老子の神髄
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
無為とは緊張感を持って見つめること…なぜ矛盾を大歓迎すべきか
老子の神髄(6)無為と矛盾のススメ
「無為」とは「何もしないこと」ではないと、田口氏は説く。それは「緊張感を持って見つめること」なのである。現代医療はエビデンスや画一的な治療法を機械的に当てはめる「介在者」に陥りがちだが、本来医者は患者と一対一で向きあい、緊張感を持って見つめるべきなのだ。その象徴として挙げられるのが後藤新平である。彼はかつて病院長や政治家といった要職にありながら、患者一人ひとりを丁寧に診る情熱を失わなかった。さらに鍵になるのが、「矛盾を大歓迎する」という東洋思想だ。効率性の追求と個人の尊重という矛盾を抱えながらも、相手の価値観や生活背景を見つめ続ける姿勢にこそ、真のプロフェッショナル性が宿るのである。(全9話中第6話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツ・アカデミー論説主幹
時間:11分21秒
収録日:2025年11月27日
追加日:2026年7月10日
≪全文≫

●無為とは緊張感を持って見つめること――後藤新平に学ぶ


田口 それから、押し付けがましくないということ。簡単にいうと、先ほどから「無為」と言っていますけれど、無為自然というものを現代に当てはめて、どのように皆さんにご説明したらいいかが悩みで、10年ほど考えたのです。

 いろいろなことがヒントになったのですが、「無為とは何なのですか?」と聞かれると、中には「何もしないこと」という(人がいますけれど)、それはとんでもないことだと。(そして)私はこう言っているのです。「緊張感を持って見つめていること」だと。

 これは、ユングの自伝の中に出てきた言葉がヒントになっています。孫が1歳になったとき、その子ども(1歳の親)が「お父さん、歩けるようになったんだ」「連れていくから」と言うから、「そうか。では歩けるところを少し見せてもらおうか」と答えて「はい、歩いて」と言うと、こんな感じで孫は歩きますよね。しかし、すぐ転ぶかも分からないから、後ろからいつでもこうやって(見守っている)。

堀江 なるほど。

田口 (つまり)緊張感を持って見つめるということ。これが無為なのです。だから、緊張感を持って見つめるのが親で、緊張感を持って社員を見つめているのが社長だということです。(堀江)先生の場合、(それが立場上)病院長になるのですが、そういうことです。

 そういう意味で、そういうことを大変しっかりと行った人は誰かというとき、あることからとても興味を持った人に――先生と同業ですが――後藤新平という人がいました。

堀江 はい。

田口 (この人は、)一つの本にしようと思ってもそうならないぐらい探れば探るほど面白い(ことがたくさん出てくる)人なのです。だから、いまだにそれを続行中なのですけれど。

 先生にもそういうところがあると思うのですけれど、まず一番最初に医者は目の前の患者さんをなんとかしなくてはいけないということがありますよね。患者さんをなんとかして生かさなければいけないという情熱がほとばしっているということです。

 病院長となると、一人の患者ということも(頭の中には)あるけれど、病院全体のことを考えなければいけない、となってしまう。

 ところが、後藤新平は、病院長になってからも、患者さんが何百人といても、一人のときと変わらない情熱を持って患者さんを診ることができた人なので...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(2)開国の是非と将軍継嗣問題
「尊王攘夷か佐幕か」…天皇絶対主義に結びつく厄介な問題
山内昌之
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾
中国春秋戦国時代と始皇帝(8)合従軍と秦の激闘
合従軍、秦に迫る!…秦王・嬴政を滅ぼしかねなかった激戦の史実
鶴間和幸
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子