編集長が語る!講義の見どころ
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編/山内昌之先生【テンミニッツ・アカデミー】
2026/08/24
いつもありがとうございます。テンミニッツ・アカデミー編集長の川上達史です。
好評シリーズ、山内昌之先生(東京大学名誉教授)の《徳川将軍と江戸幕府》ですが、いよいよ井伊直弼編に入ってまいりました。幕末維新への動きが急展開してゆく時期になっていきます。
井伊直弼というと、皆さまどのようなイメージをお持ちでしょうか? やはり、苛烈な安政の大獄のイメージが強いかもしれません。安島帯刀ら水戸藩重役、さらに橋本左内、吉田松陰など俊英たちが刑死したこの弾圧がなければ、その後の歴史は大きく変わっていたかもしれません。
なぜ井伊直弼はこのような弾圧に踏み切ったのか。さらに、「井伊の赤備え(甲冑などを朱色で統一した精鋭部隊)」に象徴されるように武勇で名高い彦根藩の藩主であり、幕府の大老でもあった井伊直弼が、なぜ、桜田門外の変で暗殺されてしまったのか。
井伊直弼の事績を見ていくと、それまでの江戸幕府の経過が一点にここに集約され、そしてそこで高まったエネルギーが桜田門外の変の後の歴史へと一気に放出されていくような観もあります。
はたして、井伊直弼に集約された問題とはどのようなものだったのでしょうか。
◆山内昌之先生:徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(第1話)
(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6323&referer=push_mm_rcm1
まず第1話では、「桜田門外の変の謎」に迫っていきます。
井伊直弼を乗せた籠が、桜田門近くの井伊家・彦根藩邸を出発したのが安政7年3月3日(1860年3月24日)朝9時頃のこと。警護の武士など60余名の行列でした。これを水戸藩の脱藩者17名と薩摩藩士1名の計18名が襲い、井伊直弼は落命します。享年46(満45歳)でした。
なぜ多くの警護の武士もいたのに、易々と討ち取られてしまったのか。ここで一つ問題になるのが、刀の鞘につけていた「柄袋」です。
この日は、雪が降っていました。雪が降ると、雪の水分が刀に染みて、刀を損ないかねない。そこで柄袋をつけていたために、すぐに刀が抜けず、襲撃側に後れを取ってしまうのです。
山内先生は次のようにおっしゃいます。
《お先供はじめ周りを固めている警護の武士たちは当然、柄袋をしようなどとは考えていなかった。しかし、出ていく時に、江戸藩邸の重役の誰かと「この雪だから、そういうことでは刀に障りがくる。保護しろ」「いや、それは駄目です」という問答があったという説があります。しかし、それは後付けの説かもしれず……》
さて、ではどういうことなのか。
ここで出てくるのは武家の「格式」「威儀」「伝統」の問題です。この話をうかがっていくと、武家にとって本当に大切だったものが何だったかが見えてきます。ぜひ講義第1話でご覧ください。
また、ペリー来航以来の騒動のなかで、井伊藩は一貫して「開国論」だったといいます。この当時、鎖国は「神君(家康公)以来の御定法」というような一般的理解もありました。しかし、もちろん井伊家は、鎖国が三代・家光からのことであることはわかっています。そのようなことも踏まえつつ、西洋列強が進出してくる状況をどう判断、どう決断するのか。
ここで問題になってくるのが、水戸藩主であり烈公と呼ばれた徳川斉昭の存在です。
徳川斉昭は強烈な個性で「尊王攘夷」を打ち出します。その主張が、西洋列強の進出と相まって、幕末に向けて大きな波となっていきます。
さらに、井伊直弼の前に老中首座となって幕政を率いていたのは阿部正弘でした。阿部正弘は「理想的政治家」とも評されますが、もう一面で「八方美人」的な部分もありました。
そして、次の将軍を紀州藩主・徳川慶福(後の徳川家茂)にするか、水戸藩出身の一橋慶喜(徳川慶喜)にするかという将軍継嗣問題とも連動していきます。継嗣問題は、まさに徳川幕府にとっては権威と権力の根本にかかわる大問題です。
井伊直弼は、紀州藩主・徳川慶福を推す一派に属します。しかし水戸藩や、薩摩藩、越前藩、宇和島藩、土佐藩などの雄藩、さらに阿部正弘が登用した優秀な幕府官僚である川路聖謨、岩瀬忠震、水野忠徳などは一橋慶喜を推しています。
しかも水戸藩などはこの問題に絡んで京都の朝廷にも工作を行なっていきます。これは幕府の権威・権力の土台をつきくずしかねない動きでもありました。
かくして、井伊直弼が「安政の大獄」を断行する流れになっていくのですが……。
ここで山内先生は、「バランスを失していたのではないか」と井伊直弼のミスを指摘していきます。また、「度量」もどうだったのかと。
この部分も、ぜひ講義本編でご覧ください。
今回の井伊直弼の講義を存分に味わうためには、先行する山内先生の《徳川将軍と江戸幕府》講義の「家慶と烈公斉昭編」と「阿部正弘編」とをご覧いただくと、より理解が進むと思います。以前、ご覧になった方も、この機会にあらためて見返してみると、さらに多くの気づきを得られることうけあいです。
◆山内昌之先生:徳川将軍と江戸幕府~家慶と烈公斉昭(全4話)
(1)12代将軍・徳川家慶とはいかなる人物か
アヘン戦争はじめ内憂外患…第12代将軍・徳川家慶の時代
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5099&referer=push_mm_rcm2
◆山内昌之先生:徳川将軍と江戸幕府~阿部正弘編(全5話)
(1)若き老中首座・阿部正弘の使命
26歳で老中首座…阿部正弘が幕末の動乱期に担った使命とは
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=5272&referer=push_mm_rcm3
どのような時代の流れと人物の組み合わせで、いかに歴史が動いていくのか。その歴史の機微を感じ取ることができる講義です。ぜひご覧ください。
(※アドレス再掲)
◆山内昌之先生:徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)
https://10mtv.jp/pc/content/detail.php?movie_id=6323&referer=push_mm_rcm4
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