「織田家中一の武略者」――今までの大河ドラマでは見たことがない秀吉の姿が見られるという2026年NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』。いったいどういうことなのか。日本史の中でもファンの多い戦国時代だが、特に「天下一統」に向かう元亀・天正期はドラマが多く、無数の物語が紡がれてきた。もはや解き明かすべき謎などほとんどないのではと思われる戦国時代だが、実はこの動乱期を舞台とした武将たちの実態については案外分かっていないことも少なくないという。今回、時代考証に当たった黒田氏が秀吉と秀長の実像とともに『豊臣兄弟!』の魅力について語る。(全10話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
黒田基樹(駿河台大学法学部教授/日本史学博士)
4.武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
2025年12月25日配信予定
4.武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
2025年12月25日配信予定
5.最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
2025年12月28日配信予定
6.長期包囲戦が得意!?“軍事的天才”秀吉の戦い方の特徴
2026年1月4日配信予定
7.文武両道の名将…秀吉に怒られなかったのは秀長と家康だけ
2026年1月11日配信予定
8.想像以上に有能――領民に慕われた秀長のリーダーシップ
2026年1月18日配信予定
9.タイトル未定
2026年1月25日配信予定
10.タイトル未定
2026年2月1日配信予定
時間:11分15秒
収録日:2025年10月20日
追加日:2025年12月17日
収録日:2025年10月20日
追加日:2025年12月17日
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≪全文≫
●『豊臣兄弟!』の時代考証が始まるまで
―― 皆さま、こんにちは。本日は黒田基樹先生に、「豊臣兄弟(羽柴兄弟)の実像に迫る」ということでお話を聞いてまいります。
今回、黒田先生はNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』の時代考証をお務めになられたということです。その間、先生がお調べになったことで、豊臣兄弟(羽柴兄弟)の実像がずいぶん見えてきて、これまでのイメージがガラッと変わるというお話です。これについては、また別に講義でいろいろ伺っていきたいと思います。
まずは時代考証ですが、研究というご本職がある中で時代考証を行っていくことの難しさや面白さがいろいろあると思うのですが、その辺りのことをぜひ先生にお聞きしたいと思います。
NHK大河ドラマの場合、例えば『豊臣兄弟!』は2026年1月からの放映になろうかと思いますが、時代考証のご相談なり打診というものは、いつごろあるのですか。
黒田 作品によって時期はバラバラですが、今回は制作発表の数カ月前でした。
―― なるほど。制作発表はいつ頃だったのでしょうか。
黒田 昨年の3月ではないですかね。
―― ということは、2024年の1~2月に打診が…。
黒田 そうですね。私の場合はそのくらいでした。
―― そうですか。それでドラマは2026年(1月)開始ということになると、案外時間がないですね。
黒田 そうです。
●二人の研究者が半年がかりで史料収集、行動復元
―― しかも、これは今日の別の講義でもお聞きしますが、秀長の実像というものはあまり分かっていないケースに当たりますから、先生は相当大変だったのではないでしょうか。
黒田 そうですね。研究者として、主人公が羽柴秀長だということに驚きました。秀長は全く分かっていない人なので、「これは大変だ」と、もう1人の時代考証担当の柴裕之氏と(相談しました)。台本の検討が始まる前に一通り全部調べ上げようということで、半年強の時間で史料を集め、秀長の具体的な行動を復元する作業を行いました。それが、私と柴氏、それぞれの本になっています。
―― なるほど。
黒田 台本検討は、大体昨年の10月ぐらいから始まっています。
―― 2024年の10月ぐらいということですね。
黒田 そうですね。ですから、それまでに一通り調べ上げました。(その結果が)本の原稿にあたりますが、原稿の段階で制作スタッフに送って、それ...
●『豊臣兄弟!』の時代考証が始まるまで
―― 皆さま、こんにちは。本日は黒田基樹先生に、「豊臣兄弟(羽柴兄弟)の実像に迫る」ということでお話を聞いてまいります。
今回、黒田先生はNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』の時代考証をお務めになられたということです。その間、先生がお調べになったことで、豊臣兄弟(羽柴兄弟)の実像がずいぶん見えてきて、これまでのイメージがガラッと変わるというお話です。これについては、また別に講義でいろいろ伺っていきたいと思います。
まずは時代考証ですが、研究というご本職がある中で時代考証を行っていくことの難しさや面白さがいろいろあると思うのですが、その辺りのことをぜひ先生にお聞きしたいと思います。
NHK大河ドラマの場合、例えば『豊臣兄弟!』は2026年1月からの放映になろうかと思いますが、時代考証のご相談なり打診というものは、いつごろあるのですか。
黒田 作品によって時期はバラバラですが、今回は制作発表の数カ月前でした。
―― なるほど。制作発表はいつ頃だったのでしょうか。
黒田 昨年の3月ではないですかね。
―― ということは、2024年の1~2月に打診が…。
黒田 そうですね。私の場合はそのくらいでした。
―― そうですか。それでドラマは2026年(1月)開始ということになると、案外時間がないですね。
黒田 そうです。
●二人の研究者が半年がかりで史料収集、行動復元
―― しかも、これは今日の別の講義でもお聞きしますが、秀長の実像というものはあまり分かっていないケースに当たりますから、先生は相当大変だったのではないでしょうか。
黒田 そうですね。研究者として、主人公が羽柴秀長だということに驚きました。秀長は全く分かっていない人なので、「これは大変だ」と、もう1人の時代考証担当の柴裕之氏と(相談しました)。台本の検討が始まる前に一通り全部調べ上げようということで、半年強の時間で史料を集め、秀長の具体的な行動を復元する作業を行いました。それが、私と柴氏、それぞれの本になっています。
―― なるほど。
黒田 台本検討は、大体昨年の10月ぐらいから始まっています。
―― 2024年の10月ぐらいということですね。
黒田 そうですね。ですから、それまでに一通り調べ上げました。(その結果が)本の原稿にあたりますが、原稿の段階で制作スタッフに送って、それ...
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