編集長が語る!講義の見どころ
バイデン大統領就任!米中関係の行方と日本の今後を読む(テンミニッツTV)
2021/01/22
いつもありがとうございます。テンミニッツTV編集長の川上です。
1月20日にバイデン大統領が就任しました。大統領選挙直後から異例の事態が続きましたが、ようやく新大統領の船出です。
はたして、これからアメリカはどう動いていくのか。米中関係の行方などについても、さまざまな論者が、さまざまなことを主張していますが、いずれにしても、この4年間のアメリカのあり方が、日本の長期的な命運を分けるであろうことはいうまでもありません。
テンミニッツTVでは、昨年(2020年)11月の米大統領選挙前後に、さまざまな講義を配信させていただきました。本日ご紹介するのは、その1つ。小原雅博先生(東京大学大学院法学政治学研究科教授)の講義です。
本講義の前半は、コロナ禍をめぐる分析が中心になっており、中国の対外戦略やアメリカの対外戦略の推移は、第5話から解説されます。そちらに主たるご関心がある場合は、第5話からご覧いただいても良いかもしれません。
◆小原雅博:米中関係の行方と日本の今後を読む(全12話)
(1)『コロナの衝撃』と米中の感染状況
コロナが米中関係に与えている影響と大統領選の行方
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3656&referer=push_mm_rcm1
(5)中国の自信と変化する中国外交
「戦狼外交」と「probing」、中国の攻撃的外交の特徴
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3660&referer=push_mm_rcm3
また、バイデン政権の外交がどうなるかについては、第11話以降で語られます。
(11)バイデンの外交政策
中国にとって本質的に怖いのはバイデンの動向
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3666&referer=push_mm_rcm5
さて、第1話から第4話までは、コロナ禍をめぐる米中の動向についてご解説いただいています。「スペインかぜ」の時に世界がどう動いたのか。ワクチン供与の課題(以上、第2話)。アメリカでの人種暴動などを利用して自国の体制こそが優位だと主張する中国のプロパガンダ戦略の実相(第3話)。それに対してアメリカや西欧諸国が展開する香港やウイグルの問題でのカウンター(第4話)……などの議論が展開されます。
そして、第5話以降が、米中外交戦略分析です。中国の攻撃的な外交が「戦狼外交」と称される、その背景は何か。アメリカの金融制裁の威力。中国が彼我の実力を探る(probing)ために、少しずつ覇権拡大を進めていく「サラミ戦術」のあり方。さらに中国は「世界の市場」になって、韓国はじめ各国の「最大の貿易相手国」となることによって「非対称な相互依存のパワー」を持ってしまっていること、などが語られていきます。
中国は、自国の経済力を最大限活用して、各国にさまざまなプレッシャーを与え続けています。まさに自由・民主という価値と経済利益の関係をどう整理するのかが大きな課題になっています(第6話)。
加えて、地政学的に見ると、中国はよく知られているように「第1列島線」「第2列島線」「第3列島線」という概念を提起し、太平洋分割案を抱いています。中国が、「第2列島線」までを確保した段階で、日本のシーレーンが重大な危機に陥る可能性があり、日本は生存の危機にさらされているといえます。これに対抗するための、「オフショア・バランシング」あるいは「オフショア・コントロール」とは、どのような戦略か。それについては第7話、第8話で語られます。
さらに、米中衝突の可能性について、第9話、第10話で解説されます。もちろん核保有国である米中は全面戦争はできません。しかし、中国は南シナ海などでは、彼我の実力を探りつつ、アメリカが反撃できないように低リスク、低強度の形で現状を変える一方的な行動を繰り返しています。
一方、台湾については、習近平は2019年1月に「習5項目」を出して、「武力の使用を放棄することを約束せず、あらゆる必要な措置を取る」と主張しました。それまでの「反国家分裂法」では「非平和方式」という言葉を使っていたものを、「武力の使用」という言葉にエスカレートさせたのです。習近平は自分が最高指導者のうちに、なんとかこの台湾問題を解決したいと考えている、つまり、彼が掲げる「中国の夢」の中で、最終的に実現されるべきなのは台湾統一なのだと、小原先生は指摘されます。それに対してトランプ政権のアメリカは、台湾を支援するさまざまな立法を行いました。
このような流れの中で、局地戦の可能性が高まっているというのです。
