編集長が語る!講義の見どころ
《今を知る》意外と知らない仏教を花まつりに学んでみる/藤田一照先生&特集【テンミニッツ・アカデミー】

2026/04/08

いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。

4月8日は、お釈迦様が生まれたとされる日です。古来、「花まつり(灌仏会)」などの行事が行なわれてきました。

現在の日本では、社会的な行事性という点では、クリスマスなどと比べると、花まつりや灌仏会は「控えめ」ではありますが、たとえば寺院が経営する幼稚園などにお子さんやお孫さんが通われている場合には、甘茶を仏像にかけたり、甘茶を飲んだり……などといったことが行なわれているケースが多いことでしょう。

法事やお墓参りなどで、日本人にはなじみ深い仏教。しかし、どのような教えなのかは、案外、深くまでは知らぬものです。

クリスマスにキリスト教を学ぶように、花まつりに仏教を学んでみるのも、心を高める良い機会となるのではないでしょうか。

今回の特集では「仏教の秘密」をとてもわかりやすく学ぶことができる講義をピックアップしました。仏教の多様で奥深い面が次々に見えてきます。

■今を知る講義まとめ:花まつりに仏教を学ぶ

https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=286&referer=push_mm_feat

◆藤田一照先生:自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5649&referer=push_mm_rcm1

◆鎌田東二先生:法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5764&referer=push_mm_rcm2

◆頼住光子先生:阿弥陀仏は無限の光だ…親鸞の『唯信鈔文意』の教えとは?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4379&referer=push_mm_rcm3

◆橋爪大三郎先生:仏教の根本は真理を覚ること…では真理とは何か?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=4442&referer=push_mm_rcm4


■ピックアップ講義:禅とは何か~禅から考える仏教の心(藤田一照先生)

本日は特集のなかから、藤田一照先生(曹洞宗僧侶)に《禅とは何か~禅と仏教の心》というテーマでお話しいただいた講義を紹介いたします。

「禅で得られる境地とはどのようなものなのだろう?」「日本文化にも大きな影響を与えた禅の世界とは?」。そのようにお考えになったことがある方も多いのではないでしょうか。

欧米に行くと、日本文化を語る際に「禅」が言及されることも多いもの。さらに、たとえばアップル社を創業したスティーブ・ジョブズなども、「禅」に大いに入れ込んでいたともいわれます(その点、テンミニッツ・アカデミーの桑原晃弥先生の講義もご参照ください)。

では、「禅」とはいかなるものか。そのことは、やはり実際に禅の修行をしておられる方にお聞きするのが、いちばんです。

藤田一照先生は、東京大学大学院で教育心理学を専攻して博士課程まで学んでおられましたが、一念発起して大学院を中退して禅の世界に入られ、その後、アメリカに渡って、かの地で長年、禅の指導をされてきた方です。

だからこそ、非常に明快に、論理的に、イメージフルに、禅の世界について教えてくださいます。仏教の本質についても深く考えることのできる、まさに「腹に落ちる感覚」が大きな講義です。

◆藤田一照先生:禅とは何か~禅と仏教の心(全7話)
(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5649&referer=push_mm_rcm5

第1話で藤田先生は、まず、アメリカなど海外での禅の受け止められ方を、続いて禅の歴史を概説くださいます。

たとえば海外では、禅の「自発性」や「シンプルな美学」に興味が持たれることが多いとのこと。また、中国で生まれた禅が、日本でどのように変容したかも、とても興味深いところです。

さらに、禅とは「己事究明(=本当の己とは何かを、どこまでも究明し、それを自分の生き方として歩いていくこと」であること、「悟りは終着点ではなくて出発点であること」が語られます。

そして第3話から、いよいよ話は「禅」の奥の奥へと進んでいきます。

まず、「禅」に打ち込むと、どのような境地が訪れるのでしょうか? 「禅」の修行で、何か自分を大きく変えるような神秘的な体験がやってくるのではないか。そのようなイメージをお持ちになる方も多いかもしれません。

しかし、藤田先生は次のように一喝されます。

《だいたいそういうのは「物欲しさの根性」ではないですか。「これさえあれば、僕は素晴らしくなる、もっとマシになる、悩みがなくなる」というようなのは、みな「僕が」ということが前に出ています。この「僕が」が問題なわけです》

この「最初のボタン」を掛け違えてしまうと、いくら頑張っても帳尻が合わない。《「禅とは何ですか」と問うよりも、禅のほうから「おまえは今、どう生きているのだ」と問われていると思ったほうがいい》のだと。

では、「禅」でどのような感覚を得ることができるのか。

藤田先生は、仏教の「『縁起』の関係論的世界観」の網の目に浸ることができるのだとおっしゃいます。

禅の伝統に従って足を組み、手を組み、口を閉じて思いを手放していくと、「『私が』〇〇をする(私=主格)」のではなく、「『私に』〇〇が起きる(私=与格)」という世界になる。そうなると、「これが私だ」と思っているようなことがいっさい不問になり、そこには自分がいなくなる。すると「世界が私で、私が世界だ」という実感が訪れるときがある。それを実際に「体験」し「浸る」のが禅なのだ……。

このような説明では、やや難しく思えてきますが、ここは藤田先生の講義を味わうことでグッと見えてくる部分です。

たとえば藤田先生は、「火箸」を例にとって、「縁起」とは何かについてご説明くださいます。加えて、「縁起」と「空」はそもそも裏表のもので、仏教はこの両者の違いをうまく使い分けて、人々を導くのだと。

まさに、実際の藤田先生の動画で「感じる」べき部分でしょう。

さらに話は、ブッダの悟りの本質へと迫っていきます。すべてが「縁起」で「空」だと理解できれば、自分が執着して溺れているようなことが「夢」のようなものであることが見えてくる。自分の執着などといった「惑」が原因で、「業(カルマ)」が生じ、それが「苦」になる。

だから、「のぼせて、酔っぱらった自分」から目覚めないといけない。

実はブッダの遺言も、そのことを述べているのだといいます。そして、ブッダは目覚める状態になることができたので、自分の周りにいる「悪魔」に気づき、「悪魔」を退けることができたのだと。

しかしブッダでさえ、いちど目覚めても、少し油断するとすぐに「のぼせる心」がやってきます。だからブッダも生涯にわたって修行を重ね、あらゆる機会を「学び」にし、死ぬまで円熟のプロセスを続けました。「悟り」は修行の終わりではなく、始まりなのです。

本講義については、何より「百聞は一見に如かず」。まことに気づきの多い講義です。ぜひご覧ください。


(※アドレス再掲)

■今を知る講義まとめ:花まつりに仏教を学ぶ
https://10mtv.jp/pc/feature/detail.php?id=286&referer=push_mm_feat

◆藤田一照先生:禅とは何か~禅と仏教の心(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5649&referer=push_mm_rcm6

※頼住光子先生の「頼」は、実際は旧字体


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