編集長が語る!講義の見どころ
AI時代に「リベラルアーツ」がなぜ必要か/橋爪大三郎先生【テンミニッツ・アカデミー】

2026/06/08

いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。

AIを日々使っている方が、急増しています。NTTドコモモバイル社会研究所の調査(2026年2月実施)では、日本人の生成AIの個人利用率は51%と、過半数に拡大したそう。2025年2月の調査では27%だったそうですから、1年で倍増の勢いです。

仕事や学業ではない「プライベート」での生成AI利用率も、10代~20代で「68%」、30~40代で「45%」、50~60代で「34%」とのこと。

思った以上に、全年代層にわたって使われていることがわかります。今後、利用率はさらに急拡大していくことでしょう。

AIにちょっと聞いてみれば、なんでも答えてくれる時代です。このような時代に、なぜ「リベラルアーツ」が必要なのでしょうか。

そのことについて、橋爪大三郎先生にお聞きしました。橋爪先生から返ってきたお答えは、まことに胸が熱くなるものでした。

この講義を学べば、「いま人間がしなければならないこと」が、きわめて明確に浮かび上がります。自分の人生を豊かなものにするために、必見です。

◆橋爪大三郎先生:AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(全7話)
(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6256&referer=push_mm_rcm1

橋爪大三郎先生にインタビューする講義では、いつも橋爪先生の答えが「想像の斜め上」からやってくる感覚を覚えます。しかも今回も、非常に熱を込めてお話しいただきました。

そのようなライブ感覚をお楽しみいただくために、ここでは「あらすじ」は書かないこととして、印象に残る橋爪先生の言葉を「箴言(しんげん)」風に並べたいと思います。

たとえば橋爪先生は、1つの興味深い事例を挙げられます。AIに「橋爪大三郎先生ご自身のこと」を聞いてみたというのです。

そうすると、AIは「それらしい」ことを返してくる。しかしどんどん聞いていくと、次々とデタラメを並べてきたといいます。その嘘は本人であれば、すぐにおかしいと気づくレベルのことですが、はたして本人でない場合に判断できるのか。

ここで橋爪先生は、AIは「頭のないオウムだ」という言葉を紹介しつつ、こうおっしゃるのです。

《大規模言語モデルが出てきた当初は、ネット上にある文章は全部、人間が書いていたわけです。誤りがあるかもしれないけれど、人間の“真水”のデータを機械処理することができたということです。さて、生成AIが一般化するとどうなるかというと、ネット上にある文章の、かなりの割合は生成AIが生産したものになるわけです。そうすると、人間が書いた文章を読み込んでいるのではなくて、生成AIが書いた文章を読み込んで大規模言語処理していることになるから、バイアスがどんどんと増幅されていく》

さらに、「人間にとって大切なこと」と「生成AIの本質」のギャップについて、こう語ります。

《人間にとってとても大事なことは、これから発見されるであろう素晴らしい考え方、素晴らしい制度、新しい運動です。そちらに向かって、みんな努力しているわけでしょう。でも、大規模データの中には新しいアイデアがあるはずがない。逆に、現状に引っ張られて足踏みをする、こういう良くない圧力が働く。だからクリエイティブではないのです》

続いて、「情報」と「教養」の違いとは何なのか。

《情報と教養の違い(はというと)、教養は頭の中にある。情報は頭の外にある。だから、情報は調べる。教養は調べない。大事なことは頭の中に入っている》

なぜ、「頭の中に入っていること」が大事なのか。橋爪先生は「アルキメデスの原理」の例を挙げます。外から入れた正しい知識の関連がついたときに「ひらめき」が起こって、新しい知識になる。すべての創作はそういうものであり、創作が起こるためには、知識は確実で、そして頭の中になければならない。

《よって、創作をするためには、大事なことを頭の中に入れることがとても大事。これが出発点で、そして全てなのです》

《リベラルアーツは、大事なこと、覚える・記憶する・心に刻むに値すること、そういうものを自分で「これは大事かな」「これは確実かな」と思って、そして頭の中に丁寧にしまう。とりあえずしまえばいいのです。しまうだけでいい。あとは夢のように、無意識に神経細胞が伸びていって、その関連がつく。頭の中に入れるから関連がつく。それを考えるということ。無意識に考えるから、考えるうちにも入らない。頭の中に入れなければ、決してそういうこと起こらないのです》

そして、「リベラルアーツの本質」について、次々と議論が展開していきます。

《人間は人間として生きていくために、自分なりの自分にしかできない自分の世界を味わいたい。けれど、大抵のことは自分ひとりのためのものではない。そうすると、独りよがりではなくて、それが他の人とつながる自分の世界をどう持てるか。これが全ての人の課題です。それに答えるのがリベラルアーツ》

《人生はその人のもの、しかも一回きりのもので、その人の人生がしょぼくなるか、膨らむかの瀬戸際です。自分の人生が膨らまなくてどうしますか。自分の人生が輝くためだったならば、職業で頑張るのはもちろんだけれど、それ以外の人間としての残りの時間は自分の人生ですから、それに責任を持たないとね。リベラルアーツは、そうやって自分の人生だけのために磨き、それが人類とつながっているという証拠でもある》

《人間が生きているのは「情報」ではなくて「現実」なのです。感覚があって、感情があって、意識があって、ものを考えて、思考があって、判断があって、後悔があって、責任があって、他の人に対するいろんな感情、思いがあって、愛情とかいろいろある。こういうものは、今の生成AIにはない。生成AIとはこのように付き合えない。人間はどういう感情を持つのですかと聞けば、それらしい答えは返ってきます。でも全部うわべです。上辺と本物を混同してはいけない》

《自分が生きているということ以上に「本物」のことはない。この「本物」でやっている言葉の操作を、生成AIに丸投げするとどうなるか。自分の頭がスカスカになるわけです。頭がスカスカになるということは、人生がスカスカになるということ》

《文章を書くとき、人間は書きあぐねる。AIは書きあぐねたりしない。書きあぐねているあいだ、ムダでロスだと思うかもしれないけれども、これほど大事なことはない。最初の一行をどこから書くか、何を書くかは、基本的に向こうからやってくる。書き始めると、それが刺激になってまた次が書ける。だから、書き始めるとわりとうまくいく。その始めが一番困難な場所なのです。これは生成AIが経験しないことです。人間だけが経験することです。それがあなたなのです。書きあぐねるということから逃げてどうしますか。書きあぐねるから、あなたにしか書けないことが書けるのです》

いま紹介した流れの他にも、いろいろな話題が飛び交い、いくつもの胸に響く言葉が現われます。はたして、どのような言葉が、どのような文脈のなかで積み重ねられていくのか。ぜひ講義本編をじっくりとお楽しみください。


(※アドレス再掲)

◆橋爪大三郎先生:AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6256&referer=push_mm_rcm2


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