編集長が語る!講義の見どころ
死の講義…各々の宗教は「死」をどのように考えているのか/橋爪大三郎先生【テンミニッツ・アカデミー】

2025/09/23

いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。

本日は、秋分の日。お彼岸の中日でもあります。太陽が真東から出て真西に沈む秋分の日と春分の日は、古来「この世とあの世が最も近くなり、思いが通じやすい日」と考えられ。ご先祖を供養する大切な折とされてきました。お墓参りなどに足を運ばれる方も多いのではないでしょうか。

このような日は、人間は「死」をどのように考えてきたのかを真正面から考えてみるにも、とてもよい機会ではないでしょうか。橋爪大三郎先生(社会学者/東京工業大学名誉教授)の「死と宗教」についての講座を紹介いたします。

「死の講義」というタイトルは穏やかではありませんが、この講座は、キリスト教、インド仏教、さらに日本仏教が、「死」についてどのような考え方をしてきたのかを、わかりやすく分析することで、「死」を多面的に捉え、さらに各宗教の特色や世界観も明確に浮かび上がってくる出色の内容です。

橋爪先生らしい、簡明かつ的確な分析が冴え渡ります。必ずや、自分の心のなかに、明確な「座標軸」が屹立すること間違いなしです。

◆橋爪大三郎:死と宗教~教養としての「死の講義」(全7話)
(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4440&referer=push_mm_rcm1

まず第1話で橋爪先生は、「そもそも死とは何か」「なぜ死を科学で考えられないか」「死を考える意味はどこにあるか」などについてお話しくださいます。

たとえば、根強い人気(?)がある「臨死体験」について、橋爪先生が次のように一刀両断するのは、小気味よくさえあります。

《臨死体験とは、結局死ななかった話です。死の一歩手前、いや百歩手前で、生きている人間の幻です。死ぬことと、ほぼ関係ありません》

いわれてみれば、まったくそのとおりです。

さて、第2話からは、キリスト教、インド仏教、日本の浄土宗(浄土真宗)、禅宗、日蓮宗(法華宗)の死生観を見ていきます。

キリスト教でいえば、本当は死んですぐに天国に行くとか、地獄に行くということはないといいます。創造主である神によって造られた人間は、死んだらバラバラになり、霊魂も凍結状態のようになって「神様預かり」になる。そして、最後の審判のときに復活して、神の国に行くか、永遠の炎で焼かれるかのどちらかになる。つまり、あたかも全身麻酔のように、死んだ後に目が覚めると最後の審判に臨むことになるというのです。

また、本来的にいえば、死ぬのも生きるのも神の意志なので、自殺や延命治療などは許されないということになります。

とはいえ、キリスト教文明圏の文芸作品や芸術作品(あるいは映画など)でも、死んで昇天するようなイメージが数多く描かれます。また、カトリックとプロテスタントでも、死後の世界に関する考え方には違いがあるといいます。それがどのようなことかは、ぜひ講座本編でご覧ください。

インド仏教でいえば、その根本は「真理(=世界を貫いている法則)を覚る」ことです。そして世界を貫く法則とは、因果法則です。この因果関係には始まりも終わりもない。生命も連鎖のようにつながっている。生命は、生命でないものになったり、また生命になったりする(輪廻)。

しかも、バラモン教の場合は、覚った立派なバラモンは天人になると考えられましたが、仏教では、覚った釈尊は、バラモン以上の本当の真理を覚ったので、輪廻の法則の外に出て、雲散霧消して宇宙と合体すると考えられたといいます。釈迦自身はどこにもいなくなったが、釈迦の見つけた因果の法則は、この宇宙に永遠に満ち満ちている……。

そこから、仏教の考えも多様に分岐していきます。それでは日本仏教の死生観とはどのようなものか。

浄土宗(浄土真宗)は、阿弥陀仏が「困った衆生をみんな救おう」と約束したので、誰でも、南無阿弥陀仏と念仏すれば、確実に「極楽浄土」に行けると考える。実は、極楽浄土は、覚るための「予備校」のようなところなのだといいます。ここでは至れり尽くせりで、誰でも1発で合格して仏になれるのです。

このような考え方が、独特の現世観と人間観を生み出し、ある種の仏教共和国的な考え方も生れてきます。

禅宗の場合は、「坐禅をしている、そのときに、あなたはもう仏だ」と考える。坐禅をしていると、自分のなかの仏性に気づきます。しかし、しばらくすると元の木阿弥になってしまう。だからまた坐禅をする。人間はその繰り返しだというのです。

日蓮宗(法華宗)では、「出家をしなくても、在家のまま、法華経の精神でビジネスに励めば、これが世の中の役に立つ。それが修行なのだ」と考える。死んでも、また菩薩としての修行を始めるだけだから、死を怖れることはない。そういう感覚だといいます。

それぞれについての橋爪先生の明快な解説を聞いていくうちに、どのような死生観が日本に根づいているのか、よく理解できるようになってきます。

さらに、三途の川や奪衣婆などの考え方も日本では人口に膾炙していますが、実はこれらは日本でつくられた偽経に書かれたことだといいます。はたして、それにはどのようは背景があったのか……。

このように、まとめているのも迂遠に思えるほど、目からウロコの話が続出する講座です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆橋爪大三郎:死と宗教~教養としての「死の講義」(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4440&referer=push_mm_rcm2


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