10MTVオピニオンPREMIUM ログイン

キーワードは「ロシア危機」と「LTCM危機」

原油安と為替相場への影響(4)98年との類似性

高島修
シティグループ証券 チーフFXストラテジスト
情報・テキスト
ロシア・ルーブル(100ルーブル紙幣)
1990年代後半、それまで好調だった世界経済が危機の連鎖に陥った。現在の状況は、実はこれに酷似している。シティグループ証券チーフFXストラテジスト・高島修氏が、1998年のロシア危機をキーに、今後の為替相場の動向を見通す。(全4話中第4話目)
時間:07:33
収録日:2015/01/06
追加日:2015/01/12
ロシア・ルーブル(100ルーブル紙幣)
1990年代後半、それまで好調だった世界経済が危機の連鎖に陥った。現在の状況は、実はこれに酷似している。シティグループ証券チーフFXストラテジスト・高島修氏が、1998年のロシア危機をキーに、今後の為替相場の動向を見通す。(全4話中第4話目)
時間:07:33
収録日:2015/01/06
追加日:2015/01/12
≪全文≫

●1990年代と2010年代の世界経済の類似性


 今回のお話で、最後の論点となってくるのは、こういった原油安による市場の混乱が、実は過去にも起こったということ、特に1998年あたりに非常に似た事態が起こっていたこと、その類似性に注目したいと思います。

 ここでキーワードになってくるのは、「ロシア危機」と「LTCM危機」です。これは98年に起こったものです。これがどのような背景で起こったのかを説明します。

 基本的には、1990年代の世界経済は、比較的いい時期でした。特に90年代の後半には、アメリカにおいてIT革命を中心としたニューエコノミーブームが発生しました。これによってアメリカ経済が成長率を強めて、世界経済もその恩恵を被るということが起こったのです。アメリカ経済が比較的強いものですから、アメリカの中央銀行にあたるFRBは、利上げ高金利政策をやりました。


●90年代後半の長期的ドル高から、98年ロシア危機によるドル安へ


 その結果、1995年頃から2001年頃まで、長期的なドル高が進みました。ドル高というと非常に聞こえはよく、実際問題としてドル高になって円が安くなれば、日本経済は非常に助かってきます。ところが、新興国は、米ドル高が進むことによって新興国通貨が売り込まれて、それが投資家の資本逃避を招いて、債券価格が下落し、さらなる通貨安を招くという悪循環に陥ってしまうことがあります。

 実際問題として、90年代後半に長期的なドル高が進んだ時は、94年にまずメキシコ危機が起こりました。その後、97年にアジア通貨危機が起こり、それが98年のロシア危機、ブラジル危機、そして最終的には2001年のアルゼンチンのデフォルトにつながっていく動きが出ました。

 ここでポイントなのは、98年のロシア危機です。この90年代も原油価格が比較的低迷していました。そこに97年のアジア通貨危機が起こって、世界経済が一段と減速する。それによって原油価格が一段と下がっていく。そしてロシア経済が苦しくなって、まずここで危機が起こってしまったということです。

 このロシアの国債投資を行っていたヘッジファンドの一つに、LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)という非常に大手のファンドがありました。このLTCMが経営難に陥り、ロシア危機が世界全体の危機に拡大していく動きが起こったわけです。この時、米ドルは、長期的な上昇局面の中で、一時的に急落しました。ドル円に関しても、98年に一時147円台までドル高円安だった相場が、わずか数カ月で108円台まで下落します。つまりドル安円高が進むということが起こってしまったのです。


●11年以降のドル高と、世界的原油安・ロシア危機・市場の信用リスク再評価


 2010年代は、この90年代と非常によく似ていると考えられます。要するに、90年代のアメリカにおける非常に大きな投資ブームがニューエコノミーだったのに対して、今回アメリカ大陸においてはエネルギー革命が期待されている。その中で、FRBの金融引き締めの思惑、観測が高まるにつれて、昨年あたりから、アジア通貨を含めた新興国通貨が下落しました。これは97年のアジア通貨危機が起こったことと非常によく似ています。そういった中で、世界的な景気がスローダウンし、原油資源需給が緩んで、過去1年ほど世界的に原油価格が下がり、それがロシアの危機につながっているということです。

 98年は、このロシア危機...
テキスト全文を読む
(1カ月無料で登録)
会員登録すると資料をご覧いただくことができます。