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非常に特徴的だったのは史上最低の投票率になったこと

今回の選挙を振り返る

星浩
TBSテレビ「NEWS23」キャスター
情報・テキスト
誰もが驚いた、「消費増税先送りを問う」突然の解散。今回の選挙は、一体、何が争点だったのか。朝日新聞特別会編集委員の星浩氏の明快な解説で振り返る。
時間:10:49
収録日:2014/12/18
追加日:2014/12/23
≪全文≫

●誰もが驚いた、「消費増税先送りを問う」突然の解散


 朝日新聞の星浩でございます。今回は、この12月14日に投開票があった衆議院総選挙について解説をしたいと思います。それを受けて、今後の政治がどのように動くのかということを、2回にわたってお話をしたいと思います。

 まず、今回の総選挙は、われわれも驚いたのですが、安倍晋三総理が消費増税の先送りを国民に問うということで始まりました。

 もともと2015年の10月に消費税を8パーセントから10パーセントに引き上げるという計画でした。これを1年半延期し、税の問題は民主主義の根幹であるから、国民に信を問うに足りるという説明で、解散に打って出たわけです。

 衆議院の任期は4年。まだ2年残っていました。ちょうど折り返し点ぐらいです。2年そこそこで衆議院の解散という異例な展開だったわけですが、安倍総理の強い決意によって解散総選挙になりました。

 しかし、よくよく考えますと、まず、なぜ増税回避を問うために解散総選挙をしなくてはいけないのかという疑問があります。増税を回避し、1年半延期することについては、自民党はもちろん、野党側もそれでいいではないかという意見でした。景気が冷え込んでいますので、この状況で増税に踏み切ることは景気に悪影響を及ぼすという判断であれば、1年半程度の延期はやむを得ないというが自民党内の大方の意見で、野党側もこれに倣うということでした。ですので、結果的には、「増税を1年半延期する」ことについては全ての政党が賛成するという状況だったのです。そこで解散になってしまったので、増税回避はどうしたって争点、対立点にはならないのです。

 さらに、安倍総理の説明をよくよく聞いてみますと、2015年10月の消費税引き上げに対して、安倍総理は慎重論、反対論を展開していましたが、どうやら政府与党の中に、とりわけ財務省を中心に、そうした状況でもやはり消費税は上げるべきだという考えが根強くあり、どうも財務省が、自民党、さらに野党側にも相当の根回しを進めていたということなのです。

 そうすると、このまま仮に消費増税を延期する法律案を通常国会に提出して、それを審議、採決ということになると、場合によっては、自民党の中で造反の動きが出て、野党の中でもそれに同調する動きが生じ、国内政局が大混乱しかねないというのが、どうやら安倍総理や側近の菅義偉官房長官の判断だったようです。財務省および与野党の増税派議員を抑え込むための解散だったということを、安倍総理も選挙の経過の中で説明していました。確かにこれも一理あるという見方もあります。また、永田町の内部では、そういうことに対して理解をする向きもあります。

 しかし、よくよく冷静に考えるとどうなのかと思います。つまり、財務省は、行政の中では安倍総理の支配下にあるわけです。また自民党の増税派議員といえども、安倍総裁の下にいるわけです。そうした財務省、増税派議員は、やはり基本的には、安倍総理、安倍総裁が説得して、この法案を通し、増税を延期するのが筋なのですが、安倍総理はそういう作業はしないで、解散によって国民の民意を問うということで打って出てきたのです。ですから、非常に分かりづらい選挙だったというのが、まず一点です。


●アベノミクス、集団的自衛権~深まらなかった議論


 続いて二点目です。選挙が始まると、安倍総理は、今度は「この2年間のアベノミクスを問う」と言い出しました。

 アベノミクスは、ご存知の通り「3本の矢」で構成されており、一本目の金融緩和と、二本目の財政出動、さらに、三本目の成長戦略ということになっています。一本目の金融緩和は、大胆な金融緩和によって、円安、そして輸出産業の株高につながりました。二本目の財政出動は、公共事業の積み増しによって、景気のテコ入れになりました。ですが、三本目の成長戦略、構造改革が、未だに成果を上げていません。そうした中で、「アベノミクスはまだ途上なので、この路線を続けさせてほしい」というわけで、アベノミクスの評価ということになったわけです。

 これに対しては、おそらく国民の意見が割れました。「安倍総理が大胆な金融緩和、財政出動をしているのだから、この行方をもう少し見守ろう。株価も上がったではないか。雇用も増えてきたではないか」という意見がありました。これに対して、野党側の多くが提起したのは、「金融緩和、財政出動はあったけれども、結局は格差が広がっただけではないか。円安によって原材料の価格が上がり、庶民は苦しくなっただけではないか。雇用が増えたといっても非正規の雇用が増えただけで、正規の雇用はあまり増えていないではないか」という意見もありました。そのような議論がありまして、アベノミクスについては、賛成...
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