10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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投票率は2千万票をベースに風の吹き方次第で変動する

総選挙の結果を総括する(3)消えた2千万票の意味

曽根泰教
慶應義塾大学大学院教授(政策・メディア研究科)
情報・テキスト
2014年12月14日の衆院選の結果を受けて、曽根泰教氏が速報で語った総括シリーズ第3話。投票率と得票数と議席数。実数を検証・分析することで見えてくる、日本政治のシステムとは。その課題とは。(全3話中第3話目)
時間:07:02
収録日:2014/12/15
追加日:2014/12/17
2014年12月14日の衆院選の結果を受けて、曽根泰教氏が速報で語った総括シリーズ第3話。投票率と得票数と議席数。実数を検証・分析することで見えてくる、日本政治のシステムとは。その課題とは。(全3話中第3話目)
時間:07:02
収録日:2014/12/15
追加日:2014/12/17
≪全文≫

●かつては「勝っても負けても2千万票」だった


 今回は、「票と議席の行方」ということで、日本の選挙はどのような形で議席数と得票数が動いているかについてお話ししたいと思います。

 1996年に小選挙区比例代表並立制が行われるようになって、ずいぶん経ちます。あるいは、2003年にマニフェスト選挙が行われるようになって以来、マニフェスト選挙もずいぶん行われています。

 過去何回かの衆議院選挙、それから参議院選挙、いずれも小選挙区があり、参議院の場合は選挙区選挙があり、それから比例代表制がついています。比例と小選挙区の組み合わせであることには変わりがありません。それがどのような姿で動いているか、ざっくりしたお話をしたいと思います。

 風が吹き始めて大量の当選者が出てくるという、2005年の小泉郵政選挙から日本の政治は変わったと言われていますが、実は、それまでは、自民党と民主党はほぼ2千万票ずつを取って、勝ったときは2千万票の後半、負けたときは2千万票の前半と、このような形で競争してきたのです。

 実数で見ると、2005年小泉郵政選挙での自民党の勝利は、小選挙区で3千252万票と3千万票超えではありますが、しかし、この時でも、民主党は2千480万票を小選挙区で、比例でも2千万票を獲得しています。


●「3千万超え」から「消えた2千万票」へ


 それが、政権交代選挙と言われている2009年の選挙で、民主党は3千300万票を取りました。それまで取っていた票を1千万票以上積み増して、小選挙区では3千300万、比例で2千900万と、どちらも約3千万に近い票を取ったのです。議席も308と圧勝しました。

 2012年の選挙では自民党が圧勝して、議席数は294となります。ですが、得票数自体で言えば、それほど大きい数字ではなく、小選挙区で2千564万、比例で1千662万です。得票数自体はそれほど増えないのです。つまり、票を減らして議席を増やすという選挙だったのです。

 ところが、この時に民主党は大敗しました。57議席しか取れなかったのですが、実は小選挙区で2千万票を減らしてしまいます。それから、比例でも2千万票を減らして963万票、小選挙区で1360万票という結果です。

 つまり、2千万票がどこかに行ってしまったのです。民主党の敗因の検証委員会の時、私は「2千万票は一体どこに消えたのか」「その分析はできているのか」と、申し上げたことがあります。


●2012年の衆院選は、日本の政治の大転換点だった


 そう考えると、2013年の参議院選挙、あるいは、今回の衆議院選挙では、民主党は回復していません。小選挙区で1千191万票、比例で977万票(注:左記は速報値、確定値は小選挙区1千192万票、比例978万票)と、だいたい1千万票くらいしか確保していません。ですから、回復したとしても、ピークのときの2千万票がどこかに行ってしまっているのです。

 これを半分でも回復しないと、安定的な野党として活動が難しいのです。自民党の方は、得票数、つまり、投票率が下がりましたから、得票数は少なくても議席は十分取れます。そのような意味で言うと、2012年の選挙と今回2014年の選挙は、ほぼ同じような数字で移行しています。ですから、これを勝ったと言うのか、現状維持と言うのか、どちらにも解釈ができるのですが、今回は、投票率の増減によって大勝するような選挙ではなかったのです。

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