東洋思想の古典『老子道徳経』の「去用第四十」に記された「反は道の動、弱は道の用」という言葉をひも解き、精神と肉体の深い関係性を解説する第7話。田口氏は、「反」を本来の柔らかな境地に「帰る(自反内省)」精神のあり方、「弱」を「柔弱(柔らかさ)」を保つ肉体のあり方と位置づける。心身は密接に連動しており、体が硬くなれば心も硬くなるため、両方のコントロールが不可欠だと説きつつ、その具体的な方法論にも話は及ぶ。(全9話中第7話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
●「反は道の動、弱は道の用」とは何か
田口 それで先生、『老子』の「去用第四十」と「辯德第三十三」が、なぜ気になったのですか。
堀江 (「辯德第三十三」の)最後に「死して亡びざる者は壽なり」とありますよね。「去用第四十」は先ほどの話にあった硬いとか柔らかいにも似ているのですけれど、ここに書いてある「反」は帰っていくということですか。
田口 そうです。
堀江 「反は道の動、弱は道の用」は、「弱」を抱えながら「反」という動きというか軌道(をたどる)というか、そういうことなのかなと思ったのですが、それが、どんなことなのか。人生における「反」とは何か、なんとなく分かるのですけれど、その中で「弱」はどうやって持っていけばいいのか。
田口 これは、さっき先生がいっていただいたように、「弱」は柔弱のことなのです。心身ともにですから、体も柔らかくしていかなければいけないのだけれど、体が硬くなるというのは心も硬くなっているのです。だから、心を柔らかくするにはどうしたらいいかということを学んでいただくことが非常に重要です。では、どうしたらいいのですかというと、そのために『老子道徳経』という本があるわけですから、それを読んでくれというのが一番適切なアドバイスです。
●霊妙な精神と精妙な肉体から人間はできている
田口 それからもう一つ。よく緊張癖のある人で、会社ではいつも緊張して8時間いるので退社するときには本当に精根尽き果てたように帰っていく、そういう人がいるのですね。私は知らなかったけれど。
(そこで)「緊張しない秘訣を教えてもらいたい」と言われたので、いろいろなものを調べて、一つすごいことが分かったのです。
こうやってくれますか(てのひらを上に向けて開いて、テーブルの上に置く)。そうして力を入れてくれますか。入らないですよね。人間はこれだけで力が入らないのです。緊張感がある人に、「ここでこうやってやる(テーブルの上でてのひらを上に向けて開く)のはおかしいから、この(テーブルの)下で(膝の上で)やっていてください」と言いました。そういうことで人生を取り戻した人がいるのです。
だから、何が言いたいかというと、ものすごく身体はうまくできているということです。こうやっている(ての...