編集長が語る!講義の見どころ
(今を知る)人生を豊かにする歴史の探り方/中村彰彦先生ほか【テンミニッツ・アカデミー】
2025/11/25
いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。
読書の秋に、歴史を訪ねるのはいかがでしょうか? いうまでもないことですが、自分自身の人生を生きられるのは1度きりです。しかし、歴史を探っていけば、何通りもの人生を追体験することができます。そしてそこから無尽蔵のヒントを得ることもできます。
歴史を訪ねることの醍醐味は、そのようなことを通じて「人生を深め、広げてくれる」喜びにもあるのでしょう。
歴史を探って「新しい切り口や景色に出会う」とは、どのようなことか。また、歴史から「何かを見つける」とはどういうことか。そのようなヒント満載の講義をピックアップしました。
■特集:歴史を探る、歴史を活かす
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=275&referer=push_mm_feat
◆中村彰彦:日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
◆小和田哲夫:織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
◆関幸彦:平安時代の構造と特徴は?激動と転換の400年が持つ意味
◆山内昌之:現代人の歴史解釈の基本は「ふりかえれば未来」
◆山下万喜:なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
◆柿沼陽平:『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
◆高尾善希:「忍者」は戦後の呼び方…海外の忍者ブームと史実の差は?
■講義のみどころ:歴史を訪ねれば、幾通りもの人生とつきあうことができる(中村彰彦先生)
本日は特集から、中村彰彦先生(作家)に、まさに実践的な「歴史の探り方」「歴史の活かし方」を教えていただいた講義を紹介します。
紹介するまでもありませんが、中村先生は深く史料を読み抜いていくことで、数々の歴史小説の名作を生み出してこられました。
東北大学在学中に『風船ガムの海』で第34回文學界新人賞、佳作入選。その後、文藝春秋に入社して編集者となられますが、1987年に『明治新選組』で第10回エンタテインメント小説大賞を受賞され、1991年より、執筆活動に専念。1994年、『二つの山河』で第111回(1994年上半期)直木賞。それから、2005年に『落花は枝に還らずとも』で第24回新田次郎文学賞を受賞されています。
その中村先生が教えてくださる具体的かつ基本的な「歴史探索のノウハウ」とは? そして実際にご自身で史料を読み抜くなかから生まれた「歴史発見の喜び」とは?
実践的な方法論と発想法をご開陳いただいた、とても興味深い講義です。
◆中村彰彦先生:歴史の探り方、活かし方(全7話)
(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5999&referer=push_mm_rcm1
まず中村先生は、「歴史小説」と「時代小説」の違いについてお話しくださいます。象徴的におっしゃるのは《時代小説は「猿飛佐助が空を飛んでもいい」》。つまり、歴史に題材を採りつつ、必ずしも史実や現実どおりではなく、かなり自由に発想を飛ばしていく読み物です。
一方、「歴史小説」については、次のように指摘されます。
《歴史文学は人間の生き方、特に苦しかった人間の生き方を、紙の上で看取ってあげたいというような思いから書かれていくものです。そのため、きちんと史料を集めて読み抜くという事前作業が必要になります》
「苦しかった人間の生き方を、紙の上で看取ってあげたい」という言葉が、とても胸に響きます。
このような歴史小説を書くにあたり、中村先生は「史料を集めて読み、メモをし終えたところで、頭の中で7~8割はできているような形になります」とおっしゃいます。
その点、日本は「文書史料の宝庫」です。その理由は、日本人が世界水準と比べると圧倒的に昔から識字率が高かったこと。さらに和紙と墨の文化であったことが大きな要因です。
たとえば、ヨーロッパのように羊皮紙にインクで書いていく場合、下手をするとインクが色あせてしまいがちでした。しかし墨と紙だと、しっかりと残るのです。
さらに日本の場合は、「歴史をきちんと残していこう」という意識もきわめて高くあります。どの地方、地域でも、郷土の記録・歴史を残すべく「郷土史」や「市町村史」をまとめる営みが行なわれていますし、様々な企業や団体も歴史をまとめる「社史」のようなものをまとめていきます。
そのようなものを探っていくと、まさに「宝」に出会うこともできるというわけですが、では、どのように史料を探していけばいいのか。
ここで中村先生が指摘するのが、「基本文献」から当たること、そして「近くの図書館」を最大限活用することです。
基本文献から当たるのは、まず「良い史料」と「信が置けぬ史料」を見極めるためです。世の中には「陰謀論」的な本も、「歴史のトンデモ解釈」的な本も数多くあり、そのようなものに影響されてしまっては元も子もありません。
また、近所の図書館であっても、たとえばリファレンスのしくみをつかうと、全国の図書館とのネットワークが築かれているので、とても便利なのだといいます。
では、どのようなものが「基本文献」なのか。具体的に、図書館をどのように使えばいいのか。それらについては、ぜひ講義本編をご覧ください。
さらに、そのような史料を実際にどのように用いていくのかについて、2つの事例でお話しくださいます。一つは、「なぜ豊臣秀吉は、豊臣秀次を粛正したのか」。もう一つは、「江戸時代の藩校の全国ランキングとは?」。
ここも、「歴史作家の発想法」や「歴史作家の舞台裏」を垣間見ることができる、とても興味深いお話しです。
中村先生は、歴史を訪ねることの意味について、次のようにおっしゃいます。
《人間というのは1回限りの人生しか生きられないわけですが、小説あるいはノンフィクションの主人公として、ある1人の人生を追いかけていくことを100回繰り返すと、100通りの人生と付き合うことができます。
そうすると、複眼的な視野が得られる。視野が狭まったままである状況に行くと、切羽詰まってしまってどうにもならなくなり、このきついところをどうすればクリアできるかと苦しむことが人生にはあると思います。
しかし、この苦しさは、あの状況における誰それも経験したはずで、その人は自分の強い意思によって見事に克服して、新しいステージに入っていくことができた。だから、そのようなことであまりメソメソしないで、もう少し頑張ってみようというように、歴史の例を参考にして自分のことを立て直すことが、まれにですがあり得るということです》
多くのヒントと勇気をもらえる講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
■特集:歴史を探る、歴史を活かす
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=275&referer=push_mm_feat
◆中村彰彦:歴史の探り方、活かし方(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5999&referer=push_mm_rcm2
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