近代西洋思想の弊害が顕在化する現代において、東洋思想の重要性が高まっている。東洋思想の根源にある老子の教えとして重要な「生成化育」は、万物がその本性を現して育つ天の営みであり、「自ずと然り」とありのままを認めるメッセージである。では組織の中で時間や空間など制約に縛られる多くの現代人はどうすればいいか。鍵となるのは「突破する力」である。したたかさを身につけ、制約を乗り越える喜びを知ることで、絶対自由の境地をつかんでほしいと田口氏は語る。(全9話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
≪全文≫
●生成化育――「自ずと然り」という老子からのメッセージ
田口 そこでハッとしましたけれど、老子もすごく説いていることですが、それは「生成化育」です。これは何かというと、最初、何か芽が出たとします。それが何かは分かりませんよね。しばらくたったら梅だったなと。(つまり)その本性を現していくのが化けるということで、それはとても大切なことです。人間も、人間の本性を知って人間らしくなっていくということがなければいけません。育は育つということで、この生成化育こそ老子(が説いていることで)、もっと強く言っているのは儒教の「天」です。天の営みの最たるものは「万物生成」といい、ものを産むという行為がとても大切なのだと言っているのです。
このことは『古事記』を読んでも最初に出てくるわけです。だから、ある意味では子どもを産むという仕掛けがちゃんと整っている人間というものの絶大なる守護が(そこには)仕組みとしてあるのではないかという気がします。
堀江 それは、「生命はどうして(そういう仕組みとして)あるのか」ということをとことん問い詰めていったことで、そういう一つの生命感になっているわけですね。
田口 ですから、東洋思想にもいろんな説があって、それを語り出すとあちらこちらにいってしまう、そういうものなのです。非常に統一されている見解は、まず無が有を産むということです。ですから、天も、道も無なのです。老子の場合、無が何を生んだかというと、天地を生み、天地が人間を生むということです。
それを非常に端的に「人は地に則り、地は天に則り、天は道に則り、道は自然に則り」と言っているわけです。この場合の自然は、ネイチャーばかりではなくて、絶対者の意志という意味も(ある)。なぜならば、日本の場合は「自然」を「じねん」と読むと仏教のほうではいろいろな解釈があるからです。
それから、この場合も、「自ずと然り」と読んでもらいたいのです。「自ずと然り」というのは、「完璧にこの世、宇宙を作ったのだ」というのが創造主の言いたいことだと思います。(つまり)せっかく「住んでくれ」「プレゼントするよ」ということで(この世、宇宙という)立派な家を建ててもらったにもかかわらず、そこに派手なタイルか何かを貼ってしまう。そういうことをやっているのが人間だというわけです。なぜそのまま「自ずと然り」で、この宇...