ニーチェ 超人
ニーチェ:超人、ニヒリズム…善悪は弱者の嫉妬心にすぎない
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2214&referer=push_mm_rcm1

まず紹介するのは、10人の哲学者をとても簡明にご解説いただいた貫成人先生の講義から「ニーチェ」についてお話しいただいた講義です。

ニーチェといえば「超人」「ニヒリズム」という言葉を、授業で学んだ方も多いことでしょう。

貫先生は、ニーチェの思想の中心は「ニヒリズム」だと指摘します。ただし、普通の人々が考える「もう何をやったら良いのか分からないというような、無気力とも通じる少し後ろ向きなメンタリティの『ニヒリズム』」とは全く異なるのだというのです。

では、ニーチェのとく「強いニヒリズム」とはいかなるものなのか。

それについての貫先生のご説明は、まことに明解です。本講義は哲学史の「入門編」としても最適ですので、ぜひ他の哲学者の回もご覧ください。


【自分の「付加価値」を高めていく方法とは?】

◆橋爪大三郎:マルクス入門と資本主義の未来(全10話)
(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3816&referer=push_mm_rcm2

一昔前、マルクス主義を知っていることが「常識」だった時代がありました。ソ連の崩壊なども経て、そのような気分も大いに減衰しましたが、しかし、マルクス主義がいまなお多くの刺激を与えてくれることも確かです。

いまあらためてマルクスの哲学に向き合うと何が見えてくるのか。

橋爪大三郎先生は、マルクス主義をとてもわかりやすくご解説くださりつつ、特に後半の「質疑編」では、そのマルクスの哲学が照射する現代の課題について、とても刺激的な議論を展開されます。

橋爪先生のマルクス主義についての整理はとてもわかりやすいので、ここでしっかりと理解の基盤をつくってから第7話からの質疑編を見ると、自分の頭で考えるための大きなヒントをいくつもいただくことができること、うけあいです。もちろん、マルクス主義についてかつて学んだ方は、場合によっては、質疑編にいきなり飛んでもいいかもしれません。

たとえば第8話では「付加価値を高める方法は何か」について論じていきます。橋爪先生は、次のようにおっしゃいます。

《価値の本質は『資本論』の記述からはなかなか理解できません。『資本論』の世界では生活必需物資を生産していて、需要と供給は一定と仮定しています。しかし、近代経済学の世界では、需要と供給は変化します。需要の背景にあるのは、ある商品を欲しいと思う度合いを表す効用関数です。人々が何を欲しているのか事前に分からないという事実が、経済における非常に重要な点です》

ここは、マルクス主義の弱点のような部分から、逆に大きな気づきが得られる部分ですが、はたしてその「心」とは?

また橋爪先生は第10話で、《社会主義や共産主義の基本は善意なのですが、善意なのに失敗するという点が問題なのです》とも説きます。その意味はどのようなことなのでしょうか。

マルクスを学ぶことを通して、現代に生きる自分が直面している諸問題をあらためて深く考えることができる講義です。


【あらためて現代的な「自由」を考えてみると?】

◆柿埜真吾:日本人が知らない自由主義の歴史~後編(全13話)
(5)「リバタリアニズム」の登場
リバタリアニズムとは何か…個人的自由も経済的自由も
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5000&referer=push_mm_rcm3

最近、「リバタリアン」という言葉を、色々な場面で聞くようになりました。もちろん、以前から使われている言葉ですが、日本人にはあまり耳慣れないものでもありました。しかし、たとえばトランプ政権の動きを考えるうえでは、リバタリアンの思想がわかっていないと十分に理解できないところもあります。

柿埜真吾先生の《日本人が知らない自由主義の歴史》講義は、古典的な自由主義の解説からはじまり、リバタリアニズムも含め、現代理解のために必須の諸々の自由主義論についても非常にわかりやすく整理して解説していきます。

たとえばリバタリアンについては、「ノーラン・チャート」を示しながらお話しくださいますので、重点となる論点がとてもよく見えてきます。

そして、現代における様々な自由主義論について学んでいくと、やはり古典的自由主義についての理解を深めることが必須であることが痛感されます。そう感じた場合には、本講義の「前編」を見ていくと、とてもわかりやすく必須知識を整理できます。

日本社会を見ていく場合、意外と「自由への深い視点」が欠落してしまうことが多いようにも思われます。政治がバラマキ合戦の様相を呈してしまいやすいのも、そのせいかもしれません。「自由」という軸を学んでいくことで、いままで見えてこなかった景色に気づけるのではないでしょうか。


(※アドレス再掲)
■特集:夏の終わりの哲学特集
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=269&referer=push_mm_feat


----------------------------------------
今週の人気講義
----------------------------------------

経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮(東京大学東洋文化研究所教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5885&referer=push_mm_rank

百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
門田隆将(作家 ジャーナリスト)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5907&referer=push_mm_rank

「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5888&referer=push_mm_rank

健診結果はあなたの大切な歴史、活用して健康寿命を延ばす
野口緑(大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学 特任准教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5870&referer=push_mm_rank

惑星、衛星探査への宇宙の旅…困難をいかに克服したのか?
川口淳一郎(宇宙工学者 工学博士)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5874&referer=push_mm_rank