編集長が語る!講義の見どころ
歌舞伎のサバイバル術と市川團十郎の歴史/堀口茉純先生【テンミニッツ・アカデミー】
2026/01/20
いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。
映画『国宝』の大ヒットで、歌舞伎への注目が大いに高まっています。
考えれば考えるほど、これはスゴイことだと思います。現存する舞台芸術としては「世界最古」ともいわれる能楽や、江戸時代からの伝統をつないでいる歌舞伎など、素晴らしい演劇の伝統が「生きた姿」で残っていること。これは、日本文化の素晴らしい点の一つでしょう。
さらにいえば、能楽も歌舞伎も、庶民が楽しんでいた芸術が源流にあることも、かけがえのない特徴です。
大衆芸術が、長い歴史のなかで多くの天才たちによって大いに磨かれ、高められて、そして多くの人に支持されていまに残る伝統芸能になっている。そのことを凄みと重みを思うと、さまざまな感慨が胸に湧き上がってきます。
テンミニッツ・アカデミーでは、以前、別媒体のために収録した堀口茉純先生の「歌舞伎講義」を、今回、転載して配信することといたしました。
テーマは《歌舞伎はスゴイ》。全4話の講義ですが、前半の2話では、「市川團十郎の歴史」を追いながら、江戸の歌舞伎の歴史に迫り、後半の2話では、数々の荒波をいかに乗り越えてきたかを探ることで歌舞伎の「多様な魅力のなぞ」を解き明かしていきます。
この講義を見るだけで、歌舞伎の歴史を深く理解することができる、とても興味深い講義です。
◆堀口茉純先生:歌舞伎はスゴイ(全4話)
(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6101&referer=push_mm_rcm1
市川團十郎――。その名を知らぬものはいないでしょう。しかし、市川團十郎がいかに生まれ、代々の團十郎がどのような存在だったかは詳しくご存じない方も多いのではないでしょうか。
なぜ、市川團十郎が「江戸の歌舞伎」の象徴的な存在なのか。初代の才能の何が凄かったのか。さらに歴代の魅力はどこにあるのか。それらのことを見ていくことで、歌舞伎の歴史があざやかに浮かび上がってきます。
とくにこのパートで興味深いのは、江戸期の歴代の團十郎の「生きた姿」や「栄光と苦悩」がコンパクトに次々と描かれていくことでしょう。演劇は、いうまでもなく生きた人間が演じるもの。だからこそ、そこには「栄光と苦悩」がつきものです。
常に注目される大名跡を継いでいくからこそ、光と影はより深いものとなります。それをいかに乗り越えてきたのかを知ることで、歌舞伎の歴史を深く理解することができるのです。
後半の講義で描かれるのは、「歌舞伎のサバイバル術」です。
よく知られるように、歌舞伎は元々、権力から保護されるどころか、ときに厳しく規制される対象でした。折にふれ倹約を打ち出していた幕府は、歌舞伎人気など庶民の華美で軽佻浮薄な風潮を嫌って弾圧を繰り返したのです。
さらに庶民芸術ですから、もちろん人気の波があります。歌舞伎以外の芸能に注目が集まる時期もありました。人気が落ちたら、廃れて終わり……ということにもなりかねません。
では、歌舞伎はいかなる工夫を積み重ねて、多くの難局を乗り越えてきたのか。
そこから見えてくるのは、見事な「復活劇」です。その手法の数々は、そのまま現在のビジネスでも大きなヒントになるものばかり。
魅力的なストーリーの数々、英雄的な華やかさ、ときに怪奇色も交えた幻想性、音楽や踊りの多様さ……。それらはすべて、そのような歴史の賜物なのです。そのたくましさには、舌を巻くばかり。
さらに現在の歌舞伎の「意欲的な取り組み」の数々も、そのような歌舞伎の歩みを真正面から受け止め、発展的に継承しているものであることが見えてきます。
日本は「100年企業」が多いなどということがいわれます。冒頭に書きましたように、能楽や歌舞伎をはじめ、長い歴史を誇る伝統芸能が脈々と生きている国でもあります。しかし、残ったのは、けっしてただただ伝統にあぐらをかいているからではないのです。
その道に賭ける人々の想い。常にさまざまな芸能と競い合うことによる切磋琢磨。たくましい知恵と工夫。そしてそれを真正面から受け止め、大いに楽しんでいく庶民文化の豊饒さと見巧者(みごうしゃ)ぶり……。
ここに、日本文化の大いなる秘密があるようにも思います。
歌舞伎が好きな方にも、そして歌舞伎を深く知らない方にも、ぜひご覧いただきたい講義です。
(※アドレス再掲)
◆堀口茉純先生:歌舞伎はスゴイ(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6101&referer=push_mm_rcm1
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