編集長が語る!講義の見どころ
(今を知る)クリスマスにキリスト教を深掘りしてみる/渡部玄一先生【テンミニッツ・アカデミー】
2025/12/19
いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。
今年もクリスマスシーズン。浮かび上がる「メリークリスマス」の文字と街のにぎやかなイルミネーションは、やはり毎年、独特の感慨をもたらしてくれます。
テレビのいずこかのチャンネルで、ディケンズの『クリスマス・キャロル』などの物語が放送されることもあります。この季節には、心が洗われるそのような物語に触れてみるのも良いものです。
テンミニッツ・アカデミーでは今年も、クリスマスにちなんで、キリスト教を学べる講義特集を組みました。日本では、キリスト教徒の割合は約1%前後だそうですが、世界の人口の約3分の1がキリスト教徒といわれます。しかも、現代社会の制度的基盤となっている西洋文明は、やはりキリスト教がわからなければ、十分には理解できない部分があることも否定できません。
この機会にあらためて、キリスト教の様々な側面に光を当て、キリスト教のあり方、キリスト教と社会の関係について深く考えてみてはいかがでしょうか。
■今を知る講義まとめ:キリスト教を深掘りしてみる
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=277&referer=push_mm_feat
◆渡部玄一先生:古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4218&referer=push_mm_rcm1
◆橋爪大三郎先生:「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4762&referer=push_mm_rcm2
◆橋爪大三郎先生:キリスト教とは?…他の一神教との違いは神様と法律の関係
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2648&referer=push_mm_rcm3
◆橋爪大三郎先生:世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4440&referer=push_mm_rcm4
◆本村凌二先生:一神教のキリスト教が広まった理由…迫害から公認への歴史
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2786&referer=push_mm_rcm5
◆竹内修一先生:「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=1607&referer=push_mm_rcm6
■本日の講義:「キリスト教社会」のあり方とは?西洋文化の根幹とは?(渡部玄一先生)
多くの日本人にとってキリスト教は、「知っているようで知らない」ものかもしれません。しかし、「西洋の本当のことは、キリスト教がわからなければわからない」のも事実です。
ヨーロッパ社会は、「国家」だけではできていません。国家の他に「キリスト教社会」が厳然とあります。古来、精神や道徳、慈善共助の部分はキリスト教社会が支え、その上に国家がある「2階建て」構造になっていました。だからこそ、西洋社会を知るためにはキリスト教社会を知ることが必須です。
とはいえ、日本人にとって「キリスト教社会」の内実を知ることは、けっして容易なことではありません。キリスト教を表面的に学んだだけではダメ。しっかりと人間関係の内部に入り込まないと、まったくといって良いほど見えてきません。
しかし、古き良きキリスト教社会のリアルな姿を垣間見させてくれる名著があります。渡部昇一先生の『わが体験的キリスト教論』(ビジネス社)です。
本書はもともと、『ドイツ留学記(上・下)』(講談社現代新書)として1980年に発刊されたもののうち下巻の復刊です。しかし実はこの原稿は、渡部昇一先生が1955年から3年間、ドイツに留学した直後に書かれたものでした。
当時、渡部昇一先生は20代後半。後年、「鋭い観察と洞察で物事の本質を掴み取って、印象的なエピソードでわかりやすく描き出す力」を発揮した名評論の数々で知られることになる渡部先生が、戦後10年のドイツで深く入り込んだ「キリスト教社会」について克明に観察・記録した体験記の名作です。
本日は、その『わが体験的キリスト教論』をご長男の渡部玄一先生(チェロ奏者)にご解説いただいた講座を紹介します。実は渡部玄一先生は数多(あまた)ある父の本のなかで、この本がいちばん好きだとおっしゃいます。
◆渡部玄一先生:渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(全6話)
(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4218&referer=push_mm_rcm7
渡部昇一先生が留学した1955年当時のドイツには、ナチス時代の反省もあって色濃くキリスト教社会が残っていました。しかも渡部先生は、同盟国として第2次世界大戦を戦った日本から来た若き学徒であり、しかも上智大学に進んでカトリックに入信していたこともあって、およそ考えられぬほど温かく受け入れられます。
それゆえ渡部昇一先生は、当時のヨーロッパのキリスト教社会の内側深くまで入り込むことができました。しかも、渡部昇一先生がキリスト教に入信したばかりだったこともあり、好奇心をフル回転させて「キリスト教社会の本質」を体得しようとしていきます。
そこにどのような発見があったのか、それについて、本講座でも興味深い解説が続いていきます。
たとえば渡部昇一先生は、とあるプロテスタント団体が主宰した留学生を集めたイベントで、ある男性留学生が女性問題を起こしてしまった経緯を記しつつ、カトリックとプロテスタントの違いに迫っていきます。それぞれ「猿の神学、猫の神学」だというのですが、それはどういうことでしょうか?
また、日本の歴史教科書にも出てくる「免罪符」という言葉は、実は訳が違っているのだといいます。それではカトリックの教義は理解できないというのですが、その真の意味とは?
さらにドイツの戦後復興や、社会福祉の整備に、いかに教会が大きな役割を果たしていたのか?
それらについては、ぜひ講義本編をご覧ください。
また、講座の後半は、渡部玄一先生が読売日本交響楽団で活躍してこられたチェロ奏者ということもあり、クラシックとキリスト教の関係についても語っていただいています。
カトリックの作曲家と、プロテスタントの作曲家の違いとは? また、当時のドイツの人口が半減したほど凄惨な殺戮が続いた30年戦争が終戦してから、たった50年ほど後にバッハの典雅な音楽が生まれてきた意味とは?……ここもとても興味深い内容です。
渡部昇一先生のとてもおもしろいご体験を通じて、西洋の社会と文化のあり方について理解を深めることができる講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
■今を知る講義まとめ:キリスト教を深掘りしてみる
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=277&referer=push_mm_feat
◆渡部玄一先生:渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4218&referer=push_mm_rcm8
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テンミニッツ・アカデミー編集部