編集長が語る!講義の見どころ
地獄の責苦を生々しく描き、「念仏」を説いた名僧・源信/頼住光子先生【テンミニッツ・アカデミー】
2026/07/06
いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。
7月6日は平安時代中期の天台宗の名僧・源信が亡くなった日です。源信は942年(天慶5年)に生まれ、1017年7月6日(寛仁元年6月10日)に亡くなりました。
いまから1000年あまり前に活躍された方ということになります。10年前の2016年は源信の「千年遠忌」に当たり、さまざまな法要も執り行われました。
源信は、『往生要集』を著わしたことで知られます。その名のとおり、極楽浄土へ往生する方法について、多くの経典からまとめあげた書物です。
実は、この『往生要集』には、阿鼻叫喚の「地獄描写」も記されているのです。
原文で読んでも、その恐ろしさが肌身に伝わってくるほど。お寺などで「地獄絵図」をご覧になった方も多いと思いますが、思わずそれを思い出してしまうほどの生々しさです。
源信(942~1017年)は、天台宗の僧侶でしたが、日本仏教において浄土信仰を確立した人です。恵心僧都という尊称でも知られます。なぜ、その源信が、それほど生々しい地獄描写をまとめたのか。
本日は、頼住光子先生(東京大学名誉教授)の「【入門】日本仏教の名僧・名著」の講義シリーズより、「源信」編を紹介します。
夏は「怪談の季節」ともいわれますが、この夏の初めに、源信の地獄描写を学んでみるのも良いのではないでしょうか?
◆頼住光子先生:【入門】日本仏教の名僧・名著~源信編(全2話)
(1)末法思想と浄土信仰
末法直前に法華一乗思想と浄土信仰を両立した源信の教え
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3933&referer=push_mm_rcm1
さて浄土信仰といえば、「念仏をすれば浄土に往生できる」という教えで知られますが、なぜそのような信仰が盛んになったのか。また、源信は何を唱えたのか。
そのことについて、頼住先生はとてもわかりやすく教えてくださいます。源信の後に浄土宗や浄土真宗を立てていった法然や親鸞の教えを知るうえでも、源信が何を考えたのかを知ることは大切です。
なぜ、源信の「浄土信仰」が大きな影響を与えることになったのか。それを考えるときに重要なのが「末法思想」だと頼住先生は教えてくださいます。
日本では1052(永承7)年から「末法」に入るといわれていました。「末法」というのは仏教で唱えられていた時代区分で、末法になると、仏の教えは残ってはいるけれども、修行することも悟りを開くこともできないと考えられていました。
このメールの冒頭でも記した源信の生没年(942~1017年)を見れば明らかなように、源信が生きていたのは「末法の直前期」ということになります。
修行も悟りを開くこともできないときにどうするか? 源信には、その問題意識が大きくありました。
ここで、「阿弥陀仏にすがって念仏することで、浄土に往生し、浄土で修行をして悟りを開こう」という教えが、説得力を持つようになります。
なぜ、そのような考えが浮かび上がってくるのでしょうか。その理由は、阿弥陀仏が「成仏」した経緯にありました。
元になったのは「無量寿経」に書かれた法蔵神話です。大昔、ある王様が発心して出家し「法蔵比丘」という僧侶になりました。法蔵比丘は一生懸命に修行をして阿弥陀仏に成仏するわけですが、修行をするにあたって48の誓いを立てていました。そのなかに「生きとし生けるものが念仏をして浄土に往生できるまで、自分は成仏しません」というものがあったのです。
そのような誓いを立てた法蔵比丘が阿弥陀仏として成仏したのだから、阿弥陀仏にすがって念仏をすれば、一切衆生が浄土に往生できるのは間違いない。とりわけ末法の世になったら、もう修行も悟りもできないから、念仏をするほかない……。その浄土教の教えが、望みの綱になったのでした。
源信は、このような浄土教の教えを『往生要集』という有名な書にまとめました。この『往生要集』で源信は、地獄などの様子を描き出し、浄土に往生するためには具体的にどのように念仏をすればよいかという方法論を説きました。
『往生要集』の地獄描写は、いろいろなお経に書かれているものを源信が集めてきたものだといいます。
仏教では、「六道輪廻」が説かれました。この世界には六つの世界があって、生きとし生けるものはそこを輪廻していく。一番上が「天」。その下が「人間(じんかん)」すなわち人間の世界。次に「修羅」「畜生」「餓鬼」「地獄」と続きます。
六道のそれぞれのあり方(とりわけ地獄の姿)について印象的な描写を集めて示してみせた源信の編集能力の高さを、頼住先生は強調されますが、この講義で学ぶと、そのことにつくづく納得させられます。
そして、この地獄描写は「念仏」の裏表のものでもありました。
源信が説いたさまざまな念仏のスタイルを、頼住先生はご解説くださいます。元々の念仏のスタイルは、現在のわれわれが思い浮かべるものとは違う部分も多いものでした。
では本来、念仏とはどのようなものだったのか。そのことについても、本講義で存分に学べます。
源信がその後の日本仏教の流れに、まことに大きな影響を与えたキーマンであることがよくわかる講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆頼住光子先生:【入門】日本仏教の名僧・名著~源信編(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=3933&referer=push_mm_rcm2
※頼住光子先生の「頼」は、実際は旧字体(件名、本文いずれも)
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