編集長が語る!講義の見どころ
生誕250年!ベートーヴェンの凄さとは?/野本由紀夫先生(テンミニッツTVメルマガ)

2020/12/15

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上達史です。
今年はベートーヴェン生誕250年ですが、実はベートーヴェンの誕生日は12月16日頃といわれます。まさに「記念年」の「記念日」ということになります。

また、日本の年末の風物詩といえばベートーヴェンの第九(交響曲第9番)です。残念ながら今年はコロナの影響で、例年よりも第九の演奏会は少ないようですが、それでもなお、何とかコンサートを実現しようと努力されている方々が数多くいらっしゃいます。この曲にかける日本人の想いの深さがわかります。

はたして、ベートーヴェンがその後の音楽に与えた影響はどのようなものだったのか。また、ベートーヴェンが曲に込めたメッセージとはどのようなものだったのか。

本日はその観点から、野本由紀夫先生(玉川大学芸術学部芸術教育学科教授)がピアノを弾きながら教えてくださった講義をご紹介します。本講義シリーズは、このメルマガで8月にも紹介いたしましたが、1700年代に活躍したヴィヴァルディから1900年代初頭に活躍したマーラーまでを、わかりやすく解説してくださったもの。野本先生が奏でてくださる音楽を聴きながら音楽の形式論や意味なども学べる、まさに、動画のメリットを最大限に活かした絶品です。

◆野本由紀夫:ピアノでたどる西洋音楽史(全11話)
(5)「芸術家」ベートーヴェンの凄さ
音楽家を「職人」から「芸術家」に劇的に変えた楽聖
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3052&referer=push_mm_rcm1

なお、第1話から学びたい方は、以下の講義アドレスにアクセスしてください。

◆野本由紀夫:ピアノでたどる西洋音楽史(全11話)
(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3022&referer=push_mm_rcm3

野本先生は「ベートーヴェンは音楽史上、最大の人といっても過言ではない存在。もちろん音楽もすばらしいが、いろいろな点ですばらしく画期的だった」とおっしゃいます。

たとえば、野本先生はベートーヴェンの交響曲第5番(「運命」という名称で知られています)と交響曲第6番(こちらは「田園」という名称で知られています)の2つから、音楽の性格が「絶対音楽」と「標題音楽」に大きく枝分かれしていったことを教えてくださいます。

交響曲第5番「運命」の凄さについて、野本先生は「『大根1本あれば、フレンチのフルコースがつくれます』といっているようなもの」と表現されます。それがどのような意味かは、本講義でのピアノ演奏とともに学んでいただければ、たちまちおわかりいただけることでしょう。

一方、交響曲第6番「田園」のほうは、田園に到着したときの心の動きから始まり、さまざまな風景描写とともに心の動きを「音にしていく」曲です。このように、情景や心情を描写していく音楽を「標題音楽」といいますが、この流れを受け継いだベルリオーズやワーグナーが、「このメロディーは、これ(人物や出来事)を意味する」ことにする手法を編み出していきます(ライトモティーフ)。野本先生は、「『スターウォーズ』の場合、あの曲(帝国のマーチ)が鳴るとダースベイダーだとわかりますね」と説明くださいますが、ベルリオーズやワーグナーが編み出した手法が、まさに現代の映画音楽にも脈々と息づいているのです。

さらに「第九」に込められた深く感動的なメッセージから、作曲にまつわるちょっとした裏話までを、野本先生はご紹介くださいます。実は第九の演奏頻度は、日本が世界で圧倒的な1番といわれます。日本人としてはぜひとも知っておくべきお話といえましょう。

とにかく、質問に応えて、すぐに次々とピアノで音楽を表現し教えてくださる野本先生の講義のわかりやすさは圧倒的です。引き込まれ、耳を傾けていくうちに、クラシック音楽の「手法や考え方」を理解することができます。この講義を視聴すると、音楽を聴く喜びがグッと増すことうけあいです。ぜひご覧ください。

(※アドレス再掲)
◆野本由紀夫:(5)「芸術家」ベートーヴェンの凄さ
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3052&referer=push_mm_rcm2

◆野本由紀夫:ピアノでたどる西洋音楽史(第1話)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3022&referer=push_mm_rcm4


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☆今週のひと言メッセージ
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「人生二毛作でいきましょう」

https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1730&referer=push_mm_hitokoto

80歳でも働ける!新しいセカンドライフの働き方
秋山弘子(東京大学名誉教授)

今は人生100年の時代です。そこで私は「同じ仕事を70年続けるなんて、そんな退屈なことをしないで、ここでリセットして、今までまったくやったことがないことをやってみませんか。人生二毛作でいきましょう」と提案します。
そうすると、割とその気になってくださって、農業や教育といった、今までまったくやったことがないものにチャレンジされる方が非常に多いのです。


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今週の人気講義
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2700年前の詩人ホメロスが時代を超えて感動を与え続ける理由
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3564&referer=push_mm_rank

「五族協和」に命を懸けた小澤俊夫・征爾・幹雄兄弟の父
小澤俊夫(小澤昔ばなし研究所所長/筑波大学名誉教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3606&referer=push_mm_rank

楠木正成や菅原道真の末路から分かる、根付かない能力主義
兵藤裕己(学習院大学文学部教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3757&referer=push_mm_rank

東洋的指導法と西洋的指導法にはどんな違いがあるのか
為末大(一般社団法人アスリートソサエティ代表理事/元陸上選手)
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3761&referer=push_mm_rank

世の中で一番知られていない「ビジョンの真実」とは何か
佐宗邦威(戦略デザインファームBIOTOPE 代表)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3770&referer=push_mm_rank


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編集後記
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編集部の加藤です。今回のメルマガ、いかがでしたか。

さて、以前にもここでご紹介した本村凌二先生(東京大学名誉教授)の新著『独裁の世界史』(NHK出版、11月10日発刊)ですが、非常に好評のようです。
12月7日発売の「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)でも『独裁の世界史』の書評が掲載されました。評者は佐藤優さん(作家・元外務省主任分析官)です。
佐藤優さんは書評のなかで本村先生の言葉を取り上げておりましたので、その一部をご紹介いたします。

「世界史の知恵が、どれだけ現代に生かされているか。非常事態であっても歴史を振り返る知性を持ちたいものです」

かつてビスマルクは“賢者は歴史に学ぶ”という話をしたそうですが、本村先生の新著を読んで感じたのは、コロナ禍に見舞われた今年ほど「歴史に学ぶ」ことの意味を痛感する年はないかもしれないということです。
ぜひ現在、配信中の「独裁の世界史」シリーズと合わせてお読みいただければと思います。

<今回ご紹介した本村先生の新著『独裁の世界史』はこちら>
https://www.amazon.co.jp/dp/4140886382/

<「独裁の世界史」シリーズはこちらから始まります>
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3235&referer=push_mm_edt