編集長が語る!講義の見どころ
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論/水野道訓氏【テンミニッツ・アカデミー】

2026/02/17

いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。

「経営」のコツはどこにあるか? それはいうまでもなく、千差万別です。

経営とは、「人間の組織」を率いて「実際に結果を出していく」ことを求められるものです。

そのなかでそれぞれの会社には、それまでの伝統で培われてきた社風や組織論、人間関係がありますし、経営者のタイプも人によって大きく違います。ですから、それぞれの組み合わせによってまったく違った「成功論」が導き出されるのは当然といえば、当然でしょう。

しかしだからこそ、その成功論を学ぶことは大きな意味があります。実は成功を突きつめた先には「核心」があります。その核心は、多くのヒントを与えてやみません。

もちろん、ビジネスを実際に進めていくうえでもそうですし、人間組織を率いて何事かを成し遂げていくうえでも大きな参考になります。あるいは、組織をどう見るか、人間をどう見るか、社会をどう構築していくかという点でも、とてつもなく参考になるものです。

本日は、ソニー・ミュージックエンタテインメントの代表取締役CEOをお務めになられた水野道訓さんの講義を紹介いたします。

いうまでもなく、ソニー・ミュージックエンタテインメントは音楽やアニメ、ゲームなどのジャンルで、様々なクリエイターと共に輝かしい歴史を築いてきた会社です。しかし一方でエンタテインメントは、まさに劇的なまでに流行の移り変わりが激しい業界でもあります。

そのような厳しい業界で成功を収めつづけてきた会社だからこそ、「課題」はより先鋭的に明示されます。

一癖も二癖もある人材をどう活かしていくのか。新規事業をどう立ち上げ、いかに成功させていくのか……。

これは、社会全体のイノベーションや、歴史の発展という面でも、大いに参考になることですし、「多様な人間が、それぞれに活躍し、活かされていく社会」という点でも学び多きことです。

水野さんには、全6話の単独講義もお願いしております(《エンタテインメントビジネスと人的資本経営》)。本日紹介するのは、その講義をインタビューでさらに深掘りしたものです。インタビューだからこそ、具体的な事例などもさらに明確に浮かび上がります。

単独講義の後にインタビュー講義を見れば「実践編」として楽しめます。逆にインタビュー講義を先に見ても「具体的事例を知ったうえで理論的に学ぶ」という点でメリットがあります。

とにもかくにも、多くのヒントに満ちた講義です。

◆水野道訓氏:ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(全5話)
(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6119&referer=push_mm_rcm1

この講義では主として、「人材活用」「新規ビジネス」についての成功論を具体的に深掘りしていきます。

最初に話が展開するのが「人材論」です。もちろん、エンタテインメント業界では、才能あるクリエイターがその才能を発揮して魅力あるものをドンドンと生み出していくことが重要になります。しかし一方で、そのような才能あるクリエイターは「尖った人材=規格外の人々」であることも多いもの。

「尖った部分」を変に削り落としてしまっては、魅力までも削り落とす結果になりかねません。一方で、そうはいいながら会社という組織にもうまく適合させていかなければならない部分もある。

そこをどうするのか。

水野さんが強調されるのは「組み合わせ」ということです。さらに会社としても「多様な評価軸」を持つこと。

その原則をもったうえで、真に重要になってくるのが、やはり「コミュニケーション」なのです。相手の目を見て、相手の想いの強さをしっかりと受けとめる。それが大事なのだと。

ここは「言うは易く、行なうは難し」。だからこそ、水野さんが語る実例が、大きなヒントを与えてくれます。たとえば、ソニーのプレイステーションは、どのような人材の組み合わせで成功できたのか――。具体的人材論として、とても興味深いところです。

また水野さんは、「ソニー・ミュージックは『偉大なるアマチュアリズム』の集団だった」とも語ります。さらに多角的に様々なことが生起していくエンタメ業界のなかで経営していくうえで、一番大事なのは「見ているふり」をすることだとも。

それはどういうことなのでしょうか。水野さんの優しい語り口から、経営の核心が紡ぎ出されていきます。

また、新規事業では「上意下達」は絶対にうまくいかないとも強調します。

《この上意下達型は指示が速い。財務も、社長が「金を出す」と言ったら、すぐ出せます。けれど「その判断が本当に正解でしょうか?」というケースがすごくあると思うのです。とかくライバル会社や隣の芝生が非常に青く見えて、「あの分野が良さそうだから、やってみないか」「やれ!」という形で、上からの指示だけでやるケースがある。それを現場に下ろしたときに、その人たちが納得してやっているだろうかという部分をちゃんと問うべきだと思います》

ここはあらゆる会社、そしてあらゆる産業政策にも共通すべきところでしょう。

もう一つ、まことに重要でありながら、とてつもなく難しいのが「どこで見切るのか」でしょう。

もう一歩踏み込めば、そこに成功はあるのかもしれない。しかし、このまま続けたら、赤字を垂れ流すだけかもしれない……。成功の芽はどこにあるのか。

現場の担当者はそれぞれに頑張っている。そこで経営者はどう判断するのか。どう導くのか。

この温度感も、実際にそのような事例に数多く直面した方のお話を聞くにかぎります。まさに必見です。

インタビューの最後に、水野さんはこうおっしゃいます。

《デジタルツールが進化して、SNSでしか交信しないような時代の中で、どれだけ肉声で、一対一で話をして、「おまえの本音は何なんだ? 俺の本音はこれだ」ということをちゃんと話し合えるか。これが重要なのではないですか》

その「こころ」とは? 全体を通して、「人と人とで何かを生み出していくことの素晴らしさと楽しさ」を満喫できる講義です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)
◆水野道訓氏:ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6119&referer=push_mm_rcm2


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