編集長が語る!講義の見どころ
新年を迎えるにあたり「日本文化の根源」を学ぼう(テンミニッツTVメルマガ)

2020/12/29

いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
いよいよ新しい年を迎えます。やはり新年を迎えるにあたって大掃除をしたり、寺社仏閣にお参りしたりするのは、とても大切な伝統です。今年はコロナ禍もあって、「初詣」なども分散するようにといわれておりますので、直近での参拝は叶わぬかもしれませんが、しかしそれでもぜひ、年の初めに決意を新たにし、日本の文化に思いを馳せたいものです。

本日は、年末年始にあらためて日本の文化伝統について学べる田口佳史先生(東洋思想研究者)の講義を紹介いたします。10月初旬にこのメルマガで紹介した田口先生の「日本の特性とは何か~『日本的』の本質」の続編となる講義ですが、今回はより日本文化の根源に迫った内容です。

◆田口佳史:日本文化を学び直す(全11話)
(1)忘れてはいけない縄文文化
日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3616&referer=push_mm_rcm1

日本文化といえば、すぐに出てくるのが「わび・さび」文化ですが、もう一つ、日本を語る場合に、忘れてならないものがあると田口先生は指摘されます。それが縄文文化です。

日本の文化の深いところにはありありと縄文のエネルギーというものがある。めったに見えていないけれども、いってみれば、何かのときにグッと浮いてくる。あらわになった瞬間には非常に大きなものを感じさせる。そう田口先生はおっしゃいます。

縄文土器の縄目の文様(ヘビ、渦巻き)が象徴しているのは、子孫繁栄であり、永遠性である。大木がドサッと倒れて一生を終えるとしても、そこからまた芽が生えて後継ぎが出てくる。そのもの自体の終焉はあるけれども、魂としては永遠性を誇っている。そういう生存性、生存能力の絶対性を表すような、エネルギッシュで非常にダイナミックな部分がある。田口先生はそのように縄文文化を解説されます。

日本の古代は、照葉樹林帯に代表されるように、非常に明るいものがあります。その明るさの基本は、食料や水などをはじめとする自然の「豊富な恵み」。楽園というものがもしあれば、こういうことをいうのではないかというような記述が、アイヌの記述の中にもたくさん出てきます。恵まれた自然環境に立脚した健全な明るい生存力が、日本のベースを形づくっているのです。

また日本人は、自然の人知を超えた力を「神」と呼び、自然と一体化し、人知を超えた神なる存在とその力を駆使することを重要視してきました。そういう感覚が日本のベースにあったからこそ、仏教や老荘思想、禅などの外来思想も高度に発展していったのだと田口先生はおっしゃいます。

本居宣長は外来思想を「漢意(からごころ)」と呼び、漢意の入る前の日本のあり方を記したものとして『古事記』を重んじました。『古事記』の冒頭に現れる神々(高御産巣日神=たかみむすびのかみ、神産巣日神=かみむすびのかみ)の名に記された「産巣日(むすび)」という言葉がとても重要です。「産霊」とも書きますが、つまり創造し、産み出すエネルギーが日本の中心をなす神だとされているのです。

田口先生は、日本人は稲作についても、田の神、生産の神との「共作」だと考え、だからこそ神と「共作」すべき場をきれいにするよう心掛けたので、日本の田んぼはこんなに美しいのだと強調されます。これは、日本人の仕事観を考えるうえでも、とても重要なことでしょう。

さらに田口先生は、『古事記』冒頭の「葦牙(あしかび)の如く萌えあがるものによりて成りませる神の名は……」という言葉にも注目されます。

《「葦牙の」というのは萌え立つ、つまり芽がバッと出てきているところです。長い冬が終わって、「春だなぁ、ちょうどこれから」ということで、雪に閉ざされた田んぼへ行くと、だいぶ雪も解けて地面が現れてきている。よく見ると、いろんな芽がパッと吹き出ている。まさに日本の生存力、エネルギーというものがそうした地面からいっせいに起き上がってくる。そのことを「萌えあがる」といい、つまり、日本という国土自体がエネルギーの塊なのだということを表しているのです》

このような感覚は、日本文化を深く理解するために、ぜひとも知っておくべきことでしょう。田口先生は、縄文から続く日本文化の基調を、とてもわかりやすくご解説くださいます。

さらに、田口先生は本講義で、「世阿弥の中の縄文性」「本居宣長が『古事記伝』で伝えた神道の極意」「外来文化と共存することで強化された神道」「天皇とはどういう存在か」などについても、明快に説かれます。たとえば、日本に神道から、仏教、儒教、老荘思想などさまざまな思想が「たまり文化」のように蓄積したのも天皇がいらっしゃればこそであり、また、「神さながらに生きている人間を出して、見せてよ」と思うときに登場するのが天皇だと……。

それぞれがどのようなお話かは、ぜひ講義をご覧ください。日本文化の本質について深く考えることができる珠玉の講義です。

(※アドレス再掲)
◆田口佳史:日本文化を学び直す(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3616&referer=push_mm_rcm2


----------------------------------------
☆今週のひと言メッセージ
----------------------------------------

「レジリエンスが強いと、幸せな状態に戻ってくることができる」

https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3530&referer=push_mm_hitokoto

多様な友人を持っていると「レジリエンス」は強くなる
前野隆司(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授)

私の調査の結果、レジリエンスの強さと幸福度は比例しています。レジリエンスが強いと、幸せな状態に戻ってくることができるということです。対して、心が折れてしまえば、不幸な状態から抜け出すことは容易ではありません。レジリエンスの幸せへの影響は、多様な知り合いがいることで、いざというときに助け合えることにあります。ですので、苦手な人との交際を断つのではなく、弱いつながりでもいいので維持するといいでしょう。


----------------------------------------
今週の人気講義
----------------------------------------

コロナ発生から半年以上、良いニュースと悪いニュースとは
伊藤元重(東京大学名誉教授/学習院大学国際社会科学部教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3781&referer=push_mm_rank

『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己(学習院大学文学部教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3732&referer=push_mm_rank

コロナ禍で問われているのは「自由」という難しいテーマ
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3783&referer=push_mm_rank

モンテスキューとルソーには共通の敵がいた
川出良枝(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3620&referer=push_mm_rank

日本の「定年制」はガラパゴス的で不幸を招く悪しき慣行だ
出口治明(立命館アジア太平洋大学<APU>学長/学校法人立命館副総長・理事)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3520&referer=push_mm_rank


----------------------------------------
編集後記
----------------------------------------

編集部の加藤です。今年最後のメルマガ、いかがでしたか。
コロナ禍に見舞われた2020年でしたが、そのようななか、数多くの方々にテンミニッツTVをご視聴いただき、大変有難く存じます。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
今年一年、メルマガを通じて、いろいろな講義、メッセージ、エピソードなどをお伝えしてきましたが、皆さまの学びの一助となれたのであれば幸いでございます。
来年も現在の強力な講師陣に加え、新たな講師をお迎えして、これまで以上にパワーアップしてお届けしてまいります。今後とも変わらぬご愛顧を頂きますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

それでは良いお年をお迎えくださいませ。