さらに小原先生は、第11話でバイデン政権の外交を予測しています。小原先生が注目するのは、バイデンのウェブサイトに掲げられた外交政策の中の「Renewing democracy at home」という言葉です。バイデンは「中国のような権威主義が世界で勢いを増しているのは、アメリカの民主主義そのものが力を失い、迷走して、うまく機能していないからだ。自分が大統領になれば、自由世界をしっかり立て直す」と考えている。当然、外交戦略としては、日本も含めた旧西側の結束を再構築し、中国にプレッシャーをかけていこうとする。このような「民主主義同盟」が再構築されていくことを、中国は一番恐れているだろう。それが小原先生の見立てです。
当然、中国はさまざまな対抗措置を取ってくるでしょう。そのなかで、日本はどうすべきなのか。その点については、ぜひ本講義の最終話をご覧ください。
これまでの動きがよくわかり、考えを整理することができる講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆小原雅博:
(1)『コロナの衝撃』と米中の感染状況
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3656&referer=push_mm_rcm2
(5)中国の自信と変化する中国外交
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3660&referer=push_mm_rcm4
(11)バイデンの外交政策
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3666&referer=push_mm_rcm6
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今週の「エピソードで読む○○」Vol.21
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今回の○○は、人類で初めて有人飛行に成功したといわれる「ライト兄弟」です。
グライダーで飛行試験を行っていた(ライト)兄弟は、墜落を繰り返していました。墜落によるけがを心配した父親が、危ないから実験をやめるように2人に助言するわけですが、兄のウィルバーは1901年にこう述べています。
「完全な安全を求めるのだったら、塀に乗って飛ぶ鳥を眺めていれば良い」。
つまり、空を飛ぶということは、危険をいかに克服するかということなのです。
航空機事故の最後の課題は、組織の信頼性と安全管理
鈴木真二(東京大学未来ビジョン研究センター特任教授/福島ロボットテストフィールド所長)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2023&referer=push_mm_episode
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レッツトライ! 10秒クイズ
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「歴史・民族(幕末の日本史)」ジャンルのクイズです。
黒船来航からわずか〇年で徳川幕府が滅亡するのですが、それは「幕府が無能であったからではなく、進歩的な姿勢を取ったがために、自ら滅亡する原因をつくった」。そのように、落合弘樹先生(明治大学文学部史学地理学科専任教授)は講義のなかで語っています。
さて〇にはどんな数字が入るでしょうか?
答えは以下にてご確認ください
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=2371&referer=push_mm_quiz
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編集後記
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編集部の加藤です。今回のメルマガ、いかがでしたか。
さて今週火曜日(1/19)より為末大先生(一般社団法人アスリートソサエティ代表理事/元陸上選手)の新たなシリーズ講義の配信が始まりました。ここで少しお伝えしたいと思います。
◆為末大:本番に向けた「心と身体の整え方」(全8話)
(1)ディテールにこだわる
集中のスイッチを入れる方法は意識からと身体からの2通り
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3846&referer=push_mm_edt
このシリーズ講義、アスリートの方だけでなく、ビジネスマンの方や、今後人前で何かを発表するなど「本番」というものを迎えるご予定のある方にも大いに参考になるお話が凝縮されています。
また、第1話でいえば、「集中しろ」と「散漫を防げ」という2つの似たような表現の違いについてお話をされているところなどがそうですが、為末先生は鍵になる言葉をアスリート以外の方にも分かりやすいように平易な言葉に言い換えたりして解説されていますので、その都度内容がすっと腹に落ちてきます。
これからも毎週火曜日に配信予定ですので、ぜひ楽しみにしていただければ幸いでございます。
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